カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

悪い奴らから金はとっていいのか   ハスラーズ

2021-01-09 | 映画

ハスラーズ/ローリーン・スカファリア監督

 もともと夜の街で働いていた東洋系の女性が、ストリップ・ダンスを売りにする店で働くことになる。そこで知り合ったトップダンサーと友情を深め、そこそこ稼げるようになったところでリーマンショックを迎え、業界は激しく落ち込んでしまう。夜の街以外にろくに仕事ができない女たちは、まだ証券業界では稼いでいる男たちから、金を巻き上げることにするのだったが……。
 ジェニファー・ロペスの迫力あるエロチックダンスなどが話題になり、それなりにヒットした作品である。エロ目的の人が多かっただろうことは考えられるが、監督さんが女性なので、男目線からすると派手な割にそんなにエロくは無い(これはもう仕方ないことだが)。さらにお金を稼いだ男たちから、お金を巻き上げて何が悪いのか? という倫理観が根底にあって、そういうところがこの犯罪の面白さのような見せ方になっている。もちろんやばいことをやっている自覚はあるのだが、いわゆる反省のかけらも無い。悪い奴らが汚い金を稼いで、女にうつつを抜かして金を使うのを手伝った、程度にしか思っていないからだ。しかしながら、やっていることは相手の酒に薬を混ぜて眠らせて、キャッシュカードの番号を夢うつつの男から聞き出して引き出して逃げるというもの。映画でははっきりとは描かれてはいないが、恐らく起きているときに、簡単にはひとには言えないことをしている可能性が高い。だから男たちの多くは被害届けも出さず泣き寝入りしてしまう。そこに付け込んで、またターゲットを釣り上げて、犯行を繰り返していたわけだ。
 日本でもぼったくりバーが話題になったことがあるが、そういうのには警察も民事不介入なので厄介なことにはなるにせよ、大金を無謀に盗られたら被害届を出す。盗んだお金は返すのが筋だ。要するにそのような犯罪を断行し、失敗に至るお話である。その当時はそれだけ華やかに金を使う馬鹿なお金持ちがたくさんいて(たぶん今もいるはずだが)、それに乗じてこのようなことをして稼いだ武勇伝があるということなんだろう。
 こういう映画をどう評価するのかは、あんがい難しい。倫理の点で引っかかってしまって、そういう中での犯罪心理が上手く理解できないからだ。女性たちの友情はいいのだが、今時マフィアのボスだって、もう少しは自分なりの倫理観があるに違いないのである。子育てのために仕方がなくやったということであれば、高価な毛皮のコートが本当に必要なのだろうか? 
 まあ、娯楽作である。悲しみもあって評価が高いということなら、それはそれでいいでしょう。なるほど迫真の演技と華やかな犯罪劇の顛末と、男達への制裁を考えてみる映画なのだろう。
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