カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

せっかちな時間

2006-07-20 | 雑記

 先方からある案件の相談の説明をしたいという話をもらう。ちょうど別件の用もあったので遠方だがこちらから出向くことにした。が、その状況はとりあえずいい。
 待ち合わせている時間より十分ほど早く着く。先方はお電話中である。目線でなんとなく相槌をうって、入り口で待っている。電話はなかなか終わらない。入り口の暖簾の文字を読んだり、壁にびっしりと資料ファイルが収納してあるその背表紙の文字を読んだりして時間をつぶすが、なかなか電話は終わりそうにない。その状況に気づいた横で打ち合わせかなんかしていた人が、とりあえずお座りくださいと空いている椅子を勧めてくれて、座る。そんな感じで待っていても、やることは何にもない。ただ座っているなんて、ものすごく間が悪い。
 目の前でパソコンに向かって仕事をしている男女がいる。男が上司で女が部下だろう。そして明らかにパソコンの腕は、女が上だ。男がさりげなく質問しているが、女がモニターを覗き込み、カタカタと横から手を伸ばしてなにやら打ち込んでいる。
「ふーん、そうやるんだ」
 なんて、男は動揺を隠して(いるように見える)礼も言えず感心している。女はそのままどこかへ行ってしまう。バカにしているわけではなかろうが、優越感はあるのではないか。
 そういうやり取りを眺めていても、まだ先方は電話で話している。たいしてしゃべっているようには見えなくて、腿の上にクリアファイルを広げてなにやら頷いている。深刻なのだろうか。
 そういえば手帳を持っていた。今週の予定などを確認して、どういう仕事をしなくちゃな、なんてメモを取る。考え出すと面白くて、いつの間にか手帳に文字がびっしり埋まってしまう。書くところがなくなると手帳の本来の機能が損なわれる気がするので、いい加減手を止めなくてはならない。しかし先方はまだ電話中。過去のところをパラパラめくって、もう関係ないと思われる事柄を赤インクで線を引く。ついでにこのときはどうだったとか、感想を書き出して、どんどん過去のスペースが埋まる。ほらね、こういう時の為にスペースは空けておく必要があるのである。
 そういう風に手帳の空白を埋めていたら、やっと先方は電話を切った。
 さて、本題の内容を説明してもらうが、ほとんど5分で終了。僕は感想というか、この件の問題点を十五分あまりにわたって指摘する。待たされた腹いせではないと、自分では思っているが、実は自信がない。
 帰りに駐車場から車を出すと、前の方でゴゴゴッと音がする。対面のタクシーがクラクションを鳴らして注意している。車を止めて降りてみると、区切りに置いてあったポールコーンを引きずって走っていたらしい。後ろから警備員が走ってきて怒られた。なんだかずいぶん動揺してしまった。僕に何が起こったのだろう。
 そうだ、みんな長電話が悪いんだ。僕はただ、心の中で叫んでいるのであった。
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誰が呼んだか親子丼

2006-07-20 | 
 昼は親子丼。
 考えてみるとこのネーミングの面白さは残酷だ。親子で殺害すると、法治国家日本では普通死刑であろう。しかしながら、鶏に対しては、人間は冷酷になれるらしい。冷酷に親子丼と親しみを込めた名前で美味しそうに感じるところまで来てしまっている。人間が考えた人情味のない冗談というか、なんと言うか。しかしそこのところがある意味では絶妙で、カツ丼と注文するより、親子丼と注文する方がなんだかかっこいい。いや、別にカツでもいいんだけど、食いたいんなら、正直に言えばそれでいい。僕は許す。
 親子丼ってなあに、と、連れていた小さい子供が質問してくれるともっとかっこいい。しかし、不思議とそういう場面は、ありそうで出会わない。なんでだろう。
 勿論セットでついてくる吸い物は、途中で吸わない。一気に食ったあとでなくてはならない。自然にそうであるなら、尚嬉しい。中に浮いたかまぼこは、紅白が好ましい。できればこれは物凄く安かったとしてもそれでいい。高級品だと、かえって落ちる。安っぽいから嬉しいものは、世の中で貴重である。
 ワケギのざくざく感が残っていると親子丼はさらに美味しい。そして、ご飯も美味しく食べられて、手軽で手っ取り早くて、がつがつあっという間に平らげられて、それだから、ダイエットの敵である。
 職場ではご飯は自分でよそおっていい。しかし、親子丼は注意しなくてはならない。できるだけ小さな器でと思うが、豪快さも旨さのうちで、悲しくなるのでいけない。短時間でかっ込んで、あとは忘れてしまおう。
 それだから、やはり親子丼は残酷なのである。
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