ヤンキーは先輩の事を「君」づけで呼ぶ、という話を聞いていて思ったのだが、それは単に中高生時代の名残なのではないだろうか。年代や地方によっても違うのだろうけれど、僕の十代の頃は先輩を君づけするのはむしろ普通のことだった。なんでそうなのかは分からないけど、同級生や後輩は呼び捨てなので、学校で使われる君づけ自体が、それなりの敬称として価値が高かったのかもしれない。
役場に小学時代のサッカー部の先輩が居て、顔を見るとつい○○君とやってしまう。大人社会になると君づけというのは、むしろ年下の人に使うようになるので、その時は気付いてないけど、ひょっとすると誤解を生む可能性はあるかもしれない。
実際に少し大きな職場などにお邪魔すると、お茶を出してくれた女性事務員を君づけで呼んでいる風景などはおなじみである。いかにもだけど、普通である。
先輩の女性から君づけで呼ばれるのを憧れるという話も出ていた。分からないではないが、これも学生時代くらいしか覚えがない。今も仲の良い学生時代の先輩の当時の彼女からそんなふうに呼ばれていた覚えがあるけど、その先輩は現在違う女性と結婚している。カオリ先輩、今はどうしてるだろうなあ。カギが開いているので勝手に先輩のアパートにあがり込むと、「今入ってこないで!」と怒られたりしたものである。
そういえば弟の同級生が部下として働いてくれているが、彼の事は君づけで呼んでいる。彼と同級生(高校時代らしい)も後になって転職して来たが、その友人君はさん付けである。「おまえは後から来たくせにさん付けでのぼせるな」と酒を飲んだ席で話しているのを聞いたことがあるので(彼らは仲がいいのである)、やはり君づけというのは目下という感覚が強いのかもしれない。
そういう訳でヤンキーでなくとも僕らの世代は、君というのは上下関係どちらにも使う。意識して使い分けないが、新たな人間関係の人に使われることは少ないので、やはりなんとなく懐かしい呼称のようである。