みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

雨の日

2008-06-29 09:02:51 | 化学物質過敏症

 Dscn0068 夜来の雨で、軒に掛けられた蜘蛛の巣に雫の飾りが散りばめられています。農薬散布や排ガスなどで空気が汚れていると、化学物質過敏症(CS)のK子さんは屋外に出ることが出来ないのですが、雨の日は空気が洗われるので、外気に触れやすくなります。

 今日はK子さんがM病院へ行って検診を受ける予定です。CS以外の、ちょっと心配な症状があったからです。CSの方はCSそのものの辛さが大変な上に、他の病気に罹った場合の治療が至難、という問題があります。治療のための薬そのものが化学物質ですから、受け付けないことが多いのです。またK子さんは電磁波過敏症を併発しているので、検査や治療の機器を用いることが難しいのです。消毒剤が散布されていたり、関係者の衣服や髪などに香料添加の洗剤が残留していたりするのも、CSの方には脅威です。

 M病院は、CSのK子さんを検診することに最初は躊躇されたようですが、K子さんの真摯な訴えを聞き入れて下さいました。今日の検診が、どうか無事に行われますように・・ そして出来れば、検診結果が「異常なし」でありますように・・ そしてもし異常があった場合、M病院をはじめとした関係の方々のご尽力によって、K子さんの回復が図られますように・・


麦ワラ

2008-06-25 15:08:14 | 暮らし

 梅雨晴間は麦刈の好日。刈り終えられた近くのtKさん宅の麦畑へ行って、麦ワラを束ねました。当庵南隣のI宅のyIさん(80歳代)がご一緒して下さり、麦ワラの集め方や束ねる要領を教えて下さいました。Dscn0065 その要領に従うと、作業を合理化でき、解けにくい束になり、しかも後日解くときは解き易いようになるのです。yIさんに脱帽! 束ねた麦ワラは互いに支え合って、新たな生命を得たように大地に確っかりと立ちます。

 I宅のnIさん運転の軽トラックで、出来上がった30束余りをI宅の菜園と当庵菜園に運び込みました。菜園に麦ワラを敷くと、畑土の乾燥防止、雑草抑え、瓜類の実のお尻の変質防止などに役立ちます。

1本の麦ワラの節間を切り取ると、ストローになる、と教えて下さったのは、木彫り名人のNさんです。プラスティックのストローとは一味も二味も違うジュースが飲めます!

 麦刈をされる方々は、通常は穂先を刈り取ると同時に茎(ワラ)部分を細断し土に鋤き込むように機械を操作します。土中でワラは堆肥になって土を肥やします。tKさん宅はI宅と私のために麦ワラを畑面に残しておいて下さったのです。

 


分け合う暮らし

2008-06-21 20:16:51 | 化学物質過敏症

 茶道の稽古に着ていく着物は、小物を含めてほとんどが八郷内外の縁ある方々から譲っていただいたものです。先日Yさんに貰った帯は素敵な麻製、でも汚れのシミが目立つので、Yさんのアドバイス通りに、紅茶を染料とし洗濯機の攪拌機能を使ったら、ムラなく染まりました。私好みの地色となり、シミもほとんど分からなくなって、「染色」初挑戦は成功! 

八郷の人々が、丹精込めて栽培された畑の野菜や手間を掛けられた漬物などを実に気前よく下さることに、移住当初の私は驚き戸惑いました。今は出来るだけ素直に貰うことにしています。ある友人は、「八郷には、貨幣経済ならぬ物々交換の良さが残っている」と言います。交換、と言っても、等価交換ではありません。「分け合う暮らし」という感じでしょうか・・

Dscn0064_3 私の場合は、あげるよりも断然貰う方が多いのです。たまにウコッケイの卵が余るとほんの数個をおすそ分けするぐらいです。 貰ってもらうと、私も嬉しくなります。今日の産卵は写真の1個だけでした。巣籠り中と巣籠り明けの休業中の雌鶏が多いので・・

 昨日は、常温で発酵させ炊飯器で焼いた手作りパンのほんの切れ端をK子さん宅へ持っていきました。K子さんのレシピに拠って私がパンを焼けるようになったことを大変喜んでくれました。化学物質過敏症のK子さんは、食品に農薬が残留しているとひどく反応するので、私はパン材料の小麦粉がどうなのか不安でしたが、大丈夫でした。


美味しいお米

2008-06-16 14:32:10 | 化学物質過敏症

Dscn0059  田植えの時は幼かった稲ですが、元気に葉茎を増やし背も伸びて、田んぼは青々としてきました。燕が盛んに飛び、セッカが鳴き、青鷺が舞い降りてきます。農家の方々が減農薬に努められているおかげ、と思います。写真の田んぼの奥向こうには田んぼ用水ポンプの「揚水機場」があります。(写真上でクリックして拡大すると見えます)

Dscn0061  私は昨季から、このポンプの運転管理を近所のSさんと1週間交代で担当しています。水は田んぼの命、緊張感と張り合いがあります。米作はしていない私ですが、関係の方々との新たな出会いが楽しいです。

 八郷のお米を初めて食した時、お米ってこんなに美味しいものだったのだろうか!と驚きました。魚沼産に比肩する味、とも言われています。

 化学物質過敏症のK子さんは、最近お米を食することも難しくなりました。残留農薬への反応がひどくなり、糠が少しでも付いていると受けつけないのです。野菜も他の食品も受け付けないのが急増して、空腹を満たすことが出来なくなりました。体力の低下で声もかすれてきました。

 当地の有機無農薬農家のUさんがK子さんの窮状を知って、お米などを届けてくれました。K子さんは久しぶりに美味しく沢山食べることが出来て、涙が出るほど嬉しかったそうです。良かった!                            


「香料」が辛い・・・

2008-06-15 09:12:08 | 化学物質過敏症

 香り・・それは心を優雅にさせてくれる素敵なもの、の筈。しかしその多くの正体は石油系の化学物質です。化学物質過敏症(CS)のK子さんは、香料による反応がひどくて、頭の深部が痺れたようになったりカチカチに固まったようになり、一般の頭痛とは違う症状で(説明が難しく、また私自身がK子さんの症状を十分理解していないこともあって、当ブログでも取敢えず「頭痛」と表示したことがあります)大変辛く、夜も眠れなくなってしまいます。

 過日K子さんと会ったとき、私に属する「何か」によってK子さんを辛くしてしまいました。後で判明したのは、前夜の洗髪に用いたシャンプーが原因でした。それからは無添加の石鹸で洗髪することにしました。酢水ですすげば石鹸特有のガサツキもなく、さっぱり仕上がります。手元にあった種々の石鹸がすべて香料添加だったのには今さらながら驚きました。もったいないけれど、処分しました。

 最近の香料の飛散物質は、K子さんによればキラキラした粒が舞っている感じなのだそうです。この粒は大変付着しやすくて、特にバスや電車などで外出した人は必ずと言っていい程、(第3者の)香料の粒を付着させられるそうです。そんな極めて微量の(付着した)香料にもK子さんは反応してしまいます。


人の絆

2008-06-12 21:17:57 | 暮らし

 当地の(行政用語は「区」)の人々は、新参者の私を大らかに受け入れて下さった。おかげで当産のお米を毎日食し、自動車学校に私が入学した時は、察知された方が即座に愛車を譲って下さり、私は空地で練習できたので、かなりイイ齢?なのに女子高校生並みDscn0055_2!の短期間で免許取得した。

意外だったのは、首都圏など八郷外の方で、私が八郷に暮らすようになってからのほうが、絆が強くなったケースが少なくないことだ。その内の一人であるNさんは木彫りの名人。当庵の一字の「零」の古代文字を根付にデザインして下さった。

 病気は、できればなりたくないものだ。しかし病気は家族や近隣等の人々との絆を深めることもある。そして病気は、しばしば人の精神を奥深くする。K子さんをはじめ、そんな病者との絆を、私は有難く思う。

 当ブログにコメントを寄せて下さったことのあるanisanも深刻な病気の経験を経て、その精神を一層奥深くされた方だ。「腎細胞癌になって考えたこと」は、そんなanisanの充実のサイトです。


暮らしが見えてくる時・・

2008-06-07 15:40:09 | 八郷の自然と風景

Dscn0052  八郷は三方を筑波山系に囲まれています。当庵から向こうの山並みを眺めると、亡父の眉を憶い出すことがあります。

  八郷には立派な構えの農屋敷が多くて、この村で暮らし始めた時、人々は穏やかで幸せな日々を営んでいるように見えました。しかし当庵での春夏秋冬を重ねるにつれて、それぞれの家のそれぞれの暮らしと悲しみが、時には見えてくるようになりました。病気、事故、早逝、軋轢、離別、等々・・

 K子さんは化学物質過敏症(CS)になって、改めて自分の半生の暮らしを振り返ったそうです。20余年前に嫁いできた時、激しい頭痛と倦怠感に悩まされました。出産・育児期は疲れやすいながらも頑張っていました。

 今K子さんが思うに、化学物質(農薬など)に接触した最初のショック状態(CSの「警告期」と云うそうです)からマスキング期(化学物質に長期間曝されると、体はその状況に適応しようとするので、症状が軽くなったように見える期間)が続いていたのではないか、と。

 化学物質に接触する状態が更に続くと、ついには体の適応力を超えて(「器官衰退期」と云う)様々な症状が襲ってくる・・この時CS発症に気付いたのだ、とK子さんは言います。

 CSに治療薬は無い、と言わざるを得ないでしょう。それどころか、薬そのものが化学物質ですから、原則として回避すべき対象となります。CSへの対処の基本は、その人が反応する化学物質を徹底的に回避することです。CSとの格闘を経て軽快された方もいらっしゃるようです。私はK子さんが軽快されるのを信じたいと思います。K子さん自身も確かな希望を保っています。


臭覚・・・

2008-06-04 18:25:32 | 化学物質過敏症

Dscn0051  犬嫌いだった私ですが、当庵で犬を飼うようになって、その高度な臭覚・聴覚には敬意?すら感じるようになりました。周辺の異変を逸早くキャッチし吼えて私に連絡してくれます。

 (犬と一緒に論じて恐縮ですが)K子さんは化学物質過敏症(CS)になってから鼻がとても利くようになった、と言います。臭覚が鋭いからCSになった、という訳ではないようです。CSの症状は大変辛いので、化学物質の接近を逸早くキャッチして回避行動をとるために臭覚機能を高度に働かせるようになった、というのが私の印象です。ただCS症状は人により様々ですので、他のCSの方も同様と言うわけではないかも知れません。

 過日K子さんは、CS症状の頭痛と息苦しさで起き上がることも安眠することも出来ませんでしたが、異臭を感じることはなく、原因の化学物質を特定することが出来ませんでした。2~3日後(辛い症状の峠を越えた頃)、近くの道路わきの草が一斉に枯れて同時に異臭を放ち始めたので、原因は除草剤ということが判明しました。除草剤は散布時は臭わないので予防的回避が難しいのです。

 K子さんは近隣で耕作される方々に、除草剤を散布する時は事前に日程を知らせて下さい、とお願いしたそうです。有難いことに、皆さん快く約束し実行して下さっているようです。窓を閉め切ってもK子さんのCS症状は重いのですが、それでも突然散布されるよりはマシです。

 CS・ESのことを知り始めてから、鈍感な私も少し臭覚が利くようになりました。薬品売り場やプラスチック製商品が山積みされているところなどに行くと、ムッとするような異臭を感じ、思わず呼吸が浅くなったりします。


炊飯器でパンを焼きました

2008-06-02 20:04:56 | 化学物質過敏症

Dscn0046_2  料理が苦手な私ですが、八郷の当庵で暮らすようになってから、台所に立つのが苦にならなくなりました。その原因の一つは、台所の窓から鶏舎で飼っているウコッケイたち(雌5羽、雄1羽、ヒヨコ1羽)の様子が見えて、とても楽しいからです。

 手持ちの炊飯器でパンを焼くことが出来ました。値上がりしたバターとかを付けなくても美味しい! レシピはK子さんが書いてくれました。化学物質過敏症(CS)のK子さんは、紙に含まれる化学物質にも反応するので、反応しない数少ない貴重な紙に鉛筆で(インクに反応するのでペンは使えない)丁寧かつ要領よく書かれたレシピです。

 K子さんは、CSを発症してから出来ることが限られてしまったので、せめて家族のための家事だけはどんなに具合が悪くても・・朝、頭痛や筋肉痛などで起き上がるのが辛くても・・頑張るそうです。なみなみならぬ意志の力を感じます。