カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

マリファナと青春   バッド・チューニング

2023-11-10 | 映画

バッド・チューニング/リチャード・リンクレーター監督

 70年代のテキサスの高校生のバカ騒ぎを、そのまま演出した映画。何故かアメリカではヒットしたらしいが、日本では未公開だったのだろう。改めて観てみると、これは日本ではウケないという配給側のあきらめがよく分かる。今となっては凄いキャストなのだが、当時は無名の俳優ばかりが、マリファナ吸って、ビール飲んで、時にはモノを破壊して騒ぎまくっている。多少のエッチもあるのかもしれないが、基本的にはバカ騒ぎばかりの映画である。これにいったい何の意味があるのかさえよく分からないし、実際それらの会話の中に、彼らの当時の今が語られているとはいえ、なにか重大なメッセージが隠されているわけではない。これだけみんなフラフラになりながら馬鹿ばかりやっている高校生というのは、実にアメリカが豊かだということに過ぎない。でもまあ、それでも悩んではいるんだよ、ということかもしれないが。
 やっていることは無茶苦茶だが、しかしアメリカにも先輩後輩の厳しい序列があって、高校生に上がって来る下級生には、意味なくケツバットの洗礼をしたり、王様ゲームのような無茶難題を吹っ掛けて懲らしめて遊んでいる。序列に反抗する向きも無いでは無いが、基本的には逃げ回る以外に手が無い状態だ。今でははっきりといじめや虐待に当たるだろうが、公然と行われていた時代があったのだろう。高校生とはいえ、皆が車を乗り回し、酒を飲んでマリファナを吸う。やっぱりちょっと、日本では考えられないハメの外し方である。よくまあこれで死人が出ないものだと、呆れる。警察も動くが、まあ、注意程度といった感じだ。実に寛大なのである。
 でもまあ大人の階段を上る段階で、親のすねをかじりつつも、これからの進学もあるし就職もある。フットボールで頑張らなければならない現実もあるし、その中での厳しい縛りもある。自分たちは主体的に何を考えて、そうして実行していくか。だらだらとマリファナ吸いながらしゃべりあい、そうしたことと一時逃避しながら、頭から離れないことに向き合わざるを得ない、ということなのだろう。実にくだらないことを考えながら、しかし彼らはある意味で素直である。小さなことにこだわって喧嘩して、しかし周りの目を気にし、慰めてくれる仲間に救われる。そういう意味では、やはりどの国の若者も、そんなに変わらないとはいえるのかもしれない。実は日本人にはそんな体験無いから、よくわかんないんだけど……。
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