みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

忘れることが出来ないこと

2021-10-19 09:20:59 | 文化
10/17放映のNHKスペシャル「横綱 白鵬”孤独”の14年」が、白鵬関の知られざる苦悩等の記録として反響を呼んでいる。

2013年11月の九州場所、稀勢の里との対戦で敗けたとき、多くの観客が「万歳三唱」した。そのとき、白鵬関の心がどんなに傷ついたか、も。
あのとき、観客たちの無神経さに驚き訝しんだ私は、白鵬関への関心を強くし、ファンになっていった。

実は、稀勢の里→荒磯親方こそ、白鵬関を深くリスペクトする1人なのだが・・・

このNHKスペシャルを視聴した近所の友人は、冒頭から感動の涙が続いたという。

NHKディレクターの廣川潤氏は、「最後の名古屋場所で優勝した瞬間、白鵬関が見せた”鬼の形相”と、ご家族の涙は忘れることが出来ません。その裏に、どんな思いがあるのか・・ それが今回の番組制作の出発点でした。」と語っている。視聴者に感動を与え得る番組が出来た理由が分かった感じがする。あのときの土俵上の”鬼の形相”と、観客席で涙にくれていたご家族の姿は、私も忘れることが出来ない。

横綱 白鵬関は、確かに”孤独”だっただろう。しかし同時に、ご家族を始めとする多くの人々に愛されリスペクトされてもきた。きっと、親方としてのこれからもそうなのだろう。

もうすぐ91歳の声

2021-10-09 22:19:26 | 文化
大沢悠里さんのラジオ番組で、元NHKアナウンサーの杉山邦博さん(1930~)が白鵬関の引退について語っていた。

白鵬の引退について話すとき、私は話の初めに先ず「有難うございました」と言いたい。そして話を終わるときも「有難うございました」と言いたい。

名実況放送と名解説で知られた杉山邦博さんの声を久しぶりに聞いた。もうすぐ91歳になられるというのが信じられないほどの張りと艶があり、歯切れよい声だ。大相撲への熱い思いが切々と伝わってくる声だ。

2010年に発覚した朝青龍の暴行事件や多くの力士と年寄が関与した野球賭博事件、そして2011年の八百長問題などで角界は大揺れの危機的状況に瀕した。

あのとき、一人横綱の白鵬が孤軍奮闘して角界を引っ張ってくれた。2011年の大震災でも、力士の先頭に立って被災地支援に尽力した。あのときの白鵬がいたから今日の相撲界がある、と言ってもよい。

連勝を重ねていた白鵬関は、2010年九州場所で稀勢の里に破れ、記録は63連勝で止まった。引退会見で、最も心に残る取組として挙げた2番の一つだ。

勝った稀勢の里も偉かったが、敗けたあとの白鵬も偉かった。何ごともなかったかのように淡々と振る舞って土俵を引き揚げた。

白鵬関へ投げ付けられる誹謗中傷に心を痛めていた私は、杉山邦博さんの話で大いに意を強くした。