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本好きholyの覚え書き的日常のあれこれ

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19年目のholyのブログをそのまま残します。 同じ時は二度とやって来ない。これからも毎日を「一期一会」の心で過ごします♪

追悼 岡部伊都子さん

2008-05-03 | 本の紹介
随筆家の岡部伊都子さんが4月29日にお亡くなりになりました。
享年85歳でした。

岡部さんは日常生活の機微や日本の伝統美を
きめ細かくとらえたエッセーで知られています。

一方で反戦論者としても知られ、
本校の図書館に講談社現代新書 『二十七度線 沖縄に照らされて』
がありましたので読んでみました。

この本には岡部さんがいかにして作家になっていくのか、
その過程が書かれていました。
きっかけとなったのは、
沖縄で戦闘中に自決した婚約者の存在でした。
出征の前夜
「この戦争は間違っている。天皇陛下のために死ぬのはいやだ。」
と言った婚約者の言葉を理解できず、
彼女は「私なら喜んで死ぬ」
と日の丸を振って戦地へ送り出しました。
戦後白箱で帰ってきた婚約者の遺骨を胸に、
自らを「加害の女」と断じ続けました。

沖縄戦で負傷し自決した婚約者の足跡を追って訪れた沖縄の島々。
その旅を通じて知った
沖縄の苦難に満ちた歴史と現実、人々のまごころ。
時の風化のなかで忘れがちな沖縄の心を切々と語り継ぎます。
ここから作家岡部伊都子が生まれます。
「二十七度線」は奄美大島と沖縄本島の間を通っています。
この線を境に、日本は分け隔てられてしまっていたのです。

岡部さんは、物書きとして50年以上、126冊の本を書き上げました。
その間ずっと、美しいものを求める心をテーマにすえて書いてきました。

美しい日本の文化をたたえるエッセイを書きながら、
日本の悲しい過去が常に頭から離れなかったのは辛いことだったでしょう。
合掌。。。