カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

結局浮世は金次第   世界一キライなあなたに

2017-05-27 | 映画

世界一キライなあなたに/テア・シャーロック監督

 大富豪の青年が事故で脊椎を損傷し、自宅でのお世話をする仕事に若い女性がつくことになる(看護は別にいる)。事故で体が不自由になったことで、頑なな精神に陥っている青年は、最初は心を開かない。フィアンセは友人と結婚することになってしまうし、外出することも気乗りしない。お世話をする(お茶を入れてお話をするだけ?)の女性は、持ち前の明るさがあるものの、彼氏もちゃんといるし、楽な仕事の割に給与は高い訳だし、さらに家族は失業中の者が多く、出来るだけ自分の家庭を支えたい思惑がある。しかしながら青年には半年間の猶予で自殺幇助をスイスで受ける契約をそもそもしており、母親がそのことを思いとどまらせる為に若い女性をお世話役につけているという事情があったのだった。段々事情が呑み込めていくのだが、そういう気持ちを思いとどまらせる為にいろいろやっているうちにお約束で恋に落ちていくことになるのだが…。
 一言で言うと、何ともとんでもない話という印象をもった。まずは設定があんまりよくなくて、金持ちだから周りが献身的になっているように見えるし、いくら不幸だからといって、そのことを本当に掘り下げて考えているようには見えない。さらに恋に落ちるのは良いにしても、ヒロインに都合の良いことばかり起こる。もともと楽しくて良い人かもしれないが、結局金の為にいい話になっているような結末もものすごくとんでもない。障碍を持ってしまった人が一方的に不幸である現実から逃れられないということを暗に語っており、不誠実な上に偏見的過ぎると思われる。そんな話の展開は、何かとても不道徳なものを見せられたような気がして嫌な感じが残ってしまった。まあ、作っている側の正直な価値観かもしれないのだけど…。
 つれあいと一緒に観ていたのだけど、さすがにこれはダメだろうと呆れていた。僕は多少の不道徳があろうとも、人間の感情は必ずしも合理的でないので認めてもいいという立場を多くの場合取っているけれど、これは到底やはりダメであると断定できると思う。それくらいどうしようもない最終的な判断だと思うが、そうではないと考える人がいるらしいことがものすごく意外である。いったい世の中はどうなっているのか。そういう意味では人間が生きていくには、やはり厳しいものがあるということを言いたかった映画なのであろう(作っている人たちはそう思ってなさそうだけど)。
コメント
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