中国の高齢化問題を取り上げていた。中国が一人っ子政策を30年続け(今は止めた)、高齢化問題が深刻化しているという。高齢者人口は2.2億人。2050年には5億人という。中国の人口構成を「421社会」ともいうらしい。一人の子供、二人の夫婦、そして4人の老人。特に都市部に一人で暮らす高齢者問題は深刻で、低所得の上、自殺者も急増しているという。これといって資産が無い為、不動産を子供夫婦に奪われるトラブルも増えている。親の暮らしのことより自分たちの生活がある、ということなんだろうか。子の世代は孫たちの教育に熱心で、さらに親の面倒まで見る余裕は無い。競争は厳しく、彼らも生き残りをかけているということか。
一方、高齢者に向けた福祉サービス等が日本から輸出され、将来的なマーケットとして期待されているということも紹介されていた。中国の南海のリゾート海南島の高齢者を取り込もうとする医療グループや、経済発展著しい沿岸部の高齢者向け不動産開発なども盛んらしい。高齢者でも金を持っていると話は別なのだろう。
これは日本の社会でも基本的には同じことであるが、要するに核家族化というのが根本的な問題の核としてあると考えられる。文化的に子が親の面倒を見るということが当たり前だった倫理観が崩れ、多くの人が単身都市生活者として暮らすようになったということだ。農村部での家族の在り方と根本的に違うので、単独で生活が成り立たなくなると、すぐに破綻してしまう。さらに社会保障制度がそれにあわせて整備されていないらしいことも見て取れる。もっとも日本においても、結局年金制度よりも生活保護で包括的に高齢者の救済にあたっているという現実がある。想定されているものとは別のものを使いまわしてやりくりしていることに違いは無い。そうしてそのままで維持されていくかという問題は、結局先送りされているに過ぎない。
中国の問題はその規模が大きいために、社会問題として解決がより難しそうに感じられる。しかしながら既に問題が顕在化しながら破綻だけを待っている日本に、この現象を正確に捉えることが出来ているのだろうか。打つ手がありながら別のバブルに浮かれている経済政策には呆れるけれど、既に打つ手を使い果たしている感のある日本は、さらに愚かに過ぎないだけではなかろうか。