みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

路傍の画家

2018-05-30 10:24:41 | 芸術
江上茂雄さん(福岡県出身 1912~2014)の絵画展が、武蔵野市立吉祥寺美術館(吉祥寺駅北口から徒歩約3分)で開催されています。7月8日までです。作品集は手元にありますが、直接この目で鑑賞して体感したい! ・・・けれどヨタヨタのこの体では、吉祥寺は遠い・・・諦めざるを得ません。



江上茂雄さんは12歳のときに父親を亡くされました。高等小学校卒の15歳で就職し、定年まで働き、7人家族を養いました。この期間を含め101歳まで独学で絵を描き続け、2万点以上の作品を遺されました。土地の人々からは「路傍の画家」と呼ばれていました。

高価な油絵具が買えないため、クレヨンやクレパスで描かれた期間が長かったようです。加齢と御病気のため手に力が入らなくなってからは水彩画に取り組み、さらに最晩年に屋外写生が難しくなられてからは、かっての自作の風景画を元にした木版画に取り組まれました。



無名の画家でしたが、最晩年に、御子息たちの支援によりささやかな個展を開かれたところ、衝撃といってよい感動と反響を呼び、美術界関係者の目にも止まりました。以来、福岡県立美術館など、各地で展覧会が開催されるようになりました。東京での開催は今回が初めてです。

有難いことに、江上茂雄さんとは少し御縁があって、当庵に掲げさせてもらっている作品があります。



いつかどこかで見たことがあるような風景。でも、もしかしたら、どこか遠い遠い知らない国の風景のような気もしてくる、そんな不思議な絵です。(不器用な腕で撮った画像を載せてしまって、ごめんなさい。)

美しい背中

2018-05-25 12:48:44 | 社会
夏場所12日目の昨日、やはり負けた白鵬関。負けた背中は淋しいけれども、美しかった。

両者渾身の力相撲に、国技館内はもちろん、テレビ桟敷の人々も大いに力が入ったに違いない。ラジオ桟敷の私は、この一番の間、ラジオのスイッチを切った。白鵬関が負けそうな気がして、前日から心臓がドキドキして、聞くに堪えられない思いだったから。

でも、本当に強くなった栃ノ心に負けて、白鵬関も本望だったのではないか。白鵬関にとって、節目の取組みだったと思う。40回も優勝したんですもの、これからは準優勝などの役割でも十分過ぎるのではないか。

野球賭博などの不祥事で角界が低迷していた時代に、一人横綱として土俵を守り、今日の大相撲人気に導いてくれた白鵬関。大相撲の未来のために、少年相撲を支援している白鵬関。東日本大震災や熊本地震の被災地支援に率先して取り組んでいる白鵬関。地方巡業で人々との交流を大切にしている白鵬関。そして家族に優しい白鵬関。

子供たちは正直だ。ラジオを通して聞こえてくる白鵬関への声援も、子供たちの声が多い。

心ない誹謗中傷のバッシングにも耐えて、大相撲を牽引してきた白鵬関。これからは、半歩下がった位置からになるかも知れないけれど、大相撲の魅力を発信し続けてください。そして、幕内1000勝の目標達成をめざしてください!


夕方の鷹

2018-05-20 19:04:01 | 野鳥
夕方、当菜園の向こうの柿の木に鷹が飛来したのが見えたので、当庵の縁側から撮りました。



     

不器用な腕で撮ったので画像が不鮮明ですが、喉下の中央の黒っぽい縦線は、夏鷹のサシバの特徴です。当庵付近はサシバにとって住み心地が良いらしく、毎年やってきて、ピックィー という独特の声でよく鳴いています。

暮れ始めようとする時間ですが、まだ空腹が満たされず、獲物を探しているのでしょうか? 猛禽類も、生きていくのに必死だと思います。


頼もしい人

2018-05-19 12:42:11 | 田んぼ
今季は、村の田んぼの水利施設にトラブルが多い。老朽化した配水管からの水噴き出し事故が、12日に続き14日にも起きた。12日は地上部だったが、14日は埋設部。噴き出した水の勢いで周りの土が流れて、土手状の畦が1メートル余りの深さに窪んでしまったのだ。

水利施設関係の専門業者さんに急遽来てもらい、配管接手を修理してもらって、午前中は止めていた揚水機場のポンプも、昼から運転できるようになりホッとした。

しかし、大きく窪んだ畔を放置していると、後日の地震や大雨などで畔が決壊するのではないか・・と不安感に襲われた。畦が決壊したら、田んぼは大打撃を受けてしまう。この田んぼの主の真面目なお顔が脳裏をよぎる。村の役員さんに電話で相談し、了解を得てから、土建業者さんにお願いすることにした。

顔なじみの土建業者さんが、多忙な中、早速見に来てくれた。ひどい窪みなので、手作業では出来ない。現場は道路から少し離れていて、田んぼと用水路に挟まれた所。田んぼのシーズンが終わった後にやるしかない、との判断だった。この土建業者さんは、田んぼの主とも顔なじみなので、「話しておくよ」と言ってくださった。

それぞれの業者さんが、敏速に作業してくださったり、的確に判断してくださるのを目の当たりにして、「体を動かして仕事している人って、頼もしいなあ!」と、改めて感じ入りました。

鉄って・・・

2018-05-12 22:39:19 | 田んぼ
早めの昼食の準備を始めていたら、ポケットの携帯電話が鳴りました。近所の篤農家からです。茨城弁には慣れてきた、と自負?している私ですが、八十路の彼の話を聞き取るのには未だ苦労・・・神経を耳に集中させ、(恐縮でしたが)幾度か聞き直して分かったことは、田んぼの用水管にトラブルがあり、水が噴きだしている、修理してほしい、と。

急いで現場へ向かいました。



霞ヶ浦からの導水は土中埋設で配管されていますが、所々に地上部があります。空気弁と減圧弁の装置です。その鉄パイプが錆で腐食し、2センチぐらいの穴が開いて、そこから水が噴きだしているのでした。放置していると、噴き出す水の勢いで幼苗が傷んでしまいます。

この地区の維持管理の組合長さんに電話で状況報告した上で、修理業者さんに来てもらいました。若い人と年配者の二人でした。多忙な時間を割いて、急遽、来て下さったお二人に感謝! クイックテープという、包帯のようなもので応急措置してくださいました。



クイックテープは、水に濡れることによって接着力を発揮するそうです。作業用手袋をしていない年配者の手に接着剤が付着して、剥がれそうにないので、若い人が心配していました。私も心配しながらも、かなりの年齢差のあるお二人の間に心が通い合っている様子が嬉しかったです。

鉄錆による腐食は、この装置全体に進んでいるので、「今季いっぱいまで持たないだろう。地上部装置全体を早めに取り換えた方がいい。」とのアドバイスを受けました。確かに、ひどい錆です。



国営石岡台地農業水利事業が着手されたのが1970年、当地区に直結する第3揚水機場の通水開始が1984年といいますから、この鉄パイプは、30年以上経過しているのでしょう。年を経ると衰えるのは人間と同じ。鉄も生き物と同じ、と思う一方で、鉄って、見掛け倒しだなあ、とも。


御田植祭

2018-05-04 14:20:26 | 八郷の自然と風景
朝、俳友から電話があって、「今日、お田植祭りがあるよ。」という。場所は、根小屋の「泰寧寺」の近くの田んぼだという。早速出掛けた。当庵から愛車で15分ほどのところだけれど、表通りからはかなり入り込んだところで、少し迷った。





当該村がひっそり執り行っているのかと思っていたら、カメラをぶら下げた中高年男性等が数十人、見物にきている。主催は常陸宮総社だった。若い神主が地元の人々と共に準備していた。まわりの田んぼは既にほぼ田植済みだけれど、一部・・十メートル×三十メートルぐらいかなあ・・植えずに、この祭りのために縄が張られていた。

この季節の農家は、草刈りや田植や夏野菜の植え付け等々で、猫の手も借りたい忙しさだ。それなのに、こんな優雅な?祭りをやるなんて、よく頑張っているというか、不思議な感じさえする。常陸宮総社の威光ゆえか? 

この祭りに登場する早乙女たちは、広く募集して選ばれるらしい。私は所用のため、準備段階でこの場を離れたので、彼女たちの御手植え風景を見ることは出来なかった。

デッキブラシに感謝!

2018-05-03 10:31:46 | 田んぼ
連休中の村は田植ラッシュだ。次々に田水が張られ、代掻機が行き来し、田植機が入っていく。鏡田から植田へ、村の風景が日毎に変っていく。 苗ケースを運ぶ家族の姿も見える。機械が入れない隅などに、手で補植している家族もいる。日頃の家族関係が何となく垣間見えるようで、大変だろうけれど、いいなあ・・と思う。



田んぼ用水機場のポンプ運転は4/21にスタートした。4/29から私の当番で、1週間交代する。今年は霞ヶ浦水系にアオコが大量発生したようだ。季節外れの高温の日が多いためか?

このアオコが取水口のゴミ除けスクリーンに付着して、代掻き等で発生するゴミと共にスクリーンを塞いでしまう。その結果、取水口内の水位が低下して、ポンプの運転が出来なくなる。大事な田植期に水が送れなくなったら一大事だ。

スクリーンにべったりと付着したアオコとゴミを取り除くには、デッキブラシが有効であることに気付いた。10年以上前に購入したものの、使う機会もなく、物置の奥に眠らせていたけれど、こんな出番があるとは思わなかった。おかげでスクリーン掃除が捗る。デッキブラシに感謝!

田んぼのバルブから水が勢いよく吐き出されているのを見ると、私は何だか嬉しくなるのだ。余り苗の束がバルブの周りに置かれているのは、吐出する水の勢いで幼苗が傷まないように・・との(田んぼの主の)細やかな心遣いだ。