村の空を、あれほど縦横自在に突っ切っていた燕たちの姿が、すっかり見られなくなりました。今頃は南の国をめざして、長い旅を続けているのでしょう。
山路を歩いていると、頭上から墜ちてきた油蝉が地上で仰向けになり、最後の力を振り絞るように両羽根を激しく震わせ、六肢を宙に向けてあがいています。そしてやがて・・静かになります。
ヒグラシの声はめっきり少なくなり、ツクツクボウシが生き急ぐかのように忙しく輪唱しています。
村の田んぼは、次々に黄金色に染まってきました。早稲の田んぼでは、もう収穫が始まっています。コンバイン(走行しながら稲の刈取・脱穀・藁裁断を自動処理する乗用型農機)を老農が運転し、その後ろから老妻が付いていって、コンバインが処理し損なった稲を選り分けたり。
都会暮らしの息子さんが里帰りしてコンバインに乗っていらっしゃる田んぼもあります。夫婦や家族で一緒に労働するって、大変でしょうけれども、人間的な感情に沿うというか、その光景には心安らぐものがあります。
機械化で農作業は合理化されますが、コンバインは非常に高価だと聞きますし、真っ赤に塗装されているのは、その取扱いに危険が伴う証しでもあります。高齢化した農家にとっては厳しい時代です。
コンバインは重機ですから、田んぼにのめり込んで動けなくなったりしないよう、収獲期までに田土を乾かしておかなければなりません。
田んぼ用水ポンプの稼働も明日が最終日です。機場内のコンクリート舗装の隙間から生えていたヘクソカズラが、沢山の花を付けていました。
今日は漢方医のところで、思い出深い方の訃報が辛かったことや、夏バテがひどかったことなど、愚痴をタップリこぼし、聞いてもらいました。お薬だけでなく、こうした愚痴こぼしも、養生の一環になるのかも?