カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

寂しくても、近寄ってくる人には注意が必要だ   八月の鯨

2017-12-19 | 映画

八月の鯨/リンゼイ・アンダーソン監督 

 なんだかすごく昔の有名な女優の共演という事で著名な映画。そういう訳で高齢率が異常に高く、この映画に出ている人で現在生きている人なんているんだろうか?
 小さな島の岬の家で暮らす老姉妹。夫には共に先立たれている。姉は目が不自由なようだ。そんな姉の世話をしながら妹は、姉の頑なな考えに手をこまねいている。訪れる限られた人々との交流はあるが、基本的には二人だけの寂しい日々である。皆は親切に接してくれているのだが、やはりそれぞれに事情があって…。
 アクションなど一切なしの静かな演出ながら、心の葛藤を見事に描き出している。会話がゆっくりなので、僕なんかには英語の勉強になったりした(話している単語が、日本人にもよく聞き取れる)。
 年を取るのはなんだか悲しいというのは分かるが、これほど切実なのもなかなか少ない気がする。さらに外国の作品なので、あちらだと年をとってももっと頑張ろう、などと言いだしかねない。なんとなく日本的な心情を描き出したような作品と言えるかもしれない。会話自体は西洋特有の大げさな修飾の多い社交辞令だらけだが、心の中の言葉は、ちゃんと皆心得ているのである。僕なんかは自己中だから、彼らのようには相手のことは分かっていないかもしれない。そういう意味では、やはり年を取ると人間というのは深みが増すと言えるのであろう。もっともそれすら分からなくなる可能性はあるのだけれど。
 ちなみにこの姉妹。実際の年齢は妹の方が15ほど上である。それぞれサイレントの時代から活躍し、お互いに100本以上の作品に出演したという。ググったらやっぱり二人とも亡くなっておられました。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 長い夜 | トップ | 深くは考えないから上手くいく »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。