自家用菜園に小松菜の種を蒔いていたら、新緑の林から筒鳥の声が聞こえた。ポポッ ポポッと聞きなされているけれど、普通の人声より低くて、くぐもっている。
筒鳥の声は、どこか遠いところからやってきて、人間世界の有様に深い嘆息を漏らしているような感じがする。
小佐古敏荘氏(東大大学院教授 原子力専攻)が、内閣官房参与を辞任した。
辞任にあたって氏が配付した文書から、以下、抜粋する。
1 原子力災害の対策は「法と正義」に則ってやっていただきたい。
2 「国際常識とヒューマニズム」に則ってやっていただきたい。
つまり、政府の原発事故対応は、「法と正義」および「国際常識とヒューマニズム」に則っていない、という内容だ。
則っていない重大事実を、氏は列挙しており、その一部を以下、抜粋する。
今回、福島県の小学校等の校庭利用の線量基準が 20mSv/年 の被曝を基礎として算出、誘導され、3.8μSv/時 と決定され、文部科学省から通達が出されている。これらの学校では、通常の授業を行おうとしているわけで、(中略)全くの間違いであります。
20mSv/年 近い被曝をする人は、約8万4千人の原子力発電所の放射線業務従事者でも、極めて少ないのです。この数値を、乳児、幼児、小学生に求めることは、学問上からのみならず、私のヒューマニズムからしても受け入れがたいものです。
10mSv/年 の数値も、ウラン鉱山の残土処分場の覆土上でも中々見ることの出来ない数値で(せいぜい数mSv/年 です)、この数値の使用は慎重であるべきであります。
小学校等の校庭の利用基準に対して、この20mSv/年 の数値の使用には強く抗議するとともに、再度の見直しを求めます。
権力に迎合し、自己の識見を曲げて恥じない御用学者の世界の中に、ぎりぎりのところで良心を守る決断をした勇気の人がいたのだ。
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