ドクダミの臭いを嫌う人が多いけれど、私は鈍感。梅雨湿りの木陰に白光を灯しているような花には神秘的な美しさがあります。花びらのように見える部分はガクだそうですけれど。
ただし、地下茎を伸ばして繁茂する生命力が凄まじく、抜いても抜いても、後から後から生えてきて辟易します。知人の言葉を借りれば、自分の庭に生えるドクダミは嫌いだけれど、よその庭や野に咲くドクダミは素敵! ということになります。
初夏には白い花が多いような気がします。もう花の盛りを過ぎたけれど、夏椿(沙羅)もクチナシもヤマボウシも白。
夏椿の花は、風も無いのに呆気なく、ボロリ、ボロリと、まるごと一花ずつ真下に落ちてしまいます。やがて木の裾は落花が積み重なり、美しかった白色も褪せて、まるで集団自決の場のような有様に・・
クチナシの白色には厚みが感じられ、その強い芳香にも魅せられます。キャサリン・ヘップバーン主演の映画「旅愁」のラストシーンを思い出してしまいます。このラストシーン、言わせてもらえばわざとらしいし、全体のストーリーも特段の深さがある訳ではないのに、観賞した記憶を懐かしく思うのは何故でしょう・・
しかしクチナシの花は、咲いた形のままで色褪せてしまうので、花木全体が襤褸を纏ったようになってしまい、老醜を晒しているかのようで無惨です。
ヤマボウシは今、小さな坊主頭のような果実が長めの首(花茎)の上に載っていて、花びらがいつの間に散ってしまったのか分かりませんでした。花びらと言っても、葉の変態のガクだそうですが。
ヤマボウシは、咲くときも散るときも目立たないんですね。地味だけれども気になる花です。
裏庭に咲いているハンゲショウも、一応白い花と言えるでしょうか。刷毛で刷いたように白くなっているのは、これも花びらではなくて葉の一種ですけれど。
初夏から梅雨期に咲く白い花は、風情がありますね。