カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

アメリカ的でないアメリカの多様性

2023-09-26 | 睦月ちゃん

 ミニチュア・シュナウザーはブルース・リーが愛犬として飼っていたために、特に有名になったともいわれている。だが、別段それを意識して僕らはシュナウザーを飼っているわけではない。それはあくまで結果であるという事だけのことで、以前飼っていた犬と似ていたから気になったという、きっかけがあったからである。しかし似ていたのはそういう雰囲気上のものであって、実際に飼いだしてしばらくすると、やはりぜんぜん違う犬だということが分かるようになる。それはしかし失望を含んでの違うということでは無くて、違っていて全然全く問題の無いものであった。似ていようと似てなかろうと関係なく睦月ちゃんは可愛い、という事実がそこにあるだけのことである。そうして大好きなブルース・リーも、この犬種を飼っていた。彼はどのような思いで、この犬を見つめていたことだろうか。
 ブルース・リーは米国生まれの香港人だが、やはりアメリカで暮らした月日が長く、そうしてアメリカで成功するために努力した。カンフーを使ってのアクションに自信を持っており、どうしても自分が主役のドラマなり映画なりを成り立たせたかった。その為に甘んじて脇役を演じ、チャンスを待った。脇役としての一定の人気を得ながら、しかしアメリカ社会では東洋人を主役に据えるのは、常識的に許されるものではなかった。ブルース・リーは、アクション指導などの裏方にも徹し、映画関係者との交友の維持を図った。そうする中で、自分で脚本を持ち込んだりして、なんとか主役の座を得ようとした。しかし脚本を使われることがあっても、主役に抜擢されることは無かった。既にアメリカ人の妻をめとっており、自分はアメリカ人だという自負もあったことだろうが、東洋人としての風貌である限り、アメリカの映画界では、その常識を破ることができなかったのである。
 結局香港に戻り、香港で映画を作る機会を得て、凱旋しての活躍ということになり、一気に人気が沸騰した。香港ではもちろん記録的な人気を博したが、その人気は海外にも飛び火した。カンフーブームを巻き起こすとともに、アメリカ資本にも注目されることになった。そうして初めて、ハリウッド資本の映画を作るに至る。その作品は世界的な大ヒット作となり、ブルース・リーは東洋人としては初めて主役作品を演じた人物でありながら、世界的な大スターとして認められるに至った。しかし残念ながら、その大ヒット公開を前に突然亡くなってしまっていたのだった。
 ミニチュア・シュナウザーは、本国のドイツよりもアメリカで人気が高く、アメリカで改良がすすめられた犬種である。名前はドイツ語でありながら、アメリカのスターであるようなものである。ちっともアメリカ的では無いが、多様性においてはアメリカ的である。やはりブルース・リーの逸話と共にアメリカ人になじんだ犬として、世界的に親しまれるようになった犬だと言えるのかもしれない。まあ、ちょっと風変わりなところもあるが、そういうところも含めて、非常に愛くるしい存在なのであった。
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