今回は、いわゆる佳作というか、でもそれだけも無くて、いわゆるあんがいいい映画じゃん、というような印象に残った作品の紹介である。
「恋のドッグファイト」は、アメリカのようなところでも、こんなシャイな恋愛があるんだなあ、という感じかもしれない。おそらく十代なので、性的にも興味があってひかれあう年頃である(いつでもそうだといえばそうかもしれないけど)。でもまあ、最悪なことをしてしまって、お詫びというか、いきがかり上というか、二人は一晩いろんな体験をする。はっきり言って何でもないようなことばかりなのだが、これで二人の一生が、事実上決まるようなものだ。お互いを信用しあうというのは、そういうことなんじゃなかろうか。
「ひみつの花園」は、ものすごく変な話だけど、ものすごく力のある作品じゃないかと思う。主人公は馬鹿には違いないが、人生というのはバカみたいなものなのである。でも、そのためにどう生きたらいいのかということは、多くの人には分かっていない。しあわせとか幸運とか、どこからか降ってくるのを待っているような人生ほど、つまらないものは無いのかもしれない。
「すべては海になる」は、ひょっとすると女の人のやさしさというものが、自分自身の人生の多くを奪ってしまっているのではないか、ということに気づかされるのではないか。僕もこれを観て、なるほど、そういう人がいるのかもしれない、と改めて考えさせられた。女の人は自分の性を、同情心のようなもので、相手に与えてしまっている。それは、自分に返ってくるはずの期待であるはずだ。しかしその期待は、恐らくだが返ってくるはずが無いのだ。そんなのあたりまえである。自分の主体性とは何か、とか、性と感情は一体であっていい、という当たり前の話なのだが、まあ、深読みしすぎですかね。
恋のドッグファイト/ナンシー・サヴォカ監督
ひみつの花園/矢口史靖監督
すべては海になる/山田あかね監督