王様のためのホログラム/トム・ティクヴァ監督
中東の王様に3Dホログラム映像システムの営業をかけることになる。現地に行ってみると、炎天下、それなりに立派だがオフェスはテントだし(エアコンが効かない)、秘書に問い合わせてアポを取っているが、王様はいつも不在。八方ふさがりにみえた中、背中に瘤ができて、体調の方も悪くなっていく。
笑えはしないが、一応コメディなのかもしれない。向こうではこういう妙な絶望的設定を自ら笑ってしまう自虐的なコメディというのが時々つくられる。一緒になって困っていって、さて、本当にどうするか、というカタルシスを得ようという算段なのかもしれない。
だからこの場合の設定から考えて、最終的には営業がうまくいかなくてはいけないような気がするが、物語はちょっと違う風に展開していく。中年以上の男女のためのお話というか、なんというか。これって恋愛映画だったのか…。
というわけで、意外な展開ではあったわけだが、面白かった訳でもない。中東の様子はなんとなくわかるけれど、ものすごく金持ちが何やら高い車に乗っているけど、何をやっているのかミステリアスで、本当に仕事をしているのか分からない。結局夢の国のようだ。
王様といっても、ふつうは一人なのだろうが、あちらの国には様々な親戚関係があったりして、複雑に王室があるような印象がある。まあ、親戚家族がいるのは当たり前だろうし、さらに側近などもいてそうで、息子や兄弟がうじゃうじゃいるということなんだじゃなかろうか。利権が一族や民族に絡んでいて、本当には西洋的な商売ができないのではなかろうか。まあ、そういうのも想像上のことかもしれないが。日本も石油買っているので(それもプレミア価格)、ああいうところで苦労している人はいるのだろう。砂漠というのはなんとなく楽しそうじゃないけど、頑張ってください(映画では海もありました)。