カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

夏のジャンパー

2006-07-21 | 雑記

 会議を終えて食事に行く。食事中だが夏越の打ち合わせをしているので、関係各所に電話したりして忙しい。僕が電話中、前に座っていたO塚さんが突然席を立って外に出て行った。腹の調子でも悪いのかな、とも思ったけれど、そういえばトイレは店の中にあるようだ。テーブルの上には車の鍵とか、自分の携帯電話も置いてある。僕が電話中だとはいえ、突然断りもなく出て行くことはないじゃないか。
 電話の用件も済ませて待っている。目の前のニラ豚肉炒めを食うと、歯に挟まったニラと格闘したり、それなりに忙しいといえばそうなのだが、待っていて不安である。いつの間にか5分10分と時間が過ぎている。いっそのこと外を眺めに行こうかとも思うが、今席を立つと食い逃げと思われかねない。何しろこの店に来たのは三年ぶりぐらいで、尚且つ二度目だ。オヤジとは馴染みじゃないし、店員の顔つきも怪しい。
 そうやって店の中を見渡すと、女子高生二人を連れたおじさん(どちらかのお父さんなのだろう)がテーブルに陣取って、ふたりを無視してテレビを見ている。カウンターには常連さん風のとっつぁん達が三名、ビールと餃子を食っている。この人たちは僕らより前からいたようで、いったい何をしているんだろう。一人の頬は見事に赤く染まっていて、絵に描いたような酔っ払いである。奥の方では漫画週刊誌を顔の前に持ったままラーメンをすすっているお兄さんがいる。そんな格好でご飯を食べていたら、間違いなく家ではお母さんから怒られるに違いない。でも、店だから誰も注意しない。教育の危機である。
 だいたいこの店はなんとなく怪しい。なんで打ち合わせを兼ねた食事に、このような大衆食堂的なラーメン屋を選んだのだろう。僕は既に普通のビールコップにすすがれたお湯割り焼酎を二杯も飲んでいるし、店の連中とバランスの取れた怪しさをかもし出しているに違いないのだ。
 そうやって怪しく飲んでいると、やっとO塚さんが帰ってきた。帰ってくるなり自分の車の鍵を取ってくれといって、又出て行った。
 ちょっと間があって、再度戻ってくると、やっとボチボチ理由を説明してくれた。
 実は何年か前に工事の金を払わないまま消えた人物が店にいたらしい。なんとなくそうじゃないかと思ったが自信がない。店から出て行ったところを後ろから追いかけて、その人の名前を呼んだら振り向いた。やっぱり間違いないじゃないか、ということで、その時の金はどうしてくれる、というような話をしていたらしい。金は返すというが、今まで逃げていた人である。免許証をよこせというと、これは必要なので駄目。車の鍵をよこせというと、それもやはり駄目だといわれた。じゃあ何でもいいからなんかよこせ、ということで、その人の車の中からジャンパー(なんで?)を拝借したらしい。
 そういう話を聞くと、今の世の中は確かに不景気なのかもしれないなあ、と思う。大変だなあ、と心から同情すると共に、不謹慎ながら、この取立て騒動の今後の展開に興味が注がれるところである。
 しかしながら、ジャンパーで大丈夫なのだろうか。
コメント
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