煙草をやめて12年以上になるのではないか。もう吸っていたということさえ忘れられているようにも思う。火を貸してくれと道行く女性に声をかけられることもほとんど無くなった(なんでか知らんが若い女性から声をかけられるのは、ほぼこれだった)。喫煙者オーラというものが無くなっているのかもしれない。
煙草をやめる方法について訊ねられることも少なくなったが、やはり病院にかかるなどした方がいいのでしょうか?と言われることもある。そういう方法が合う人はそうしたらいいと思うし、本当に止めたいという気持ちがあるのであれば、やってみるというしかないという気がする。やらないまま悩んでいる時間がもったいない。もちろん吸い続けたいなら、止めたいなどと思わない方が健康的だろう。
本当に止めたいという人向けには、一つだけ決定的に成功の度合いが高そうな方法がある。有名な方法なので知っている人も多いとは思うが、何故か流行らないところを見ると、やはりこの方法を取らない人が多いせいではないだろうか。煙草で無くても、例えばダイエットなどでも可能な方法だが、やはりそれを知っていてもやらないだろうとは想像できる。
その方法とは、簡単にいえば賭けてしまうことである。それも一方的に不利な状態である方がいい。例えば吸ってしまえば10万円を支払う、という程度くらいがいいかもしれない。成功報酬は無い。というか、それではのってくれる人は無いだろう。一方的に無情に失敗の時に10万円受け取れるような人がいい(またはそのような場)。奥さんとか親しい友人だと、言い訳したり割り引いてくれたりしそうなので、あまり良くない。本当に純粋に10万円損をするということが必要で、失敗したら必ず支払うということが保障されなければならない。
大変に無謀な賭けであるが、しかしこの賭けをいざやるということができる人なら、その時点で禁煙はほぼ成功したということも言えるだろう。よっぽどの金持ちか馬鹿で無い限り、失敗して10万円損をする選択をするはずがないからである(金持ちなら金額を吊り上げればいいだけのことだが)。大変な抑止力になることも間違い無くて、吸ったことを絶対にばれないように工作するような人でなければ(そういう行動には何の意味もないことだ)、賭けを成立させた時点で勝者ということである。
逆にいうと、この賭けに乗れないような人なら、本当には禁煙は成功しないかもしれない。自信が無いというだけのことではなく、本当に止めるという決心がついていないということである。つまりこの賭けをやろうと決めた時点で本気かどうかがはっきりするのだ。
今回は分かりやすく禁煙ということにしたが、これは他のことでも応用が利く。それほど深刻で無い場合はどうでもいい話だが、何かを決心したらこの賭けをやってみるというのは、あんがい自分の生活をガラリと変えられる魔法という気がしないではない。ただ、失敗すると、それなりに立ち直れそうにはない訳だが…。