同じ著者の「相撲の歴史」(1994年発行)が、学術書的であるのに比べると、本書は絵図や写真を多用して啓蒙書的な体裁になっている。県立図書館から公民館に取り寄せてもらって借りた。相撲の中身を知らないままに相撲ファンになった私には、楽しく気軽に読めた一冊だった。
2010年3月 朝日出版社 初版第1刷
相撲はそもそも「観客に見せる」ために成立しました。はじめは天皇や貴族のために、ついで神仏のために、そしてやがて広く人々のために。
現代スポーツの多くがアマチュアのプレーから始まったのとちがい、観客の存在を前提として生まれ、「見せる」ために行われるプロの技芸として育ったこと。そこに、相撲の歴史をつらぬく「秘密」があります。
確かに、単なる格闘技だったら、私はあまり興味を持てなかっただろうと思います。歌舞伎のような様式美と分かち難い魅力がありますよね。
相撲の場合、土俵ができたことによって「押し」が基本的な「わざ」となり、仕切り線ができたことによって立合いの当たりが勝敗を左右する重要な要素になりました。こうした改革によって、体重を乗せてぶちかますのが相撲、「大きくて強いやつ」が強い、という構図がいっそう明確になったのです。
大相撲は、体重別制がないというよりは、事実上、最重量級だけの競技なのであり、小さい力士が小さいなりに頑張れるような条件を用意してやろう、などという配慮は、いっさい払われていないのです。
もちろん、それに逆らって工夫を重ねる異端の存在が、大相撲をより面白くしてくれるのですが。
99キロの炎鵬! 人気急沸騰ですね! 新入幕の夏場所、特に千秋楽の取組には、私の心臓は止まりそうだった。「心が震えた」人や「涙が出た」という人も! 負け越してしまったけれど、名古屋場所での活躍を期待しています。大怪我しないよう、気を付けてね!
過去の名力士たちは、いずれも素晴らしい資質の持ち主でしたが、なかなか「完璧」とはいきません。大鵬はひざに欠陥があり、貴乃花は実は足腰がやや硬かった。千代の富士には軽量の難があり、北の湖は反り腰の粘りに欠けるところがあった、という具合に、あえて難点を見つけることは可能です。
現在の大相撲界に君臨する横綱白鵬は、巨体に加えて柔らかく強靭な足腰を備え、過去の名力士たちに勝るとも劣らぬ素晴らしい素質の持ち主です。そうした偉材が厳しい鍛錬を積んでこそ、頂点を極める強豪力士が生まれるのです。
だれがなんと言ったって、白鵬関は最強横綱! その上、炎鵬を内弟子として自らスカウトし、出世させた指導者でもある。少年相撲の振興や被災地支援にも並々ならぬ力を注いでいる。ヘイトグループのナントカ委員会とやらが何と言おうと、品格充分! 怪我を治して、またその雄姿を土俵で披露してください。
2010年3月 朝日出版社 初版第1刷
相撲はそもそも「観客に見せる」ために成立しました。はじめは天皇や貴族のために、ついで神仏のために、そしてやがて広く人々のために。
現代スポーツの多くがアマチュアのプレーから始まったのとちがい、観客の存在を前提として生まれ、「見せる」ために行われるプロの技芸として育ったこと。そこに、相撲の歴史をつらぬく「秘密」があります。
確かに、単なる格闘技だったら、私はあまり興味を持てなかっただろうと思います。歌舞伎のような様式美と分かち難い魅力がありますよね。
相撲の場合、土俵ができたことによって「押し」が基本的な「わざ」となり、仕切り線ができたことによって立合いの当たりが勝敗を左右する重要な要素になりました。こうした改革によって、体重を乗せてぶちかますのが相撲、「大きくて強いやつ」が強い、という構図がいっそう明確になったのです。
大相撲は、体重別制がないというよりは、事実上、最重量級だけの競技なのであり、小さい力士が小さいなりに頑張れるような条件を用意してやろう、などという配慮は、いっさい払われていないのです。
もちろん、それに逆らって工夫を重ねる異端の存在が、大相撲をより面白くしてくれるのですが。
99キロの炎鵬! 人気急沸騰ですね! 新入幕の夏場所、特に千秋楽の取組には、私の心臓は止まりそうだった。「心が震えた」人や「涙が出た」という人も! 負け越してしまったけれど、名古屋場所での活躍を期待しています。大怪我しないよう、気を付けてね!
過去の名力士たちは、いずれも素晴らしい資質の持ち主でしたが、なかなか「完璧」とはいきません。大鵬はひざに欠陥があり、貴乃花は実は足腰がやや硬かった。千代の富士には軽量の難があり、北の湖は反り腰の粘りに欠けるところがあった、という具合に、あえて難点を見つけることは可能です。
現在の大相撲界に君臨する横綱白鵬は、巨体に加えて柔らかく強靭な足腰を備え、過去の名力士たちに勝るとも劣らぬ素晴らしい素質の持ち主です。そうした偉材が厳しい鍛錬を積んでこそ、頂点を極める強豪力士が生まれるのです。
だれがなんと言ったって、白鵬関は最強横綱! その上、炎鵬を内弟子として自らスカウトし、出世させた指導者でもある。少年相撲の振興や被災地支援にも並々ならぬ力を注いでいる。ヘイトグループのナントカ委員会とやらが何と言おうと、品格充分! 怪我を治して、またその雄姿を土俵で披露してください。