みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

茨城空港

2014-09-29 09:01:58 | 俳句

俳句の会の今日の吟行先は茨城空港。空港で俳句が作れるだろうか、という不安と、意外性があって新鮮かも、という期待と。

茨城空港は、自衛隊の百里基地の一部を民間共用化して2010年に開港しました。

当初は閑散としていましたが、利用客は増加しているようで、広い駐車場はぎっしり。旅客ターミナルビルも賑わっていました。行楽シーズンの日曜日だから特別の賑わいではありましょう。なにしろ、私たちのような、日頃は飛行機と何の縁もない者まで来ているのですから。

電光掲示板を見上げたら、福岡行きの便がもうすぐ離陸予定との表示。展望デッキに出ると、スカイマークが目の前に。搭乗が始まりました。

Dscn0909福岡は私の生まれ故郷です。もう20年ぐらい行ってないけれど。

    秋麗ら地上機楚々と動き出す

このスカイマークが轟音と共に離陸し、またたく間に青空の向こうへ消えてゆくまで、仲間と共に見入りました。

写真は、展望デッキの透明スクリーンを通して撮影したものです。このスクリーンは、当初は不透明のものが設置されていて、離着陸の風景は、スクリーン相互の細い隙間から覗くことしか出来ませんでした。自衛隊基地を見られたくないという軍事上の理由からだったそうです。でもあまりにも不評だったため、やむなく透明スクリーンに替えたとか。

Dscn0906(写真の手前の斜線は、スクリーンの反射のせいです) 向こうに並んでいる蒲鉾型の屋根等は、自衛隊基地の施設。左方の四角っぽい塔状の施設は管制塔でしょうか? ちなみに、民間機に対する管制も自衛隊の管制塔が仕切っているそうです。

    基地施設群や秋日の鈍く照り

今日は軍用機は見えませんでしたが、自衛隊百里基地では戦闘機の訓練もあり、また米軍との共同訓練も行われています。

いざ戦争となれば、百里基地は相手国からの恰好の攻撃対象となりそう・・ 県内には東海村の原子力施設もあります。恐いです。

長老の話によれば、戦前、基地が出来る前のこの辺りは、「百里っ原(ぱら)」と呼んでいたそうです。世の中が平和になって、戦闘機が消えて、「百里っ原」で子供たちが遊べる日を夢見たいと思います。

 


戴き物の味

2014-09-25 08:07:16 | 暮らし

近所の御婦人がビニール袋を握って、山路を歩いて来られました。袋の中には秋刀魚が一本。氷片が添えてあります。御主人の故郷の北国から送られてきたので、お裾分けに持参されたのでした。「たった一本で申し訳ないけれど」と、さかんに恐縮されましたが、独り暮らしの私には一本が最適の数量です。

秋刀魚は私の大好物ですが、近ごろはお安くない値段なので、気軽には味わえません。思わず歓声を上げて頂戴しました。

早速、塩焼きで賞味。スーパーで売っている秋刀魚とは格段の差のある上等の味に満足!御飯は、先日友人から貰った新米です。戴き物が美味しいのは、本来の味の良さもさることながら、その方のお気持が感じられるからなのでしょう。義理だけの戴き物の味は素気無いですものね。

Dscn0905 お皿に残った頭と骨は、飼犬のユキへ。日頃、図太い声で番犬の大役を務めてくれている御礼です。魚の骨が好きなのは猫だけではないようで、飛びつくように一気に食べてから舌なめずり。当年4歳で女ざかりの筈ですが、男っぽい気性です。犬は飼主に似るってホントですか? 


ありふれたもの

2014-09-21 14:16:06 | 暮らし

時折、無性に骨董市へ行きたくなります。秋晴れの今朝、行きたい気持を抑えられず、でも一人ではちょっと気力不足・・ 趣味(俳句・茶道)を同じくする先輩に電話したら、二ツ返事で御一緒下さることになりました。めざすは岩間の「栗の家」の骨董市です。

10時前に着いたら、広い駐車場はもうぎっしり。私たちは運よく、出ていく車の後に入ることが出来ました。会場は、談笑しながらゆっくり見回っている人、冷やかしている人、品定めしている人、値引き交渉中の人等々で賑わっています。

Dscn0887 日用品から高級美術品まで、小さいものから大きいものまで、ありとあらゆるものが並べられています。まず目を引いたのは薬研(やげん)。昔の道具って、造った人と道具と使う人との一体感を醸し出しているというか、見ているだけで当時の人々の暮らしぶりが想われます。

茶道具も沢山! 素敵な道具たちに(新品に比べれば桁違いの)割安感のある値段が付いています。私は千円の羽根箒(炭手前用)を欲しくなりましたが、我慢しました。

Dscn0893 その代り帯を二つも買ってしまいました。鍵格子模様(と言っていいのかな?)の名古屋帯は、段ボール箱に幾つもの帯と一緒に放り込まれていたもので、お値段は五百円。

Dscn0891 草花模様の袋帯は、他の帯が積まれた下からチラッと覗いていたもので、お値段は2千円。どちらもありふれた模様ですが、手触りが良くて汚れもなく、普段着として気軽に締められそうです。

最近の私は、ありふれたもの に魅かれやすくなったような・・

同行して下さった先輩は、掘り出しものの茶道具を見つけられて購入。お喋りしながら楽しい一時間半ほどを過すことが出来ました。


生きものたち

2014-09-18 14:29:26 | 八郷の自然と風景

Dscn0871 ムラサキシキブの実が染まってきました。当庭の本種は園芸用のコムラサキシキブで、沢山の実が付きます。これから日に日に紫を濃くしていくことでしょう。私は本当は、実が疎らな自生種の方が好きなのですが、ナイモノネダリのようで・・

Dscn0874 直径が2ミリにも満たない花を付けているのは、ザクロソウ。菜園の至る所に生えて、背丈が1センチになるかならぬかでもう花を付け、実となり種で殖えていきます。小さく弱い生きものが子孫を残す知恵? まるでゲリラのような雑草で、毟る手間がかかります。それでも花はやはり可憐ですね。

オンブバッタは親が子をおんぶしているのだとばかり思っていた私ですが、実は、大きな雌が小さな雄をおんぶしているのだ、と知ったときは、がっかりしながらも微苦笑させられました。菜園の食害の主犯は雌。

人間に比べればずっと少食ですが、何匹も来ると、小松菜の葉の先が破れかぶれに・・ 時々捕えて鶏舎に放ち入れます。鶏たちが争って啄みます。生きものは皆、罪を犯しあうのが宿命・・ 一番強欲で残酷な罪を犯すのが人間。

オンブバッタを捕えようとすると、上に乗っている雄が敏捷に大きな飛距離で逃げて、捕まえられるのは雌だけ、ということが多いのは、人間世界と同様?

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オンブバッタは赤紫蘇の葉が特にお好みです。カメラを近付けても逃げようとしないのは何故? 交尾中でした。失礼いたしました。

菜園の支柱には、ノシメトンボに混じってアキアカネが飛来していました。もう赤蜻蛉の季節になったんですね。

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煌めく朝

2014-09-14 09:15:51 | 書道

Dscn0854 昨日は月1回の書道教室でした。筆を執ったときの心持ちに変化を覚えます。緊張して息を詰め気味だったのですが、心が少し解けてきたような。

一昨夜は短時間ながらドシャブリの強雨。昨夜は雷雨。暗闇の荒気象は不安を掻き立てます。人間の、私の傲慢さが如何に不合理で滑稽なものか。そして憐れむべきものか。

Dscn0856 今朝は秋晴れ。濡れた野山が煌めいています。鵙が梢で叫び、イカルが軽快な声を発しながら飛んでいきます。

菜園の茄子の花は残り少なくなりましたが、けなげに咲いています。

この季節になると、ご近所の方々から沢山の栗を戴きます。冷蔵庫のチルドに1ヶ月ほど入れておくと甘味が増すと聞いていますが、とても入る量ではありません。

虫食いが進まないよう、大きなバケツほどの容器に入れて水に浸しました。水は朝夕に取り換えています。

鍋の大きさに程よい量を分け取って、茹でます。茹で終わった栗は包丁で半分に切ってから、スプーンで中身を出し、ラップで適量ずつ包んでから冷凍します。秋の味覚を長く楽しめます。

菜園の傍らに曼珠沙華が咲き始めました。

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大杉さま

2014-09-10 08:39:59 | 俳句

Dscn0846 俳句の会で、佐久の大場葡萄園と「佐久の大杉様」へ行きました。当庵からは愛車で10分ほどの距離です。

大杉は、大和朝廷から派遣された国司の後裔がお手植えされた、と伝えられており、樹齢は推定1300年以上。幹まわりは約9メートル、樹高は約29メートル。県指定の天然記念物です。

鹿島神社の神木とされ、長年の間の落雷や台風禍で満身創痍ながら、大場家を始めとする人々によって手厚く護られています。梢近くの枝葉には、意外なほど若々しい勢いを感じました。

   千秋を蔵す樹幹や神の杉

   つくつくや思ひの丈を繰り返す

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秋本番

2014-09-07 10:06:20 | 八郷の自然と風景

虫たちの夜の楽団が賑やかになってきました。主役は何といってもコオロギ。玉を転がすような音色を奏でてくれます。少し遠くからの透き通るようなひときわ美しい声は、邯鄲でしょうか。

昨夜も虫たちの合奏に包まれて寝入ったのですが、深夜、強い雨の音で目覚めました。

夜来の雨で大気がすっかり入れ替わったような朝です。秋本番の到来を感じます。

Dscn0831_3庵前の萩の花が少し咲き始めました。沢山の蕾が一斉に開くのももうすぐ。

Dscn0843 菜園で猛るような勢いだった苦瓜(ゴーヤ)も、葉が黄ばんできました。先月末から蒔き始めた大根が発芽し、ホウレン草、ターサイの種も蒔きました。紫蘇は開花期。野菜類の花は地味だけれど、上品な感じがしますね。

Dscn0836 裏庭の杜鵑草の花は小さく可憐な風情ですが、拡大して見ると意外なほどエロテック! 世間には、園芸用に品種改良?して大型の花にされた杜鵑もありますが、私は馴染むことが出来ません。

Dscn0837 秋明菊の堅い蕾は、ほんの少し膨らんできました。

村の田んぼはコンバインで見る見る刈田へ変貌しています。今夜は中秋の名月とか。雲の間から御姿を見せてくださるかどうか・・


遠くなる茶道

2014-09-02 13:49:10 | 茶道

茶道の師が・・大先生も若先生も・・療養中のため、稽古に通うことが出来なくなりました。

Dscn0823そろそろ還暦を迎えようという齢で俄かに茶道の世界へ入ってから7年余になります。その世界は、利休の時代のそれとは様相を大きく異にしているとはいえ、全く縁が無かった私には実に刺激的でした。

一見質素なようで贅沢。宗教的なようで世俗的。地味なようで派手。厳格なようで奔放。伝統的なようで革新的。あらゆる矛盾が混沌としながら独自のエネルギーを生成している世界。鈍感な私が、こんな世界にそれなりに魅入られたのです。

茶道の世界が遠くなる・・淋しいです。ましてや両先生は、どんなにかお淋しいことだろう・・ これまでのほぼ全人生を茶道に尽くしてこられたのですから。

今はただ、両先生の軽快を祈るほかありません。