カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

見えないゴミの驚異~マイクロ・プラスチック~

2017-05-09 | Science & nature

 海はええなあ、海は。などと海を眺めていて心洗われる思いがしたことのある人は多いだろう。寄せては返す波は何故だか見飽きない。しかしながら残念なのはゴミである。よく見ると、ゴミのない海岸というのはほとんどないし、海上にもゴミが浮いている場合も多々ある。木の枝などは自然にそうなったという場合もあるかもしれないが、特に問題なのはプラスチックである。まったく分解されない訳では無いが、そのためには長い時間がかかる。海岸や海上だけでなく、海底にも相当量が堆積されているという。海底のゴミは微生物が少ない為か分解も遅くなる。深い海の底は、ゴミの貯蔵庫のようなことになっているという。海水にも流れがあって、そのようなゴミが舞い上がるようなことも稀ではない。人間のスケールでは地球や海は巨大だが、無限という訳ではもちろん違う。人間の活動に比例して、そのようなゴミが減ることは無い。特に日本の海においては、日本の国が出す排出量は減っているにもかかわらず、海の中に紛れているプラスチックのごみは、年々増加しているという調査結果がある。海はつながっている訳で、アジアの国々の経済発展が、日本の近海の海にも影響を与えているということだ。
 特に問題になっているのは小さなプラスチックだ。一般にマイクロ・プラスチックと言われているが、海にあるプラスチックごみのほとんどは5㎜以下と言われている。人間の視覚で捉えられるゴミの方が、実は少数なのである。そのことは、海の水をすくうだけで、その中にゴミが紛れているということを指している。その海の中で暮らす生物に、この影響が無いと考える人は居ないだろう。
 さらに近年特に問題視されているのは、もともと小さなプラスチックが、さまざま製品に使われて、我々は知らず知らず使っていることだ(むしろ歓迎して)。スクラブと言われ洗顔剤などの含まれている微細なプラスチック(マイクロ・ビーズといわれている)は、そのチューブ一本に数万単位で使われている。川や海には、いわばスモッグとしてそれらのプラスチックが漂っているということらしい。
 実際に魚や海鳥などが誤って小さなプラスチックを飲みこんでいる。そのような小さなプラスチックは、飲みこんだ生物の脂肪や肝臓などの臓器に溜まっていく。食物連鎖もあって、プラスチックを呑み込んだ微生物や小魚を食べる魚などには、有害な物質が染み込んだプラスチックの毒が濃縮して溜まるというようなことになるという。もちろん魚を食べるのは海の生物だけではない。人間が食べている魚の中には、一定数の有害化したプラスチックが含まれているのかもしれない。もちろん量が一番の問題だが。
 それらのゴミを回収したり分解させたりする研究は進んでいる。それらの研究そのものに対する期待もあるものの、実際には排出されるゴミを減らすことを考えないことには、根本的には問題は解決しえない。しかし問題なのは、当たり前だがそれらのプラスチックは、人間の生活には欠かせない便利なものであふれているということだ。それ自体を使わないという運動はあるにせよ、使わざるを得ないという事情もある(それが現代の人間が生きているということだ)。代替製品の開発もまたれるところだが、プラスチックを使わないことによるコストの方がかかることは間違いない。高コストというのは、つまり見えない公害を増やすリスクがあって、プラスチックを使わないことの方が、実は厳密にはエコではあり得ない。現時点の結論を言うと、もはやこの問題は絶望的である。
 しかしながら諦めるためにこんなことを書いている訳では無い。それでも問題を意識する。さらにその問題解決に向けて何らかのアクションをする。ものすごく地味でも、それも人間の生きる道なのではなかろうか。
コメント
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