アマミノクロウサギというウサギがいる。名前の通り奄美諸島などにいるらしい。外来のウサギが入らなかったために独自に生き残れたのかもしれない。
面白いのは子育てで、穴を掘って巣にしているが、授乳が終わると巣穴の入り口に土をかぶせて塞いでしまう。天敵から守る為だと当然考えられるが、結構しっかり塞いでしまう。外からの侵入からは守られるかもしれないが、恐らく子供は自力では外に出られないだろう。
そうやって親はまた巣から離れて餌などを求めて活動するんだろうけれど、睡眠もとらなければならないだろうし、いろいろと大変である。親自体が捕食者に捕らわれるなどしたら、穴の中の子供は餓死するより無いのではないか。もっとも他の動物でも、それは多かれ少なかれ同じことかもしれないが…。
アマミノクロウサギの最大の捕食者はハブで、このハブの繁殖が増えると、人間にも脅威である。実際にこのハブの繁殖を防ぐために、島にはマングースが放された。ところがこのマングースが、実はアマミノクロウサギも食べるらしい。毒を持つ厄介な獲物であるハブを捕食するより、アマミノクロウサギを捕食した方が効率がいいのだろう。そういう訳でハブからもマングースからも命を狙われ、アマミノクロウサギは繁殖数をどんどん減らし絶滅危惧種になってしまった。あわてた人間は、今度はマングースを駆除することになる。現在は、島にはマングースを捕える罠がいたるところにあり、かなりのマングースの駆除に成功したといわれる。効を奏してアマミノクロウサギの生態数も、回復しているという。
悪者になってしまったマングースも気の毒なわけだが、人間というのはつくづく悪魔的な動物だと思う訳である。しかしながらそのような恣意的な行動をしてしまう愚かさというのは、やはりそう簡単には治らないのであろう。