
聴かせてくれるプロはソプラノ安藤赴美子、テノール西村悟のお2人、解説とピアノ伴奏は園田隆一郎さん 藤沢市民オペラ芸術監督をされてる方という3人だけのコンサート。
このお三方とも当然知らない。(案外有名なソリストさんだったのかも)入場料が3000円だとちょっと気が引けてて、あきらめてた矢先に、地元タウン誌に無料招待の記事があった。早速2通の応募を送ったら両方とも当選。やはりオペラはマイナーの感だし、小さいタウン誌では応募も少ないはず。当選するだろうと予測もしてた。
1枚は友人にプレゼントした。しっかり友人と使ってくれたよう。僕はかみさんと2人で聴きに行った。
3000円が高いといったん捨てた公演だったが、聴いてみて実にすばらしい中味だった。良かった。タダだったからじゃ決してない。うれしかったのはテノール。こんなきれいな声のテノール歌手が日本にもいるんだと再認識。ソプラノさんもうまいんだと思うのですが、「ずば抜けて」と思うほどではなかった。
だからテノールの西村さんについて。
すばらしいと思ったのですが、先に僕が思う欠点を。綺麗過ぎて、合う歌合わない歌があるように感じたんです。
オペラの男役ってどこか癖があって、色を感じる役が多いと思うのですが、西村さんはそれがない。その分今ひとつ楽しくなる歌じゃないように思えたのです。なまいきか? でも今日聴いてみてこの感じをつかめたのはいい収穫。オペラのアリアを聴かせてくれると「綺麗すぎちゃう。おもしろ味に欠ける」。ロシア民謡のような情緒豊かな、マイナーの歌曲を歌わせたら最高の歌唱力じゃないですかね。「最高」と思うほど綺麗で上手いです。そこは絶賛。
蝶々夫人のピンカートンを聴かせてくれましたが、ピンカートンって簡単に言えば不良じゃないですか。その感じがどうしても出てこない。その点では座間の先生のテノールの方がおもしろいと思うのです。=上手いと思うのです。
そこに気づいて、振り返ってみるとパバロッティ―とかドミンゴという有名テノールさんって色があるんだと解った。そして「だから歌って難しいものなんだ」と再認識したコンサートでした。
ついでに聴いてびっくりしたこと。 国際的な歌唱コンクールではだいたい3次試験くらいまであるらしいんですが、歌う言語は3つ必要なんですって。西村さんは伊語、仏語、ロシア語の3つでコンクールに出、2位になったらしいです。
それと安藤さんが昔話で「まだ発声も知らない時に・・・・」と話してくれました。ソリストさんって発声の勉強を通して声の出し方を根本的に変えることから始めてるんじゃないですかね。普通の会話だと話が聞きづらい感じがするのはそのせいだろうとかってに想像するに至りました。
いろいろありましたが、有意義なタダのコンサートでした。7月にも次回があるらしい。また「ただ券」を狙おう。