カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

奥さんが幽霊で出てきたらどうするか   ブンミおじさんの森

2013-05-28 | 映画

ブンミおじさんの森/アビチャートボン・ウィーラセータクン監督

 幽霊は出てくるし森の精霊も出てくる。ナマズが人の言葉を話すし、ドッペルゲンガーのような現象も起こる。しかしながらそれでいてホラー映画では無い。リアリティは無いかもしれないが、単なるおとぎ話というものでもなさそうだ。意味が分からないが、非常に自然豊かな人間世界を見ることができる。多少時間がゆっくりしているので観ながら退屈してしまうが、まあ、それも仕方がないな、という気分にもなる。おそらく批評家も訳が分からなかったのだろう、パルムドール賞を受賞したらしい。
 基本的にはよく分からなかったのだが、分かればいいというような問題の映画でも無いようだ。人間と自然や、超常現象のようなものとの境界の無い世界の話なのかもしれない。アジアの人間としては、昔の日本だってたぶんそんな国だったはずなんだが、今となっては少し事情が違うということなんだろうと思う。だから何となく懐かしいし、なるほどとも理解しやすい土壌があるのではなかろうか。本来がどうあるべきなのかは僕には分からないが、そのような感覚を持って現実に生きていくような事が、人間にはもともと出来るということなんだろうと思う。いつの間にか忘れてしまうように出来てもいるから忘れてしまうだけのことで、ちゃんと意識して暮らしていると、忘れないで生きていくことが可能かもしれない。もっとも、そういうことが自分一人でできても、かえって孤立してしまうかもしれないが…。
 僕は特に幽霊に会いたいという気持ちは無いが、それが肉親であるなら、それはそれでいいのかもしれないとは思う。信用しているというか、まあ出てきても話はしやすいかもしれない。どうしてるんだということも聞けるし、今の自分の事情も理解してもらいやすいかもしれない。もちろん幽霊になったらそのあたりの事情を詳しく教えてくれるのかどうは分からない。見えてなかっただけでずっとそばに居られるというのも厄介だ。例えばトイレなどは出来れば孤独の方がいい。そういう遠慮なんかは幽霊の方にもあるものだろうか?
 変な映画ではあるが、まあそういう訳で不思議な魅力はある。たぶんこんなふうに幽霊や精霊はさまよっているのかもしれないというリアリティはそれなりに感じるわけだ。だからどうだという人は観る必要は無いかもしれないが、信じる信じ無いを問題にする映画でも無い。そういうもんなんだという寛大さが芽生える可能性もあるので、物好きな人は観るといいだろう。
コメント
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