カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

子供のまま大人になるという事

2018-01-01 | Science & nature

 犬の先祖はオオカミである。犬直系の先祖のオオカミの種は、すでに絶滅したと考えられている。しかしながら犬は、基本的にオオカミとも交配可能で、種としては極めて同種のままである。それでもはっきり違うほどの差があるように、進化の過程で違う道を歩んでいるように見える。
 実は人間も、サルとの種としての境界は極めて近い。遺伝上はチンパンジーなどとほとんど違いは無い(交配は出来ないほどになっているが)。
 犬と人間との関係は深いが、進化の過程もこの種はとても似ていると言われている。それはネオトミー(幼形成熟)と言われているものである。本来オオカミは警戒心が強く、自分たちの仲間以外に対しては、常に攻撃的である。同種でも群れが違えば咬み殺してしまう。オオカミの子の時はイヌと変わらぬ生態や性質であるが、大人になるとまったく違う性質になってしまう。要するに犬は大人になっても子供の性質を残したまま、遊んだり好奇心旺盛だったり、警戒心がゆるいのが特徴なのである。野生動物が自ら人間の方に近づくことは極めてまれなことだが、人間と犬との関係では、犬の方から人間に近づいたと考えられている。その時に既に人間の方もネオトミーがおこっており、サルとの分離する警戒心の薄い性質が生まれていた様子である。そのようにしてお互いが出会い、共生するようになったと考えられている。
 チンパンジーなどは、あまり周りの空気を読んだり相手に同情するなどの感情は薄いようである。そのような相手の心を読むような性質は、犬の方が高いといわれる。また人間の方も、そのような犬の性質を真似て、群れの円滑な関係を保つ努力をしたとも言われている。現在の人間社会への影響も、犬と共に暮らしていたことと無関係ではなさそうである。
 もちろんネオトミーは、野生の中で生きて行く上では、かえって危険な要因である。警戒心が薄い所為で、進化の途上で絶滅した種は数多いことだろう。また、人間に飼われている動物の多くは、このネオトミーが少なからず起こる事が知られている。人為的にそうされている動物(交配の選別などによって)も多いが、犬のように飼われている歴史が長くなっている猫なども、将来的にはイヌと同じような性質になっていくのかもしれない。もともと犬猫は共通の先祖をもっている訳だし、別れていた道は、将来は同じになるのかもしれない。
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