みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

貝母咲く

2022-03-29 06:30:46 | 国際・政治
庭の貝母(ばいも)が咲いている。空を見上げることもなく、この世を憚り、ただ静かに大地へ還る日を待っているかのように俯いている。


ロシアは大量殺戮の非道を犯している。非難されるのは当然の理だ。右の人も左の人も、専門家も庶民も、口を揃えてロシアを非難している。
極悪非道のロシアを非難し、ウクライナへの同情を示すことは、即、自らの身の潔白を明かすことになり、自らを肯定し、他人からも肯定されることになるのだろうか?

最も激しくロシアを非難しているアメリカとは、どういう国か? 
東京大空襲で約10万人の人々を殺した国だ。広島へ原爆投下して14万人以上の人々を殺し、長崎へ原爆投下して7万人以上の人々を殺しておいて、未だに反省の弁を聞かない。
ベトナム戦争でも、イラク戦争でも、空爆等による大量殺戮を繰り返してきた国だ。

国際的秩序を守るための合意事項にロシアは違反している。非難されて当然だ。
しかし、非難しているアメリカは、何をやってきたのか? NATOという軍事同盟を東方へ拡大し、銃口をロシアへ向けて追い詰めてきたのだ。
ウクライナ大統領になったゼレンスキーは、合意事項たる「ミンスク合意」に違背し、履行しようとしなかった。

今回のウクライナ戦争の主犯はもちろんロシアだ。
しかし、こうなった責任はアメリカにもウクライナにもあることを不問に付すことは出来ない。

ロシアへの非難とウクライナへの同情は、「戦うウクライナ」への応援へと盛り上がっている。
戦争を煽っている。怖ろしいことだと思う。それは、ウクライナの人々を更に苦しめることになるのではないだろうか・・・






彼岸参り

2022-03-21 22:51:15 | 生死
1ヶ月ぶりに明圓寺【遊心庵】の樹木葬地へ寄った。小さな山寺のささやかなエリアで、いつもは風の音と野鳥の声が聞こえるぐらい。お彼岸の中日に当たる今日は、お参りのご家族と一緒の少女が春草の花でも見つけたのか、小さな歓声を上げていた。



白木蓮の蕾は、急がず焦らず、ゆっくり膨らんで満を持している。その幾つかは緩やかにほころび始めている。
昨年末、この樹の根元近くに亡父の遺骨を改葬した。

侘助椿の一枝を供えて合掌した。目を閉じても彼岸に至る境地には程遠い私である。
あの世に行けば亡父に会える、とは思わない。死は無だから。それでも、この同じ樹木葬エリアに生前予約していることに申し訳のような満足感があるのは欺瞞だろうか。欺瞞も一つの有用な思考方法かも知れない。

あと何回?

2022-03-16 10:23:14 | 八郷の自然と風景
裏庭のクリスマスローズの花が遠慮がちに開き、菜園の周りに移植しておいたラッパ水仙も咲き始めた。茶庭の傍らの侘助椿は花盛り。雑草と云われる草たちも勢いづいてきた。



シジュウカラ ツグミ ヤマガラ コゲラ カワラヒワ 等の小鳥たちが、競い合うように囀っている。雲雀は、ひときわ高い空で懸命な声を響かせている。ウグイスはもう上手に歌えるようになった。夜になると、裏山のフクロウが厳かな声で何かを告げる。

春の命の息吹を享受できることの幸せを思う。そしてまた私は、あと何回、春と出会うことが出来るのだろうか と思う。もう生きて出会うことは無いかも知れない と思う。そんな齢だと思う。

 

大空襲の日

2022-03-10 14:46:59 | 社会
東京大空襲の日である。10万人もの人々が殺された日である。

メディアはニュースのお尻の方で申し訳程度にそれを伝えている。聞いていて奇妙なことに気が付いた。この大空襲を、誰が、どの国がやったのかを全く伝えていない。まるで自然災害のように、大空襲があった と伝えているだけだ。

米軍がやったのだ。アメリカ合衆国がやったのだ。自由と民主主義の国とやらが、10万人もの人々を一挙に殺したのだ。1945年3月10日に。

それでは、日本という国はどうか? 大東亜共栄圏とやらを掲げて、朝鮮半島へ、中国大陸へ、東南アジアへ侵略していった日本はどうか?

大量殺人という蛮行を犯すのはロシアだけではない。

人間という生きものが、つくづく不気味で愚かで、「正義」の名において種の絶滅に向っているように思われてならない。そして自身もその一員なのだ。

小野越の北向観音

2022-03-09 22:46:57 | 俳句
俳句の会で久しぶりに小野越の北向観音堂へ行きました。老いた小野小町が峠を越えて当地を訪ね、観音様に眼病の平癒をお祈りしたら、願いが達せられた、という伝説があるところです。



御堂へ昇る石段は風情がありますが、足腰の弱った身には危険なので、右手の回り道を杖に縋ってお参りしました。形の良い屋根と弁柄色に塗られた外壁の可愛らしい御堂です。中を覗くと、色褪せてはいるものの、極彩色だったと思われる絢爛豪華な造りの厨子があり、半開きの厨子扉に半ば隠れるように観音像が安置されていました。

世界の平和と病者の平癒を祈りました。私が祈ったところで何の意味も無いのでしょうけれども、祈らないままでこの御堂を立ち去るというのも気持が不安定になりそうだったので。

一緒に吟行した8人の仲間のうち、二人が癌の闘病中です。この二人が、大変明るくて元気が良いのです。その一人は、抗がん剤治療の合間を縫って、久しぶりの参加でした。私だったら、癌と宣告されただけでグッタリしてしまうだろうに・・・ 他の6人も、加齢に伴う種々の病苦を抱えていますが、春らしくなった日の光や、小川のせせらぎや、藪椿や、ナズナ オオイヌノフグリ ホトケノザ 等々の草花などとの出会いに笑顔が広がりました。うち一人は、数年ぶりの参加です。

          再会を祝ぐや春草とりどりに

春なのに

2022-03-01 12:59:25 | 国際・政治
裏庭のクリスマスローズが、落葉の堆積の中から花蕾を起き上がらせてきた。



昨日は今季初めて雲雀の声を聞いたし、ようやく本格的な春の訪れを感じる。しかし、心は重くなりがちなこの頃だ。
人間という生きものは、なんて愚かなんだろう・・・ 人間関係の最高規範の筈の「人を殺すなかれ」。この規範を、「正義」の名において破るとは! 国家の名において大量殺人を指示するとは!

多くの国々から、多くの人々から、ロシアが非難されるのは当然だと思う。
それでは、多くの国々が、多くの人々が、ウクライナとNATOを擁護するのも当然だろうか?

【窮鼠、猫を噛む】という。

猫の国々は爪を研いで、数多の強力な爪を鼠の国の周辺に配置し、威嚇の包囲網を縮めていったが、鼠の国は旧体制の崩壊・混乱で疲弊していたから、猫の国々の為すがままだった。その間、窮鼠の国は猫の国々への恐怖と憎悪と深い怨念を貯めていったのだろう。やがて鼠の国は、豊富なエネルギー資源などを活用して力を回復し、今回の復讐の機会に臨んだのだ。

鼠を窮地に追い込んでいた猫の側にも「正義」は無かった、と思う。

世間の言説が一色に染まるときは要注意だ。現実は常に複雑なのだから。