みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

引退

2021-09-28 09:44:40 | 文化
白鵬関引退の報に、最後の取組となった名古屋場所千秋楽を思い出す。照ノ富士との一戦を制したときにカメラが捉えた観客席で、白鵬関の御家族(紗代子夫人と子供たち)が涙していらっしゃった。

平成20年初場所千秋楽の青白対決(朝青龍との一戦)の動画を見ると、言葉を失う。歴史に残る名勝負だ。

          身に沁(し)むや最強横綱引退す

新型コロナ感染拡大の波の謎解き

2021-09-25 10:48:13 | 新型コロナ
新型コロナウィルス感染拡大の第5波が急減している。減少の原因としては、ワクチン接種の進展やマスク着用などの感染予防行動が指摘されている一方、人流はむしろ増えているのに何故?という疑問がある。

この不思議に思われる現象の謎を、児玉龍彦先生が実に明快に解き明かしてくれている。
Eigen(ノーベル賞受賞者)が1971年に提唱した「エラーカタストロフの限界」説が、謎を解く鍵だ。

この説によれば、ウィルスの過剰な変異はゲノムの安定性を自壊させ、感染縮小に向かわせる。感染拡大が波型を描く現象を説明できる。

感染縮小の波の下降線がゼロには至らず、また再び拡大の波が上昇し、感染拡大を繰り返すのは何故か?
それは、自壊しない「幹ウィルス」が存在しているからだ。
自壊していく過剰なウィルスは、言わば、枝葉に該当する。
幹ウィルスは、感染拡大の波を経るほどに太っていく。前回の波の底よりも次回の波の底の方が高い事実がある。
幹ウィルスからは、また更に新たな変異ウィルスが生まれて、新たな感染拡大の波を作っていく。

以上、素人の私なりに概要を述べましたが、児玉龍彦先生は、『「エラーカタストロフの限界」を超えるコロナウィルス変異への対応』というタイトルの論文をネットにアップして下さっています。また、『変異と科学的対応』というタイトルで、「デモクラシータイムス」9/14版もアップされていますので、詳しくはそちらをご覧ください。

ウィルスの恐ろしさを改めて痛感させられる。
あらゆる生物の中で最も進化していると自負する人間が、生物と無生物との中間的存在とも言われるウィルスに存在を脅かされるとは、皮肉と言うべきか、必然と言うべきか・・・

しかし、このウィルスを克服する希望も、児玉龍彦先生は提示して下さっている。一つはRNAワクチン(ファイザー製・モデルナ製など)で、従来型ワクチンがもたらす液性免疫だけでなく、細胞性免疫を速やかに強力に誘導するので、変異ウィルスにも有効だということ。そして何よりも、科学的な知見に基づいた政策の推進が必要だということだ。






長楽寺の杜鵑草

2021-09-08 10:03:31 | 俳句
俳句の会で龍明(りゅうめい)の長楽寺へ行きました。昔は狢内(むじなうち)という地名だったそうです。会の仲間の話によると、小字(こあざ)では昔から龍明というところがあったそうです。龍明という地名の由来は定かではありませんが、縁起が良さそうな名ですね。

創建は824年、長楽寺となったのは1614年だそうです。現在はこじんまりとした無住寺で、本堂は築百年以上は経っていそう・・ 弁柄色が褪せてしまっていますが、均整のとれた美しい形をしていて、軒下の彫りものが実に見事! 正面の龍、そして四隅の獅子の彫りものの迫力は凄い! 剝げ落ちてしまったらしい金箔の名残りが微かに判ります。

本尊は薬師如来だそうですが、堂内を除くと、奥には扉を閉じた厨子が見えます。この厨子、相当古いようで、もしかしたら1614年に安置されたものかも? 当時は極採色だったと思われる名残がぼんやりと見えました。
          
          蟋蟀や御堂昏きに厨子ほのか

本堂の左手には、一本歯の下駄が祀られていました。この地には、親孝行の天狗の伝説が伝わっているからでしょう。
この下駄を祀っている御堂はミニサイズですが、実に丁寧に細工されていて、杮(こけら)葺きの屋根の勾配や反りも、小さな木端を並べ重ねた美しい曲線で形造っています。そして、このミニサイズの御堂を鞘堂が守っています。

手前の山門の両側には、阿吽の金剛力士像が力強い姿を見せています。

八郷の奥まったところにある古いお寺ですが、寺域は草刈りも行き届いており、地元の方々によってしっかりと管理されているのだと感じました。時代劇が盛んな頃には、撮影のロケ地として重宝されていたそうです。



秋蟬の声だけが聞こえる境内をゆっくり歩いていると、足元に咲く美しい花と出会いました。ヤマジノホトトギズです。この花に出会うのは2回目(1回目は、やはり八郷地区内の山路脇でした)です。

          杜鵑草一輪護り仁王様