ローグ・ワン スターウォーズ/ギャレス・エドワーズ監督
詳しいことは、どこかの解説を読んでもらうと助かるが、いわゆる本編といわれるお話のスピンオフというか、別の外伝であるらしい。初代のデス・スターという星自体が兵器になっているものの設計図を、関係者であったものと帝国に反旗を翻す集団が奪おうとする物語。ちょっと複雑な関係があって文章に書くのがめんどくさい。よく分からないながら眺め観ていると、それなりになんとなくは分かるような映画である。僕の場合は、なんか知らない人ばかり出るけど、どこかでハリソン・フォードが出てくるんだろう(まあ年なんで、実際は彼役の新しい俳優という意味だが)とばかり思いながら観ていたので、終わってからやっと違う話だと気が付いた。我ながら間抜けである。
そういうわけで、スターウォーズの重厚的な物語にあって、その背景を構成する人々のお話なのである。ダースベイダーのような人は出てくるけど、だから背景の人たちはあんまり知らない。何かと関係していた人もいるかもしれないが、もうだいぶ昔のことで、その関連性を思い出せるほどには思い出せない。
今回は親子の関係や、無理に抑圧されて反抗を感じている集団の人々が、レジスタンスとなっても、連携しながら抵抗していくさまが描かれる。まさにイスラム原理主義者たちが、列強の西洋文明の抑圧から解放されるために抵抗しているような感じなのだ。時代背景が変わることで、見る側にもいろいろな錯覚が呼び覚まされる。実際の帝国というのはナチスらしいとは思うが、ナチスは帝国ではないし、実際は西欧に反旗を翻した側だったはずだ。戦後にナチスのイメージは繰り返し刷り込みがなされたものの、孤立して戦っていたことには間違いあるまい。戦略も下手だったわけだし。
ということなんだが、スターウォーズは複雑化した背景を細かく描こうとすると、どうしても単純に言って正義とは何かと疑問を抱かざるを得なくなる。帝国側が不条理に暴力的であるという強調ばかりで、真の目的はよく分からない。困っているから戦うという大義のようなものも、反乱軍には何か物足りないものを感じる。実際に民主的な判断をしようとしていたお偉いさんの判断は、まったくの間違いとして描かれていて、民主主義だから正義で正しいという演出ですらない。戦いには狡猾に敵を欺いて、結果的に勝ったから正義であるという、正義とは本来的には何の根拠もないことで、人々が戦っているように見える。それは結果的には人間のエゴに過ぎないが、まあ、それは戦争の本質でもあるのだろう。