みつばやま小零庵だより

宇宙の塵、その影のような私ですが、生きている今、言葉にしたいことがあります。

岩崎駿介著「地球を生きる」

2013-10-03 20:25:09 | 

Dscn3765八郷には様々な個性の人が移住していますが、岩崎駿介(1937~)ほどに異色な個性は珍しいと思います。

いわゆる まちづくり行政 の先駆けとなった横浜市の都市づくりを田村明の右腕となって推進。その後、国連のスラム課長を経て筑波大学で教鞭。その一方、NGO「日本国際ボランティアセンター」の代表やNPO「市民フォーラム2001」の事務局長として、難民・飢餓・紛争・環境破壊問題に取り組んだ、という経歴の持ち主です。

・・建築より社会問題に興味を抱くようになって、海外を遍歴し、建築より都市、都市より農村、農村より森林、森林より地球という風に問題を訪ね歩き、結局最後は人と人の争いが地球を滅ぼしているのだと感じるようになった。

61歳から63歳までの3年間は、政治にアプローチしようと(国政選挙に立候補し)頑張ったが落選し、それを契機に人知を超えた「時の流れ」というものを強く感じ、いまこの時代にあっては、いかなる善意にもとづく努力や行為もなかなか実を結ばないと感じるようになった。 

そこで長くかかわってきた南北問題と地球環境問題解決の現場から離れ、自分のエネルギーをより有効に生かそうと落日荘の建設に取り掛かった・・

Dscn37642012年度の日本建築家協会・環境建築最優秀賞に選ばれた我が家「落日荘」は、2011年度から8年をかけて、女房とほぼ二人だけで作り上げた。

著者は、・・開発途上国の自然資源・・人的資源を食いつぶすことによってのみ成長してきた先進国経済が、もう食いつぶす資源そのものが枯渇に近付いている・・  私は、人の利益を横取りして有頂天になりやすい先進国都市人には加わりたくないと思い、茨城県の田舎に住み、自分の食べるものはできるだけ自分で作りたいと努力してきた。・・と述べていますが、更なる内省も吐露しています。「落日荘」の空間もまた「都市」そのものではないのか?・・・と。

確かに率直に(私流に単純に)言えば、落日荘は大き過ぎます。過剰に自然を潰し、過剰に資源を消費しています。

以下は、「地球を生きる」上巻38ページ掲載の アメリカ先住民の心 です。思考の逆転を促す美しい詩文だと思います。 

 私たちアメリカ先住民最後の一人が死に絶えれば、私たち民族の記憶は、白人たちの神秘的な物語になってしまうだろう。岸辺のここそこは、私たち民族の見えざる死体に満ちあふれ、あなたたち白人の子どもたちのそのまた子どもたちが野原で、岸辺で、町の店々で、あるいは道なき森の静寂の中で寂しく思うとき、彼らは決して一人ではない。・・・・・夜、あなたの町や村の通りは静まりかえって、砂漠のように感じられるかもしれない。しかし、心配することはない。そこには、かってこの地に満ち、いまだこの美しき国土を愛し続ける私たち先住民の魂が満ち溢れているのだから。
 白人たちは、決して一人ではない。私たちと一緒にいるのだ。
 平和・・・・・平和は、私たちが私たちと宇宙との関係をよく理解し、宇宙と一つなのだと理解したとき、私たちの心の中にやってくる。その宇宙の中心には、偉大な心があり、その中心とは実際、世界のいたるところ、つまり私たち一人一人の心を意味していると理解したとき、平和は自ずとやってくるのだ。

『The Spirit of Native American by Anna Lee Walters:1989』 から抜粋


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4 コメント

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小零庵さま (岩崎駿介)
2014-02-24 09:33:41
小零庵さま
建設的なご指摘、ありがとうございます。ご指摘を受けてあれこれ考えてみたのですが、その結果をご賞味くだされば幸いです。私のFacebookに投稿したもので、以下のアドレスを開けばご覧いただけると思います。私の知人が設計されたお家とお聞きし、建設中に一度見に伺ったことがあります。

https://www.facebook.com/photo.php?fbid=513316235456032&set=a.240111712776487.54023.100003329800576&type=1&theater

これからもよろしくお願いします。
八郷 瓦谷  岩崎駿介
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岩崎駿介様 (korei)
2014-02-24 20:14:59
岩崎駿介様
 単純過ぎて見当はずれかも知れない拙文に御目を留められたことを知り、恐縮の限りです。その上、丁寧なコメントを有難うございます。
 ブログなぞをやっていますのに、私はパソコン操作が苦手で、御教示くださったアドレスを開こうと何度か試みましたが叶いませんでした。重ねての失礼をお許しください。
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押しつけがましくて、失礼かもしれませんが、私が... (岩崎駿介)
2014-02-25 02:56:46
押しつけがましくて、失礼かもしれませんが、私がさし上げた文中のアドレスを左ダブルクリックしますと、その部分全体が青色に変わり、今度はそれを右クリックしますと、幾つかの選択肢が出てきます。その内、「リンクを新しいうウィンドウで開く」を選択しますと、私のFacebookの画面が出てくると思います。お試しいただければ幸いです。
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岩崎駿介様 (korei)
2014-02-25 20:07:33
岩崎駿介様
 貴facebookの開き方の御指導を受けて再挑戦。 数度の失敗の後、ついに成功しました!
 「落日荘が目指したもの」が何であったかを、誤魔化さずに明言されたことに、敬意を新たにしました。「空間帝国性」こそ、落日荘の素晴らしさであり、同時に問題性でもあると思います。
 世間では、よく「人に迷惑を掛けない人間になれ」と子供たちに言ったりしますが、人は人に迷惑を掛けずに生きることなんか出来る筈がありません。そして人は自然を破壊せずに生きることは出来ません。自然への畏敬と破壊との矛盾を、どういう生き方で引き受けていくべきなのでしょうか・・・ 答の無いテーマかも知れませんが、せめて、答を求めようとする気持だけは忘れたくないと思います。
都市とは、是非はともかく、自然の破壊そのものですから、「都市の破壊性」に関する岩崎様の真摯な思考に学びたいと思います。
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