みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

いなくなったら

2019-07-26 10:03:28 | 芸術
「伊藤比呂美編 石垣りん詩集」(岩波文庫 2015年発行)を、公民館図書室に取り寄せてもらって読んだ。
今や「戦前」となった時代において、この詩集の「戦後」の感覚が懐かしい。手放し忘れてしまった感覚の尊さが眩しい。



人間の宿命の感覚も、鮮やかに表現されていると思う。特に私の心に鋭利に刺さった一篇を記しておく。


     声

 釘に
 帽子がひとつ
 かかっています。

 衣紋かけにぶらさがっているのは
 ひと揃いのスーツ。

 本棚に本
 玄関に靴
 石垣りんさんの物です。

 石垣りんさんは
 どこにいますか?

 はい
 ここにいます。

 はい
 このザブトンの温味が私です。

 では
 いなくなったら片付けましょう。


梅雨曇りの薬師古道

2019-07-19 08:16:39 | 俳句
今日は4人連れのミニ吟行句会。昨日は久しぶりに晴れ間がほんの少しありましたが、今朝はまたどんより。

午前10時半、朝日里山学校に集合したときは霧雨。このくらいなら傘を差さずとも木陰の薬師古道を吟行できる! 相乗りで移動し、菖蒲沢のを抜けて、鬱蒼とした古道へ入っていきました。緩やかながら勾配があり、湿っているので滑りやすい筈ですが、心ある人々の尽力により段状に整えられていて、感謝しながら歩きました。

途中に「天白稲荷」という社がありました。小さいながら、木組みも土台もしっかりした造りです。阿吽の狐像の表情がなかなかの迫力です。

     

脊柱管狭窄症と側弯症で足腰が辛い私ですが、古道の深い趣きと連れの句友の心配りに支えられて、杖を突きながらも順調に歩き続けることが出来ました。木々の間を通して、柔らかに輝く薬師堂の屋根が見えたときは、本当に嬉しかったです。



筑波四面薬師の一つという御本尊の薬師如来は、威厳に満ちた表情で暗い堂内に座っていらっしゃいます。4人で掌を合わせて祈りました。

          御仏の眼光一閃万緑裡

この堂の外回りの木部は、つい最近、塗装し直したらしく、塗料の匂いが残っていました。境内の草も刈られ、紫陽花は剪定されています。御堂を大切に守って下さっている人々に改めて感謝しました。
 

石垣りん詩集から ・・・ 旅情 ・・・

2019-07-15 13:06:53 | 芸術
長梅雨のこんな日にふさわしい詩ではないが、あまりにも心に沁みるので、以下、書き留めておく。

          ふと覚めた枕もとに
          秋がきていた。
    
          遠くから来た、という
          去年からか、ときく
          もっと前だ、と答える

          おととしか、ときく
          いやもっと遠い、という

          では去年私のところにきた秋は何なのか    
          ときく。

          あの秋は別の秋だ、
          去年の秋はもうずっと先の方へ行っている  
          という。

          先の方というと未来か、ときく。
          いや違う、
          未来とはこれからくるものを指すのだろう?
          ときかれる。
          返事にこまる。

          では過去の方へ行ったのか、ときく。
          過去へは戻れない、
          そのことはお前と同じだ、という。

          秋
          がきていた。

          遠くからきた、という。
          遠くへ行こう、という。

「常陸風土記の丘」の紫陽花と蓮

2019-07-06 22:10:38 | 八郷の自然と風景
近所の年長の友人を誘って、常陸風土記の丘へ行きました。

「常陸風土記の丘」は、常磐自動車道の建設事業の際に発掘された「鹿の子遺跡」を記念して整備された公園です。竪穴住居などが再現された一部エリア以外は入場無料。春夏秋冬いつ訪れても楽しめるし、園内の整備も程よくて私のお気に入りの公園ですが、この季節に来たのは初めてです。

空は、今にも降り出しそうな暗い雲が怪しげに動いていますが、なんとか降らずに我慢?してくれています。時折、風が流れて、暑くも寒くもなく、「アジサイ日和」です。

緩やかな坂道沿いに、青色のアジサイが量感たっぷりに咲き並んでいます。こんなに沢山のアジサイが植えられていたとは!
ただ、時期的には盛りをやや過ぎて、咲き疲れ始めている感じでしたね。

アジサイと共に期待していた「スカシユリ」の花園が見当たりません。まだ、咲き終わって撤去されるような時期ではない筈・・・毎年の球根植えの手間の負担が大き過ぎるでしょうから、今年は取り止めになったのでしょうか?

その代わり、というわけではありませんが、まだ開花期ではないと思い込んでいた蓮の花が、一部、咲いていて、その美しさに友人と共に大喜びしました。

近縁種の睡蓮(スイレン)は開花期が蓮より早く、また、水面に浮かぶように咲きますが、蓮の花は水面を抽ん出ています。花の大きさも違っていて、蓮の方が一回り、否、二回りぐらい?大きいですね。でもどちらも、とても清らかで美しい!

仏像の、花のような台座は「蓮華座」と言われますが、「蓮華」は、蓮と睡蓮、どちらの意味も含むそうです。



     

これは古代ハスとも大賀ハスとも言われる蓮です。

1951年、千葉市検見川町の泥炭層から、丸木舟と共に蓮の種子3粒が発見されました。2千年以上むかしの種子でした。この内の1粒が、大賀一郎博士(1883~1965)の尽力により発芽、開花して、以後、国内外の各地に根分けされて増えたそうです。

余談ですが、大賀一郎博士は1917年から、当時の南満州鉄道(株)中央研究所に所属して研究していましたが、満州事変に至る軍部への抗議として退社したそうです。

友人も私も足腰が弱っていますので、マイペースでゆっくりと園内を回りました。ところどころにベンチが置かれていて、休憩もしやすい、有難い園です。

お昼は、園出入口にある御食事処「曲屋」(江戸時代後期の古民家を移築)で、週末限定という手打蕎麦を戴きました。天ぷら付で千円。気の置けない友人と一緒の食事は本当に美味しくて、風邪気味であることを何時しか忘れてしまいました。



その人の存在そのもの

2019-07-02 19:46:14 | 社会
山本太郎のれいわ新選組。その立候補の顔ぶれに度肝を抜かれている。そして・・・深く頷づかされている。

重度障害者、大手コンビニと闘う元オーナー、公明党の原点回帰を訴える創価学会員、等々。

政治を「やる」のではない、その人の存在そのものが政治になっている。その人の生き方そのものが政策になっている。