カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

やす君に首ったけ

2021-01-03 | 感涙記

 NHKに「行くぞ!最果て!秘境×鉄道」っていう番組があって、これの短縮版というか、一応ミニという名称がついたものが朝から何度も流れていた時期があった。場所によっては音尾琢真さんという人が出ていて、それもたいへんに面白くてよかったのではあるが、しかし、僕が熱中したのはほかでもなく「やす君」で、見だしたら止まらなくなって、家族からは呆れられたのだけど、全部録画して観たのだった。


 やす君が素晴らしいのは、枚挙しても足りない。ああ、そうだった。そもそもやす君というのは、本名を古原靖久さんというらしく、俳優さんとして活躍されているらしい。俳優としては見たことがないので何とも言えないが、この人がものすごく面白いのである。


 秘境鉄道なので、ものすごく不便なところに行く。僕は元バックパッカーの端くれなので、これはものすごく興味があったのという前提はあるかもしれない。行くところはうらやましいところばかりなのだが、ともかく、いったん社会人になったのなら、もう行くには時間的にほぼ不可能なところに行くのだけれど、これがまずはものすごく面白い。でもまあ、誰かが選ばれていくのであれば行くのであろう。しかし,やす君が行くのは、ちょっと様相が違う。何度も予定が狂い、そうして待ちぼうけして、駅とはとても思えないような場所に降り立ち、途方に暮れる。しかし、やす君は、全然めげないのである。うわーッという絶望を目の当たりにして、本当に面白がっている。いや、困っているのだが、もう困るけど仕方ないと達観している。それももう、瞬時に。



 僕はもうほとんど毎回爆笑しながら番組を見ていた。これはやす君の性格番組ではないか。言葉はろくすっぽできないが、通訳がいるので体当たりで、でも大筋では合意していて、暇なら子供と遊び、時には真剣に仕事を手伝い、長距離のレースにも参加し、馬にも乗って、鉄道以外の秘境にも行ってしまう。口に合わない食べ物もあったに違いないが、食べたらうーん、うまいと叫び、どんな味なのか例えを出して教えてくれる。酒を飲む場面はなかったと思うが、旅先で人々と溶け込んで楽しんでいる。そういう雰囲気が、ものすごく見ていて楽しい気分にさせられるのである。秘境鉄道なので、番組はあえて過酷なところにやす君をいざなう。でも、まったくそれにめげてなくて、受けて立って、楽しんでしまうのだ。こんな素晴らしい青年が日本人として居たなんて、僕は驚きながら、感動するのだった。


 もうこのような秘境に行くような機会は、それこそ定年しない限りできないだろうが、でもまあ、若くないとこのような旅というのは、面白くないのかもしれないな、と思う。なにしろ、大変である。現地の人も大変かもしれないが、旅行では、予定というのがある。その枠にはとてもあてはまらないし、時間どころか、金もかかる。番組ではよくわからないが、ものすごくたくさんの不都合の上に、この旅が行われたはずなのだ。いじめや拷問に近い感じすらする設定にあって、最後まで楽しめる人なんて、そうそういるはずがないじゃないか。その代表として、やす君がいるのだ。
 再放送があるのかどうか知らないし、DVD化される予定があるのかどうかも知らない。でも皆さん、そういうことがもしもあるとするならば、迷わず買いである。やす君、今後も頑張ってください。
コメント
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