カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

ドクトルマンボウ

2011-12-10 | 読書

 北杜夫はかなり原初体験的な作家だった。何しろ最初に読んだのは小学生の3年か4年あたりだろう。学校の推薦図書だったのかどうか忘れてしまったが、読書感想文などでは定番の人ではなかったか。父親も有名な人だし(短歌はよく分からないが、エッセイは名文が多いと思う)、後にお兄さんも有名になった。躁病のせいもあったのかどうか、テレビでも時々見ることがあった。そういう意味では国民的な作家でもあったのだろう。
 小説の方はよく分からなかったらしくて、いわゆるマンボウものを読んだかもしれない。いちいち言い訳がましいことを書く人だという気がしていた。自信があるんだかないんだか、よく分からない。しかしながら、いわゆるユーモアというか、洒落というか、まじめに書いているふうでは無い。当時確かユーモアのある文章は日本では流行らない、というような論調があったような気がするのだけれど、小学生が読むような文章は、北杜夫をはじめとするユーモアものばかりだったような気がして、なんだか意外に思った覚えがある。
 高校生くらいになって、本棚にあった(たぶん小学生時代に買っておいたものだと思う)楡家の人々を読んで、それなりに衝撃を受けた。面白いというか、いい小説なんじゃなかろうかと思った訳だ。それからまた後に、北杜夫が影響を受けたらしいトーマス・マンのトニオ・グレーゲルだとか魔の山だとかを読んだ。そうして同じくこれらを読んだらしい友人たちとこれらの本について語り合ったりした覚えがある。まさに青春の読書である。
 実はもうすでに死んでいるものだとばかり思っていた。そういえば昆虫も好きだったんだと思いだした。どういう訳か家族にいると大変そうだという印象があって、遠くに居て楽しいおじさんというイメージだ。
僕はホンの一時の間阪神ファンだったことがあって、もしかしたら北杜夫の影響だったのではないかと疑っている。やはり過去のことであるに違いは無いが、そういう古い記憶が僕の下地になっているだろうことも間違いなかろう。
コメント
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