カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

孤立した憎悪の行方

2006-09-03 | 時事
 90歳夫を86歳妻が殺害したというニュースが流れる。千枚通しのようなもので胸などを数箇所刺した上に、ポリ袋で口をふさいだ。意地でも殺してやろうという強い決意が感じられる。
 以前今村昌平だったかの映画で、袋に入れた人を何度も刺す場面があった。刺しても刺してもなかなか死なない。相手は痛いからだろう、わめき散らして暴れている。なるほど、めった刺し殺人はこのようにして起こるのかもしれない、と思った。
 連想としてまずそう思ったが、こうした悲惨な事件であるけれども、元気がいいとも不謹慎ながら思う。90で耳が遠くなった夫は、黙っていてもそう長くはなさそうだ。しかしながら、それが耐えられないほどひどい状況だったのかもしれない。86歳のおばあさんにとって刑務所がどんなところなのかわからないけれど、殺してでも現状を変えたいと思うほど、地獄の状況だったのかもしれない。
 なんとなくこういう事件が多くなったような気がする。子供の絡む事件ならワイドショーなども喜んで報道合戦するのだろうけれど、お年寄りのこういうニュースは共感があまり得られていないのではないか。殺してでも現状を打開したかったばあさんの逃げ場のない決意とはなんだったのか。
 実を言うと最初は苦笑してしまった事件だが、閉塞感のあるやりきれない思いがしてきた。こういう孤立感は、個人の力ではなかなか解決できないのではないか。今は、そういう気がしている。(
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