みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

七十路の腕

2010-02-27 14:22:43 | 暮らし

Dscn1423_sh01 近所のkSさんが声を掛けて下さったので、御主人のtSさんが精を出していらっしゃる木工所を覗かせてもらった。

当地で手広く農業を営んでいらっしゃDscn1414_2 るtSさんは、首都圏で長く木工に従事されていた経歴の持主。今でも時々、細工が難しいのや急を要する仕事を頼み込まれて、七十路の腕を奮っていらっしゃる。

Dscn1417_sh01 見るからに難しそうな曲面等が見事に仕上げられていた。東京の大手百貨店の華やかな売り場を飾る設えになるそうだ。

午後、野良作業していたらポケットの携帯電話が鳴った。mYさんからだ。行方不明だった飼犬が4ッ日ぶりに無事帰ってきた、と弾んだ声 私も胸を撫で下ろした。


春塵

2010-02-26 12:57:27 | 八郷の自然と風景

Dscn1401_2  数日前からの急な暖かさで、庭の木瓜の蕾が膨らんできた。Dscn1406 馬酔木はもう七分咲きぐらいだが、折からの強風に煽られている。Dscn1402

菜園のこぼれ種から発芽した菜の花も咲き出したが、向うの山並みは春塵でぼやけて見える。

Dscn1397 春は嵐の日が多い。風が苦手のジュンは小屋の奥に入り込んでいる(写真上でクリックして下さいませ)。こんな日は何処から何が飛んでくるか分からないから、私も外出は出来るだけ避ける。特にビニール類は要注意だ。軽いから大きくても吹っ飛んで来て、視界を遮ったり身に纏わり付いたりして、歩いていても車を運転していても危険だ。

ジュンが甘えた声で鳴き出した。強風の中、近所のmYさんが干し肉のオヤツ持参で立ち寄られたのだ。mYさんの飼犬が一昨日から出たっ切りで戻らない、という。交通事故に遭う心配もあるし、庭や畑を荒らされて怒った方の通報で捕獲処分される可能性もある。4歳の雄犬だから、このところの暖かさで恋情が高まって雌犬を求めて行ったのかも知れない。

「こんなことになるなら、去勢しておけばよかった」と、mYさんは肩を落として嘆いた。無事に戻ってくれるますように・・・


茨城の親鸞聖人

2010-02-23 17:01:24 | 仏教

Dscn1396 茨城県立歴史館の特別展「親鸞~茨城滞在20年の軌跡」を、aHさんの車に乗せてもらって見に行った。aHさんは有機無農薬農業推進の先駆者であると共に、仏教にも造詣が深い方だ。

展示された数々の文書や像や絵は、茨城が親鸞聖人ゆかりの地であることを物語っていた。Dscn1390聖人は壮年期の20年間を茨城で過ごし、布教を進めると共に、主著「顕浄土真実教行証文類(略称「教行信証」=浄土真宗の根本聖典)」の骨格を著わしたという。

親鸞聖人直筆の教行信証(国宝)も展示されていた。最晩年に至るまで重ねられたという加筆修正の跡もあった。一見して「上手な字」とは言えない。端正な字に非ず、かといって奔放な字にも非ず。ガラス越しなのだが、その字が、その頁が、生きもののような感触を覚えた。aHさんも私も、暫くはその前を動けなかった。

八郷の板敷山が聖人法難の地だということは聞いていたが、大覚寺から出品されていた弁円(親鸞聖人を謀殺しようとした山伏。後に聖人に帰依した)の木像には初めて対面した。その人間味豊かな表情に心引かれた。

Dscn1395 歴史館を出て帰路の途中の岩間の「山路」で、aHさんと一緒にお蕎麦を食した。注文した「山路せいろ」には、「胡桃入り味噌だれ」と、「山菜入りとろろ汁のたれ」が付く。Dscn1391 食べ終わる頃合に、ご亭主が蕎麦湯を運んでこられた。続いて何やら持ってこられた、と見ればナント、獅子舞の人形だ!

祭囃子の音色と共に、テーブルの上で踊り始めた。踊り終わった後、拍手したりテーブルを軽~く叩いた りすると再び踊り出す。顎も耳も動か す。実に楽しく軽妙な動きに感心しきり 

Dscn1392_2 Dscn1393_2 私がカメラを構えたら、御主人は獅子人形を綺麗なテーブルに移し、花鉢を添えた。まるで吾が子の見合い写真を撮ってもらうみたい・・?でした


身も心も温まって

2010-02-22 18:57:13 | 暮らし

夕方冷え込む前に犬のジュンの散歩に行った。帰りに、当庵方向から走ってくる軽トラックに出会った。狭い山路だから、ジュンと一緒に藪の中へ避けたら、軽トラが止まった。当のIさんだった。当庵を訪ねて下さったのだが、留守だったので戻られるところだったのだ。

Dscn1388 荷台に積んであった聖護院大根と沢山の泥付き人参を下さった。御夫婦で丹精された作物だ。Iさんの家と当庵とは少し離れていて、親しくする機会は少ない。「無沙汰ばかりしておりますのに・・」と恐縮する私に、「前から来よう来ようと思っていたのよ」と微笑まれた。

戴いたものの一部で早速煮物を作った。聖護院大根のとろりとした舌触りと人参の味の濃さに食が進んだ。温かい煮物、そして新参者の私のこともIさんが気に掛けて下さっていたことを知って、身も心も温まってきた。 


探梅行

2010-02-21 17:13:18 | 八郷の自然と風景

Dscn1375 霜晴れの朝は冷え込んだけれど、昼間は気温が10度を超えた。近所のkSさんと獣道を抜けて片道30分ほど歩いた。

Dscn1377_2  視界が開けると、豊後荘病院の病棟が見える。広い病院敷地の飛び地のような一角に梅林がある。すべて白梅で、枝の剪定・整枝などに手数が掛けられている感じだ。手前の石碑には「南無阿弥陀仏」と刻まれている。病院で亡くなられた方々を追悼する趣旨なのだろうか・・

Dscn1378 当庵周辺の野梅はほぼ満開だけれど、此処はほとんどの樹が未だ蕾Dscn1381 状態。でも数本の樹は咲き出していた。一般の梅花より小ぶりで、何だか震えているようにも見える。近付くと、慎ましい香りがした。

1人だと長く感じる道だが、今日はkSさんとお喋りしながら歩いて短く感じられた。


骨の話

2010-02-19 17:39:50 | 健康・病気

Dscn1369_2 昨日は犬・鶏への給餌と犬の散歩の外は、庵内に引きこもり。朝起きたら10センチほどの積雪だった。先日の雪を「名残の雪」と見なしたのは訂正 

昨昼もずっと小雪が散らついていた。運転が下手だから車を出すのを控えたのだけれど、雪景色に閉じ込められて時を過ごすのも、たまには良かったかな?

今日は淡い青空が覗いた。八郷保健センターの「骨いきいき健康教室」に参加。私の骨量は若年成人骨平均値の78%。骨粗鬆症になりかけているのだ。

管理栄養士さんの丁寧で気さくなお話には質問も次々、大いに盛り上がった。「干椎茸は骨に良いけれども普通に売られているのは機械乾燥だからビタミンDは期待出来ない。生椎茸を買ってきて自分で天日干しした方が良い」という。

Dscn1374_2 次に登場されたピンクのユニフォームの若く美しい女性は運動指導士。骨折予防のために足の筋肉などを強くするための運動を、爽やかな声で指導してくださった。

職員の方々手作りの「骨粗鬆症予防食」も美味しく試食させていただいて、有難うございました


名残の雪

2010-02-17 19:12:30 | 着物

Dscn1348 当地の篆刻家aSさんから戴いた紬を着て、愛車で茶道の稽古に行った。姿見は近所のkSさんが譲って下さったもの。縁ある方々の御好意に支えられて「着物で茶道」を続けることが出来ている。

稽古は、まず大炉で逆勝手の薄茶点前だった。正客役の方から「お茶杓の御銘は?」と問われて、今朝の雪景色を想い出し「名残の雪」でございます、と応えた。

利休は「茶の湯とはただ湯を沸かし茶を点てて飲むばかりなる事と知るべし」と言ったそうだけれど、私は肝心のお茶を点てるのが下手だ。今日は私の点てた薄茶を大先生が喫されたので、正直ドキドキした。そんな私を気遣われたのか、大先生は「美味しいわよ」と言って下さったので、ホッ

次は本勝手の濃茶付花月。最初に「正客」役の札が当たり、続いて「初花」役の札が当たった。懸命に務めたけれど、やっぱりミスが多い。大先生と若先生、そして先輩の皆様からいただく御注意は初心の私にとって最上の糧だ。

Dscn1352Dscn1360_2  帰庵して菜園を見回った。初冬に蒔いたエンドウの芽が、厳寒を耐え抜いている。そばの畑土が棒状に引掻かれたようになっているのは、雉の足跡だ。 雉の恋の季節ももうすぐだろう。当庭のサンシュユの蕾(写真上でクリックして御覧くださいませ)も、春の気配を懸命に感じ取ろうとしているように見える。


晴れ間

2010-02-14 20:25:13 | 八郷の自然と風景

Dscn1340_2 積雪5cmほどの朝を迎えた。首都圏からtKさんとkAさん、そして筑波山の向こう側からsOさんが来庵して下さる日なので、電車や車への雪の影響が心配になったけれど、久しぶりの日差を受けて大方の雪はみるみる融けてくれた。

三人様は無事到着された。私は近所の篤農婦kOさんから譲ってもらった着物に岩間の友人kYさんから貰った帯を締めて出迎えた。

Dscn1342_sh01_2 tKさんは、私の人生の幾つかの節目で大変お世 話になった方だ。久しぶりに会うことが出来たtKさんのお顔を見て、何だか胸にこみ上げるものがあった。

当菜園産の野菜などを用いた拙い手料理の昼食を召し上がって頂いた。八郷の地酒「渡舟(わたりぶね)」をお勧めしたら、「美味しい!」と言ってもらえて、私も満足!

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盆略点前で薄茶を点てた。鉄瓶も風炉の中の炭も茶道専用の品ではないが、私の身の程に応じた道具ということで・・・主菓子は、お客様方が持参して下さった。

男性客のsOさんは茶道の稽古歴は無いが、tKさんの助言を受けながら黒楽茶碗を手にされた姿は大らかで安定感があって、殿方ならではの優雅さを醸し出されていた。kAさんは、私のためにお点前して下さった。美味しさと共に、一期一会をしみじみ味わったひとときだった。


ゴマ炒り器

2010-02-10 19:43:14 | 暮らし

今日は首都圏の友人eTさんが来庵して下さる筈だったが、急に体調を崩されたお父様のお世話のため、御来庵は無理になった。eTさんの懸命の看護の甲斐もあってか、お父様の御容態は落ち着かれたとのこと。取り敢えず安堵したが、人間は特に高齢になるといつどうなるか分からないという感を反芻している。

Dscn1337 温かかった昨日とは打って変わり、厚い雲が垂れ込めて時折冷雨がぱらつく。口淋しくなって、昨秋収穫の貯蔵落花生を少々取り出して食べることにした。

ゴマ炒り器で軽く炒って食べる落花生は芳しくて、身も心も元気が出てくる気がする。昨今はゴマ炒り器を売っているお店はなかなか見付からない。これは昨年eTさんが浅草の合羽橋道具街で求めて、私にプレゼントして下さったものだ。

「炒りゴマ」として市販されている品も、これで軽く炒ると風味が増す。当菜園産の大豆も、炒っただけで飛び切り美味しいオヤツに変身!


野焼

2010-02-07 18:18:44 | 俳句

の各戸から人が出て、田んぼの脇に集まった。2月の第1日曜日は野焼の日だ。早朝は低温過ぎて焼けにくいため午前10時集合だったが、15分前に私とkSさんが行った時は、もう皆揃っていた。野焼に直接携わるのは男性が中心で、女性達は主に「クリーン作戦」に参加する。焼かれて見通しが良くなった野に散在する空缶などのゴミを拾い集める役目だ。

Dscn1332 本格的な農作業の季節の前に、畦や土手や道路脇などの枯草を焼いて、害虫やその卵や雑草の種なども焼尽するのが野焼の目的だ。灰は土壌改良効果もある。

実は、の方々は野焼とは言わず「草焼」とか「芝焼」とか言う。「野」はやや抽象的な表現だから、「草」等と言った方が実感に合うのだと思う。また、野焼と言うと、野外での焼却が禁じられている産業廃棄物を連想する、ということもあるようだ。

野焼とか野火とかいう言葉には、大きな炎が立ち上がり、男たちが勇壮に振舞う風景をイメージする人が少なくないようだが、実態は違う。<野を小分けして野火這はせ老の村> という句を作ったことがあるが、野焼の様子を見ていると、たとえ「老の村」でなくても、風向きや人の配置を考えながDscn1333 ら細心の注意を払って少しずつ少しずつ焼いていかねばならない、ということが私にも分かってきた。先年、関東の別の地域で、慣れない人々が野焼に参加して火炎に囲まれ逃げられなくなった焼死事件があった。野焼には経験豊富な老人の存在が不可欠だと思う。

昨日ほどの暴風ではないが、時々強風で火煙が渦を巻くこともあった。隣のから消防団の青年団員が数名、水15リットル入りリュックを背負って応援に来ていた。小型消防車も待機していた。昼過ぎに無事に終了した。ゴミも沢山拾った。通過交通の車窓から投げ捨てられたと思われる空缶やペットボトル等々。人の目の少ない過疎地をゴミ捨て場だとでも思っている人々だろうか。