みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

滝不動

2014-10-26 21:07:20 | 俳句
俳句の会で久しぶりに鳴滝へ行きました。里から車なら数分で着きますが、鬱蒼とした林に囲まれ、滝の音だけが響いていて、秘滝の趣きがあり、しかも「滝不動」として里の人々に守られていて、私の大好きな場所です。気温はさほど低くない日ですが、滝に近付くとヒンヤリ。小さな滝壷に手先を入れたら、かなりの冷たさに思わず声を上げました。
 滝上の御堂には一尺ほどの御不動様が祀られています。堂庇に千羽鶴が吊り下げられていました。色褪せて年数を経ている様子。何年もずっと祈り続けている姿に見えました。

                  鳴滝の霧に濡れしや千羽鶴

有難い食材

2014-10-25 13:16:59 | 菜園
畑を一面に蔽っていた薩摩藷の葉が、秋冷と共に衰えてきました。太い蔓を刈り、根首を掴まえ、力を込めて引っ張り上げたら、立派に?育った藷がぶら下がって現われました。薩摩藷は救荒作物と言われるだけあって、いつも豊作。有難い食材です。今年は形もいい感じです。畝の幅と高さを大き目に作っていたからでしょうか・・ 日に当てると甘味が増すので、軒下に並べました。(画像の挿入、何とか出来たかしら?)

龍明の長楽寺

2014-10-21 13:50:40 | 俳句
俳句の会で久しぶりに長楽寺へ行きました。元々の地名は貉内(むじなうち)でしたが、近年になって龍明に変更されたのは、貉の語が偏見を招き易かったからでしょうか? 貉とは狸の別名と思っている人が多いようですが、Wikipedia に拠れば、主にアナグマのことを云うそうです。

龍明の公民館から長楽寺へ向かう道は細く静かで、傍らを澄んだ沢水が流れ、しっとり濡れた落葉の下を沢蟹が這っていました。頭上からは沢山の実を付けた通草(アケビ)の蔓がぶら下がっていたり。

簡素な仁王門には、一対の仁王様。四肢の全てに力が漲った素晴らしい姿です。空は時雨がちで、周りは鬱蒼とした森。ほの暗い中で、仁王様の目玉が強い光を放っているかのよう。向って右側の仁王様は、左眼を失っています。

                秋深し片眼の仁王爛々と

長楽寺は無住寺ですが、仁王門を潜って正面の薬師堂は、小さいながら均整がとれた美しい姿で、軒等に施された彫刻も見事です。堂内を覗くと華やかに装飾された厨子が見えました。中にはどんな仏様が祀られているのでしょう・・

この寺には天狗の伝説があります。長楽寺の天狗は親孝行で、津島という遠い地の盛大な祗園祭を見たいという老母を背に乗せて、飛んでいってあげたそうです。薬師堂の左手の石段を登ったところに、鞘堂で囲われた小さな祠があり、一本歯の下駄が奉納されていました。高い梢あたりから、野鳥の美しい声が聞こえました。エゾムシクイかな? オオルリかな? 

周りには電柱なぞ全く見えず、自然に包まれた静かな環境のためか、映画「座頭市」やNHK大河ドラマのロケに、しばしば此処が使われているのも納得されます。

泥吐き

2014-10-19 12:43:28 | 田んぼ
朝4時過ぎに起床。朝食を済ませるころ夜が明けます。寒くて重ね着して犬の散歩。犬と鶏たちに給餌し、一息入れてから愛車を駆って田んぼ用水ポンプ機場へ行きました。今日は、田んぼへの排水管に溜まった泥を吐かせる(=抜く)日です。私は昨日のうちに、用水路のゲートを閉じておきましたので、ゲート内側に水が充分に貯まっているのを確認し、ポンプ運転の準備をしました。

村のあちこちから委員の皆さんが集まりました。委員長の挨拶や説明を受けてから、皆さんはそれぞれ担当の田んぼへ出発。私はポンプを稼働させて水を送る役です。台風18号による大雨の際は機場周辺も冠水したので、取水口付近には流されてきたゴミが沢山引っ掛かったりしていました。用水路に接する畔の一部の土が流された被害もありました。来季までに復旧工事をする話がありました。用水ポンプの機械は幸い浸水から免れ、無事に運転できて安堵しました。

皆さんが泥吐きの作業をしている間に、私は機場まわりのフェンスに絡まったヤブカラシや昼顔やヘクソカズラなどのしぶとい!蔓を片付けました。マルバルコウソウも絡まって、鮮やかな花を付けていましたが、ゴメン! 片付けさせて頂きました。

追伸 ブログの引越しはしたものの、編集機能などが今までと異なり、少々慌てています。画像の挿入も成功せず、トホホ・・・ 

ブログ引越しのお知らせ

2014-10-17 07:47:05 | ブログ

 当ブログはOCNブログ人に拠っていますが、OCNブログ人が11/30で終了します(先般、この終了の通告をいきなり受けたときは仰天しました・・)ので、gooブログへ引越しすることにしました。みつばやま小零庵だより のタイトル等はそのままですので、引き続きお見守りいただければ嬉しいです。よろしくお願いします。

 これから引越し操作を始めますが、無事に引越し出来るかどうか、ちょっぴり不安です。でも何とかなりますよね・・


石岡の茶会

2014-10-13 15:31:59 | 茶道

Dscn0947 久しぶりに茶道の世界を楽しみました。市の文化祭の一環として、石岡茶道会が市民会館の会場に席を設けて下さったのです。私は初参加。当地の某茶人が誘って下さり、御一緒して下さいました。

裏千家の薄茶席では、亭主役がお二人で、同時進行の御点前でした。お一人は逆勝手で、所作が対称的な形。正客もお二人で、両側にそれぞれです。こういうお点前を拝見するのは私は初めてで、目を見張ってしまいました。お二人が互に相手の動きに合わせながらの所作は、並大抵のことでは出来ないのではないでしょうか。素晴らしかったです。

一方の御点前の道具は和物(日本のもの)。他方の道具は外国の物という説明がありました。日本と外国。ややもすれば険悪な対外関係のこの頃、和物での御点前と外国物での御点前とが互いの動きを尊重し調整しながら進められる様子を拝見していて、何だか感無量の思いがしました。

床の間の御軸は、「心」の一字でした。互に心を通い合わせることについて、さりげなく触れられた高松宗枝先生に、深い敬意を覚えました。

台風19号が近付いていて、無事に開催されるか危ぶんでいた茶会でしたが、帰り道でもほとんど雨に会わずに済んで、良き日となりました。


八豊祭(やっほうまつり)

2014-10-12 14:28:11 | 八郷の自然と風景

台風19号が来る前の、静かな日曜日。愛車を駆って八豊祭(やっほうまつり)に初めて行きました。会場は朝日里山学校です。

Dscn0935一人で出掛けたのですが、会場で悪友?達と一緒になりました。冗談を応酬し合いながら会場を巡りました。

Dscn0933 藁の縄や俵ぽっち(蓋)作り、陶芸や箸作りなどの体験コーナーでは、皆さん、オッカナビックリのような、楽しくてしょうがないような様子です。

お喋りで喉が渇いてしまって、「やっほうカフェ」のテントで悪友?たちはコーヒー、私はホットジンジャー250円を戴きました。生姜の風味が効いて満足!

Dscn0929 教室を改造した仮設舞台では、素敵な演奏も繰り広げられています。午後には「移住女子の子育てトーク」なども予定されています。

Dscn0926 搗きたてお餅の販売テントでは、威勢のいい男の子が大活躍。「若旦那!写真を撮っていいですか!?」と聞いたら、すぐさまOKマークを作ってくれました。小学4年生だそうです。

Dscn0932 顔馴染みのスタッフがいるテントで手打蕎麦を戴きました。広場の真中には、青竹で仮設のジャングルジムが出来ていました。会場は予想以上に賑わっています。

主催の実行委員会は、若手の農業者が中心になっているようです。そんな若い世代のテントで、新米の塩むすびと玄米ポップコンをお土産に買いました。

そのテントから声を掛けてくれたお二人とは、数年ぶりの再会です。祭のスタッフとして、清らかな若さが輝いていました。若妻と可愛い幼な子たちも一緒でした。

Dscn0941_4 田んぼ沿いの帰り道、用水路の両脇にミゾソバが群生。金平糖のような可愛い花です。


受話器の向こうから

2014-10-08 20:38:11 | 暮らし

庭の草花を投げ入れて床の間モドキに飾ったら、久しぶりに茶道の稽古をしたくなった。爽やかな空気のためか、気持よく独り稽古が出来ました。

Dscn0914かっての私は、人様から物を貰うのが苦手だった。物を呉れる人の気持が分からなかった。義理で仕方なく呉れたのか、そうでなければ何か下心でもあって呉れたのだろうか、などと疑った。人に物をあげるのも苦手だった。あげたり貰ったりするのは無駄なことのように思っていた。

そんな私の偏屈は、齢と共に多少の修正は経てきたが、大転換したのは当地への移住後だ。畑のものや手作りのものを戴いたり、着なくなった着物を戴いたり、旅の土産を戴いたり。戴くのが嬉しくてならなくなった。人に物を差し上げるのは、まだまだ苦手意識を抜け切れていないが、それでも、穫れ過ぎた野菜や烏骨鶏の卵を差し上げたり、戴き物をお裾分けしたり。

非常に御恩のある某婦人へ感謝の気持をどうしても表したいと思い立ち、先日、贈り物を送った。私なりに考えた上で選定した物だったけれど、お気に召していただけるかどうか、若干の不安もあって落ち着かなかった。

今日、その方から電話があった。いきなり「有難う!」と明るい声が受話器の向こうから飛んできた。そして贈り物が大変に嬉しかった理由を語って下さった。ドギマギした私がいつも以上に口籠ってしまったからか、「私が喜んでいる度合いは、たぶん korei さんが想像しているよりもずっとずっと大きいわよ。」と言われて korei の方こそ嬉しくて舞い上がりそうだった。

電話の後、ちょっとばかり涙ぐんでしまった。もちろん嬉し涙です。

今夜は皆既月蝕。お月様がまるで血豆のようになってしまった。地球人の罪を被っているかのように。

 


木村小夜子先生のことなど

2014-10-06 08:28:56 | 俳句

台風はまだ遠いのに、早くも降りだした雨の朝、白髪うっすらの好漢が運転する車に仲間と共に乗り、府中地区公民館へ。

恒例の俳句大会(主催:市文化協会&いしおか俳句同好会)です。開会は11時だというのに、10時前には百名ほどの参加者で会場が賑わっています。皆、俳句が好きでしょうがないんですねぇ。

初参加の私はキョロキョロ。自分を含めてほとんどが高齢者で、50歳代ぐらいの人が若々しく見えます。若い世代の俳句離れが進んでいるのは淋しいですが、若い人々が生き辛い世の中にしてしまったのは私たち高齢者の責任ですから、文句は言えません。

事前投句と当日句(席題「石」)の選句結果の発表と成績優秀者の表彰などが恙なく進みました。拙句の

    どくだみの花や昔の夢灯す

    自転車の父は吾を乗せ遠花野

    石蹴の石ぽつねんと秋の暮

成績はサッパリ。読み直してみると、句に迫力がないですねぇ。やはり句は人を表してしまうんですね。

木村小夜子 先生(俳誌「ポプラ」主宰)の記念講演には聞き惚れました。80歳ぐらいにお見受けしましたが、お優しくも凛とした風格を発していらっしゃいました。「茨城ゆかりの俳人」と題して、松澤鍬江平本くらら について語ってくださいました。

 天秤の水平に耐ゆ油照り      小夜子

 歳月は雛のうしろに置いてある     〃

 開かれぬ聖書うぐいす鳴きはじむ   〃

 海は炎天しんじつを語り合ふ     鍬江

 金輪際いっぽんきりの曼珠沙華   くらら

3時過ぎに閉会して会場を出たら、土砂降りの雨。4時近くに帰庵。留守番の孤独に耐えてくれたユキが、ずぶぬれの体で飛び跳ねて迎えてくれました。


秋刀魚の売場で

2014-10-02 15:52:29 | 暮らし

近所の御婦人お二人と共に愛車で10分ほどのスーパーへ。木曜日は全商品1割引なので、まとめ買いの常連客が多いようです。

常連客の中に、不自由な足を引きずりながら杖に縋り、よろめくように体を揺らして歩く男性がいます。60歳ぐらいでしょうか。ご自宅からの往復には乗合タクシー(市の補助により、自己負担は片道三百円。障害者は百円。)を利用されている様子。

この方と、秋刀魚の売場で出会いました。「秋刀魚の売場がいつもの場所と違う・・」(いつもの場所から2mほど移動していたのです)と、独り言のようでもあり、私に話しかけたようでもあり。

杖に寄りかかるように立っているその方へ、備えてあるビニール袋を渡しながら「秋刀魚は美味しいですよねぇ」と私。「(秋刀魚をビニール袋へ)お入れしましょうか?」と尋ねたら、「いえ、大丈夫です」と微笑まれました。そのお声が、傲慢でもなく、卑屈でもなく、実に爽やかでした!

親切の押し売りを断るのは、言い方が難しくてお互いに気まずくなることもありますが、その声と微笑の爽やかさに、私の心も久しぶりに爽やかになりました。

Dscn0911裏庭の秋明菊が咲き始めました。白い花びらが、明るいような、心もとないような 。