ソニー・クラークのファースト・リーダー・アルバム。
「DIAL "S" FOR SONNY:ダイアル・エス・フォア・ソニー」(1957 Blue Note)。
ヘロインの日頃からの過剰摂取がなかったら、31歳で死ぬことはなかったろう。
何故に、ヘロインに頼ったのか。
本人の性格、環境・・・人種差別・・・、ソニー・クラークにとって、差別は耐えられないものだったのでなかろうか。
演奏メンバーは、錚々たるもの、でも、1957年時点では、まだまだのこれからと言う顔ぶれだったようだ。
アート・ファーマー(tp)
カーティス・フラー(tb)
ハンク・モブレー(ts)
ソニー・クラーク(p)
ウィルバー・ウェア(b)
ルイス・ヘイズ(ds)
〈ソング〉
1.ダイアル・S・フォア・ソニー
2.ブーティン・イット
3.イット・クッド・ハプン・トゥ・ユー
4.シニーズ・ムード
5.シャウティン・オン・ア・リフ
6.ラヴ・ウォークト・イン
6の「ラヴ・ウォークト・イン」は、ピアノ、ベース、ドラムのトリオで、ソニー・クラークのピアノがメインになって、その魅力をとらえやすい。
落ち着いた雰囲気で、僕は、こういうのが好きだ。
哀感とまで言えるかどうかはあるが、ソニー・クラークの胸の内が聞ける感じがする。
グラント・グリーン・ライヴ・アット・ザ・ライトハウス(1972 Blue Note)
カリフォルニア州のハモサ・ビーチにあるライトハウスでのライブ。
〈パーソネル〉
クラウド・バーティ(ss, ts)
ゲイリー・コールマン(vib)
シェルトン・ラスター(org)
グラント・グリーン(g)
ウィルトン・フェルダー(b)
グレッグ・ウィリアムス(ds)
ボビー・ポーター・ホール(perc)
〈トラック・曲〉
1.ハンク・スチュワートのアナウンス1(2:30)
2.ウインドジャマー(12:15)
3.ベッチャ・バイ・ゴーリー・ワウ(7:40)
4.ハンク・スチュワートのアナウンス2
5.ファンシー・フリー(自由気儘に)(14;44)
6.ハンク・スチュワートのアナウンス3
7.フラッド・イン・フランクリン・パーク(フランクリン公園は水浸し)(15:00)
8.エド・ハミルトンのアナウンス
9.ジャン・ジャン(12:18)
10.ハンク・スチュワートのアナウンス4
11.ウォーク・イン・ザ・ナイト(その夜に歩く)(6:37)
わたしの所有するCDには、上記の4,6,8,10のアナウンスがない。7トラックで成っている。
南国の明るく穏やかな雰囲気をただよわすフュージョンのおもむきを持つアルバム。
グラント・グリーンにしては、フワフワした曲調。
くつろいだ時のBGM向きかな。
どの曲も長くて、そう言うことになる。
やっぱり、グラント・グリーンは、グルーヴィーのがいいな。
“アフロディジア”は、古代ギリシアの詩にある“アフロディテの楽しみ”に通じる。
性の快楽である。
これは、音楽の快楽か。
アルバム1曲目が「アフロディジア」である。
ケニー・ドーハムの「アフロ・キューバン」(1955 Blue Note)。
《静かなるケニー》のイメージを転換させるエネルギッシュな作品であるとどこかに評があった。
このアルバムには、9トラックあって、5つが1955年3月(以下の1~4と9)、4つが1955年1月の録音である。
3月録音が、コンガなども入り、踊りたくなるような快楽系。
演奏のメンバー構成は異なるが、共通しているのが、以下の4人。
ケニー・ドーハム(tp)
ハンク・モブレー(ts)
ホレス・シルヴァー(p)
アート・ブレイキーー(ds)
〈収録曲〉
1.アフロディジア
2.ロータス・フラワー
3.マイナーズ・ホリディ
4.パシュアーズ・ドリーム
5.K.D.ズ・モーチョン 3;24
6.ザ・ヴィラ 3;19
7.ヴェニータズ・ダンス 5;18
8.エコー・オブ・スプリング(K.D.ズ・キャブ・ライド) 6,07
9.マイナーズ・ホリディ(別テイク)
ジョージ・ウォーリントン・クインテット・アット・ザ・ボヘミア(1955 Prestige)。
「ライブ・アット・ザ・カフェ・ボヘミア/1955」とも表示されている。
1955年に、ニューヨークのカフェ・ボヘミアで行われたライブの録音盤である。
ジョージ・ウォーリントン・クインテットとは、以下のメンバーで構成されている。
後に名を残す顔ぶれで、録音当時は、若手だった人たちである。
ジョージ・ウォーリントン(p)
ドナルド・バード(tp)
ジャッキー・マクリーン(as)
ポール・チェンバース(b)
アート・テイラー(ds)
ジョージ・ウォーリントンという名前については、ジャズに関心を持ち出した半世紀くらい前から知っている。
このアルバムは、スイング・ジャーナル誌でゴールド・ディスクに選定されるなど、評判高かったからだろう。
でも、当時は、聞いてみようとは思わなかった。
それが先般、「JAZZ FOR THE CARRIAGE TRADE」、今回、「AT THE BOHEMIA」。
〈曲〉
1,ジョニー・ワン・ノート
2.スウィート・ブランシェ
3.マナー・マーチ
4.スネイクス
5.エイ・マックス・クリブ
6.ボヘミア・アフター・ダーク
リーダーのジョージ・ウォーリントンのピアノが余り目立たない。わるくはないが、面白みもない。
チェンバースのベース、マクリーンのサックス、バードのトランペットが、存在を誇示している感じだ。
大きな門の下に、5人の男が立っている風景、そのジャケットなかなかいい。
ラストに「ボヘミア・アフター・ダーク」、この前、ケニー・クラークの演奏で聞いた曲だ。同じ1955年の演奏だ。
サックスとトランペットのじゃれあいが、おもしろい。
ケニー・ドリュー・トリオによる「花嫁人形」。
「ドリーム」(1987 BAYSTATE)のラストに収録されている。
この日本の歌、外国の人はどのように感じているのだろうか。
聞くことによって、日本人と同じように感じるということはあるだろうか。
外人が演奏するこの曲を聞いて、日本人のわたしがうら悲しい気持ちになるのは何故か。
マッコイ・タイナーの「ザ・リアル・マッコイ」(1967 BLUE NOTE)。
マッコイ・タイナー(p)
ジョー・ヘンダーソン(ts)
ロン・カーター(b)
エルビン・ジョーンズ(ds)
〈曲〉
1.パッション・ダンス
2.コンテンポレイション
3.フォア・バイ・ファイブ
4.サーチ・フォア・ピース
5.ブルース・オン・ザ・コーナー
マッコイ・タイナーは、恋した相手がイスラム教徒だったので入信し、禁酒・禁煙、菜食主義を実行したそうだ。
この手のハード・バップ、ものたりない。
エルビン・ジョーンズのドラミングは、味気ない。
もっとジャージーさ、グルーヴィーさ、ブルージーさがあってもいいと思う。
心に響くものがないのである。
「熱気に満ちた演奏を展開している」という評者はいるが、わたしの好みからすると、エネルギーの浪費という感じ。
ジョン・コルトレーンの名盤とされているアルバムで、聞いていないのがあったな。
そう思って、初リーダー盤の「コルトレーン:COLTRANE/PRESTIGE 7105」(1957)。
このアルバムにおける演奏メンバーは、以下の7名で、曲による出入りあり。
ジョン・コルトレーン(ts)
ジョニー・スプローン(tp)
サヒブ・シハブ(bs)
レッド・ガーランド(p)
マル・ウォルドロン(p)
ポール・チェンバース(b)
アル・ヒース(ds)
〈曲〉
1.バカイ
2.コートにすみれを
3.タイム・ウォズ
4.ストレート・ストリート
5.ホワイル・マイ・レディ・スリーブス
6.クロニック・ブルース
ジョン・コルトレーンについては、とてもまじめな方という印象が強くて、演奏の卓抜さはさすがと言えても、個性として凡庸ななものを感じるのだ。
まじめさの延長のすばらしさ、それは、それだけなのだ。
さて、久しぶりに聞いて、どうだろうか。
僕が、ジャズを聞きだした頃、ジョン・コルトレーンの人気、評価には、他を圧するものがあった。
ジャズ喫茶などでは、一番人気だった。
音のよさ、確かさは、さすがである。優等生である。
「ジャム・セッション;JAM SESSION」の1&2。
レーベルはヴァーヴ、1952年7月の録音。
ノーマン・グランツのプロデュースによって残されたアルバムである。
Cdでは1枚だが、もともとはLP2枚となっている。
1.ジャム・ブルース
2.恋とは何でしょう
3.バラード・メドレー(9曲)
4.ファンキー・ブルース
以上、4つのトラックで構成されている。
演奏しているのは、チャーリー・パーカー(as)、ベニー・カーター(as)、ジョニー・ホッジス(as)、ベン・ウェブスター(ts)、フリップ・フィリッピス(ts)、チャーリー・シェイヴァース(tp)、オスカー・ピーターソン(p)、バニー・ケッセル(g)、レイ・ブラウン(b)、J.C.ハード(ds)。
曲によって、演奏メンバーは異なる。
ジャケットは、デヴィッド・ストーン・マーチンによるイラストで、演奏者達10人が描かれていて、楽しく眺められるものだ。
1曲目の「ジャム・ブルース」は、14分40秒くらいの演奏である。
アンサンブルによるイントロのテーマに続く、ソロ・プレイの順番は、次のようであると、ライナーノーツ(大和明)にある。
たいへんありがたい。このように記してくれないと、僕には聞き分けられないだろう。
フリップ・フィリップス(ts)
ベニー・カーター(as)
オスカー・ピーターソン(p)
チャーリー・パーカー(as)
バニー・ケッセル(g)
ベン・ウェブスター(ts)
ジョニー・ホッジス(as)
チャーリー・シェイヴァース(tp)
ライナーノーツのおかげで、以上の順番で、アドリブが展開されるのが、愉しめた。
この中で、とびきり高名なチャーリー・パーカーであるが、どこがそんなに素晴らしいのか、僕には、判別する力はない。
2曲目「恋とは何でしょう」は、次のように続く。
オスカー・ピーターソン(p)
ベン・ウェブスター(ts)
チャーリー・シェイヴァース(tp)
ジョニー・ホッジス(as)
バニー・ケッセル(g)
ベニー・カーター(as)
フリップ・フィリッピス(ts)
チャーリー・パーカー(as)
オスカー・ピーターソン(p)
レイ・ブラウン(b)
ベニー・カーター(as)
ベン・ウェブスター(ts)
ジョニー・ホッジス(as)
フリップ・フィリッピス(ts)
チャーリー・シェイヴァース(tp)
チャーリーレゾレノ・パーカー(as)
ほぼ、演奏者の音を聞き分けられた。エンディングに近いベン・ウェブスターからチャーリー・パーカーの部分は、いささかめまぐるしい。
それぞれの個性があることが感じられる。
それにやっぱりチャーリー・パーカーには、力強さと卓抜な能力が感じられる。
熱気のこもったセッションである。
3曲目のバラード・メドレーは、演奏者と曲の関係がはっきりしているようだ。
「オール。・ザ・シングス・ユー・アー」バニー・ケッセル(g)
「ディアリー・ビラウド」チャーリー・パーカー(as)
「あなたのそばに」ベン・ウェブスター(ts)
「アイル・ゲット・バイ」ジョニー・ホッジス(as)
「エヴリシング・ハプンズ・トゥ・ミー」オスカー・ピーターソン(p)
「ザ・マン・アイ・ラヴ」レイ・ブラウン(b)
「ホワッツ・ニュー」フリップ・フィリッピス(ts)
「やさしい伴侶」チャーリー・シェイヴァース(tp)
「ロマンチックじゃない?」ベニー・カーター(as)
チャーリー・パーカーの情感のこもったバラードがいい。
ベン・ウェブスターの深みのあるテナーサックスの音に魅力がある。
オスカー・ピーターソンはきれいだ。
レイ・ブラウンは大人しい感じ。
フリップ・フィリッピスには、静けさ。
チャーリー・シェイヴァースにはトランペットののびのある音。
ベニー・カーターにも、サックスの魅力。
このようなプレーヤーごとのバラードのメドレーも楽しめるものだ。
4曲目は「ファンキー・ブルース」。
こまかくは記さないが、とてもブルージーで、まさにジャズ。
聞き終えて思った。
そのうち、チャーリー・パーカーをゆっくり聞くのもいい。