
今参加してる団体が8月の有料公演に客を集めるためと地元にもっとオペラファンを増やそうと企画したもの。小ホールに300人位の人を集めて開催された。
「演出家はどう演技をつけるか」を柱に実際のオペラの名場面をプロの歌声で聞かせてくれた。まず演技なしで棒立ちで聞かせてくれる。簡単な場面解説があって、次に演技をつけて歌ってくれる。そして演出家が何を考えて、こういう振付にしたか、こう演技つけるとこんな風な印象になり、作者の意図と違ってくるだろう みたいな話を聞かせてくれる。
真っすぐ客席に向って歩く振り付けは「強い意思、強い女」になり、ななめに移動するのは「不安、動揺」を感じさせるだとか、2人の会話の間にテーブルがあるのとないのと、移動もそのテーブルの前を通るのと、後をまわって動くのと、そんななんでもないような演技でもそれなりに意味をもってるというのだ。なるほどね。
演出家と役者の間にはその辺の意思疎通みたいなのがあって、「こう動いて」といわれれば「こんな感じ出したいんだな」が解るってことなんだろう。役者さんも場面、詞の内容はわかってるわけで、その辺の想いがうまく融合するといい演技が生まれるってことかな。
「動きがかもしだす雰囲気」なんて解ってないし、舞台の上で人に迷惑かけない、まちがわないで動くのに精いっぱい、神経の99%は歌うことにいってる身には遠い遠い別世界の話ですよ。
つきなみですが、あらためて感心。あれだけ歌って、あれだけ演技しちゃうんだから。プロはプロです。
だからアマチュアはアマチュアらしくあらねばならんのだ。歌ははずす、動けばころがる そんなんでいいはず。
またいいメロディーを発見した。ヴェルディの「椿姫」。父とその息子を愛するもと娼婦の別れ話場面。10分程掛けあいが続くのだが、娼婦が息子に対する愛を語り、別れることを決意する場面でのメロディーがとってもよかった。探さなくっちゃ。
夕方から自分達の練習があったので、娼婦を歌った鈴木先生にこの感想を話した。「ヴェルディ、プッチーニなど新しい作家の作品はメロディーが美しい」とのこと。
もうひとつ。今度の公演でムゼッタ役をやる前田さんも出演していて、そのムゼッタの有名な、僕が今一番好きなアリアを聞かせてくれた。ほんとのところは「もうちょっと妖艶な女性」を期待したのだが、その点はやや減点としてもうまいアリアだった。またこんなプロと共演できることが楽しくなってきた。はりきるというものです。