みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

イイカゲン

2022-02-22 15:44:53 | 国際・政治
当庭の馬酔木の花蕾が紅く染まってきたら、「今年も雛祭の季節が近付いたのだ」と思う。



この苗木を買ってきたのは10数年前。白い花の馬酔木が欲しかった。野生種は白なのだ。園芸種の紅色の苗木しか売っていなかったので、仕方なく躊躇いながら買った苗木だ。紅色の花への違和感は、年を重ねるにつれて解消していった。見慣れて親近感が生じたからか、齢をとってイイカゲンな感性になったからか。

今日は、20220222。

昨日20220221の夜に聞いたニュースには、国際政治に疎い私でさえ衝撃を受けた。プーチンがウクライナ東部のドネツクとルガンスクを独立国として承認した、という。両国の平和維持のために軍も派遣する、という。静かに指された「一手」だが、鋭く強い衝撃の一手だ。まさに「老獪」なプーチンの一手。

老獪なプーチンも、ヒステリックなバイデンも、嫌な奴だと思う。権力欲に特化した人物だと思う。怖ろしい存在だと思う。それでもプーチンはスターリンよりはマシだろう。バイデンもトランプよりはマシだろう。ヨーロッパの首脳たちも、ヒトラーに比べればずっとマシだ。

大変な事態だが、最悪の事態とまでは言えない、と思い、不安を宥めている。戦争になれば、この日本も巻き込まれる。私の暮しにも影響があるかも知れない。しかし、心配しても自ら対策を講じることは不可能だから、考えは進まない。そしていつのまにか考えることを放棄している。

九州と北海道の、巨大カルデラを持つ火山が噴火したら、火砕流、噴石による被害のみならず、厚く降り積もる火山灰によってインフラが麻痺し、日本列島に住むほとんど全ての人々が死に至るだろう、という。その確率は、交通事故で死亡する確率とほぼ同レベルだそうだ。

巨大噴火を心配しても、対策を講じることは不可能だから、考えは進まない。だから考えることを放棄する。

自分が死ぬ確率は100パーセントだが、対策を講じて「不死」の身になることは不可能だ。だから考えは進まない。そして考えることを無意識に放棄しているのだ。

2022-02-17 07:09:57 | 国際・政治
板戸を開けたら外が明るい。夜明けまでまだ1時間余りだったが、地上には木々の影がくっきりと伸びている。西の空に氷のような満月が輝いていた。恐ろしいような、悲しいような光だった。

ラジオのスィッチを入れた。通常番組をやっている。臨時ニュースは無い。午前5時になって、ニュースはコロナとオリンピック、ウクライナは3番目の扱いだ。16日開戦、という危機は取り敢えず避けられたようだ。

「ロシアは16日にウクライナへ侵攻する」と、バイデンは繰り返した。その確証を得ている、とも言った。本当に確証があったのか、ないのに挑発の意図で言ったのか、私には分からない。

ロシア軍が本当に撤退を開始したのか否かも、私には分からない。情報という言葉は蔓延している時代だが、事の真実は却って分かりにくい時代だ。しかし、「16日の危機」は、語られることによって本当の危機となった。

開戦となれば、米軍基地が集中しているこの国も巻き込まれる恐れがある。危機が取り敢えず緩んことを、「取り敢えず」良かったと思う。

ダリアさんという人の動画を見た。ダリアさんの父親はウクライナ人、母親はロシア人。夫は日本人だそうだ。戦争となれば、家族同士が殺し合うことになる。両親と弟はウクライナ東部のザポリージャ(ロシア国境から50キロ位)に住んでいる。ダリアさんは、ふだんはロシア語を教える動画を配信しているが、1月中旬にウクライナの平和を訴える動画をアップした。

ダリアさんの大きな美しい瞳が涙で光っていた。

非戦の国防論

2022-02-11 14:30:06 | 
暗いニュースが多い。コロナ禍、世界各地での紛争、数多の難民、一触即発の軍事的対立・・・ そしてこの国では中国・朝鮮半島への嫌悪と憎悪が蔓延し、もはや「戦前」から「戦中」へと足を踏み入れた感がある。

そんな時代への貴重な治療薬になりそうな本が、出版されていることを知った。



こんな真面目な本は、えてして小難しかったり退屈だったりしがちだが、実に読みやすく書かれていたのは、著者に「編集者」の経歴があるからだろうか。そして読んでいくうちに、「非戦の国防なんて非現実的なのでは?」という懸念が、「米軍基地と自衛隊増強による防衛こそ非現実的」なのではないか、という疑問に置き換わっていく。

軍事基地のない国土を取り戻し、農地や山林に支援の手を差し伸べる国家的組織が出来、食糧などの支援物資が世界の貧困地域に届けられることにより諸外国からの尊敬の眼差しを受ける・・・ここに来て、やっと日本が本当の意味の平和国家になるのではないでしょうか。


          人の世の幸なほ有らむ初桜    小零





生と死の瀬戸際で

2022-02-03 13:27:11 | 八郷の自然と風景
一昨日から、裏山の鷹が盛んに声高く鳴くようになった。少し甘い感じがする声だ。雌を呼んでいる雄なのだろうか。

今朝、野良仕事をしていたら、ツピー ツピー と囀りながらシジュウカラが合歓木の枝を飛び移り、そのすぐ傍らには ズビー ズビー と鳴くヤマガラ。近くにはコゲラもいて、コッコッコッ と樹幹を突いている。やがて近くの林からシジュウカラの小群が飛び出してきて、合歓木の仲間たちと一緒になった。

野鳥たちにとっては食糧枯渇の季節だ。生と死の瀬戸際で、まさに懸命の季節なのに、その姿が何故人間には「美しい」と感じられるのだろう?

風は冷たいが、日差しは明るい。
当地の友人から分けてもらった水仙の球根を、茶庭の周りに埋めてから10余年。水仙は増え続けて、この季節には次々と花開く。



体長4~5ミリの虫が花の蜜を求めて幽かな羽根音を響かせていたが、スマホのカメラを近付けたら、逃げてしまった。せっかく見つけた御馳走だったろうに。