ソウル・ボサ・ノヴァ

2021-07-22 | 【断想】音楽

 ビッグ・バンド:クインシー・ジョーンズの「ボサ・ノヴァ」(1962 Mercury)。
 ビック・バンドによるジャズは、ほとんど聞かない。
 ジャズには、プレイする人の思いが如何なるかを求めるからだ。
 ビック・バンドから発せられるのは、多くの人の平均値であり、不特定多数の人たちの耳への心地よさ。
 ボサ・ノヴァ集と言うことで、季節柄、聞いてみようと思った。


マイ・ソング:MY SONG

2021-07-22 | 【断想】音楽

 キース・ジャレット・クァルテットの「マイ・ソング:MY SONG」(ECM 1977)。
 1.クウェスター
 キース・ジャレットのピアノの音、いつも同じ高さにとどまり、色を変えているだけのような感じ。
  ヤン・ガルバレクのソプラノ・サックスの音も同じ印象だ。
 どうして、そんな感じがするのだろう。
 2.マイ・ソング
 ちょっと抒情的だ。
 眺望のすてきな丘にいるような。
 3.タバルカ
 ソプラノ・サックスの音には、何故か違和感がある。
 フワフワしていると言うのか、ツルツルしてると言うのか。
 まぎれもないキース・ジャレットの曲と感じる。
 4.カントリー
 5.マンダラ
 6.ザ・ジャニー・ホーム


ゲッツ/ジルベルト

2021-07-18 | 【断想】音楽

 スタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトによる「GETS/GILERTO」(VERVE 1963)は、ボサ・ノヴァを広く世に知らしめることになったアルバムだ。
 特に、「イパネマの娘」が、シングルで大ヒットした。
 僕が、ボサ・ノヴァに接したのは、このあたりだったと思う。
 「イパネマの娘」でヴォーカルに加わったジョアン・ジルベルトの奥さんであるアストラッド・ジルベルトが、絶大な人気を博すことになる。
 歌のうまい、下手は、二の次であった。
 ジルベルトと言うと、アストラッド・ジルベルトと言うように。
 もともとは、ボサ・ノヴァと言えばジョアン・ジルベルトだったのに。
 スタン・ゲッツは、このボサ・ノヴァの流行で、改めて表舞台に出るようになる。
 夕方、ビールが飲みたいなと言う季節になると、このアルバムの出番である。
 この前、「the ossa style」と言うアルバムで、ジョアン・ジルベルトの「3月の水」と言う曲を聞いた。単調だけど、それがいい。
 これぞ、ボサ・ノヴァと言う感じだった。


失恋

2021-07-18 | 【断想】音楽

 Wear the Willow
 その意味は、「失恋する」。
 「柳を身につける」とは「失恋」のこと。
 どうして、そうなったかは、よく知らないが、古くから、そのように使われる。
 ジャズのスタンダード・ナンバー「Willow Weep For Me」は、失恋の歌。
  「柳よ泣いておくれ」と訳されている。
 先日、マル・ウォルドロンのピアノで聞いた。
 今日は、ビリー・ホリデイのヴォーカルで。
 日本では、「ビリー・ホリデイ物語《奇妙な果実》」(ヴァーブ 1956)と名づけられたアルバムに収録されている。
 英語では、「LADY SINGS THE BLUES」と、彼女の自叙伝と同じタイトルである。
 その本の出版を記念してのアルバムなのだ。


静かな寺

2021-07-17 | 【断想】音楽

 マル・ウォルドロンには、ピアノソロの「オール・アローン」よりずっと前に、ピアノ・トリオで演奏した同曲「クワイエット・テンプル」が録音されたアルバムがあるようだ。
 新宿のディスク・ユニオンで、LPがないか、何度かさがしたが、見つからなかった。確かヨーロッパのレーベルからで、そんなに出ていないのかも知れない。おそらく、CD化はされていない。
 だいたい、「オール・アローン」のCDも見かけない。これもないのだろうか。
 バルネ・ウィランのアルバム「ふらんす物語」で、何度も「クワイエット・テンプル」を聞いている。静かで、落ち着く曲だから。この演奏でのピアノは、マル・ウォルドロン。

 


「バーニーズ・チューン」

2021-07-17 | 【断想】音楽

 昨日とりあげた「ジェリー・マリガン・クインテット feuturing チェット・ベイカー」(ファンタジー)のレコーディングは、1952年9月と1953年1月。
 その期日が気になって、油井正一著「ジャズの歴史物語」(角川ソフィア文庫)を開いてみた。
 「ジェリー・マリガンがウエストに来たのは五二年九月のことである」との記述がある。
 何かおかしいと思って、広く知られたアルバムである「GERRY MULLIGAN QUARTET」(パシフィック)のライナーノーツをみた。
 ウエスト・コースト・ジャズの代表的アルバムで、当然、ウエストで録音されている。
 レコーデイングは、1952年~1953年である。
 期日として、以下の記録が載っていた。
 1952年6月10日:数曲録音。
    7月9日:2曲録音。
    8月16日:2曲「バーニーズ・チューン」、「木の葉の子守歌」録音
 そうなのだ。ジェリー・マリガンは、9月前に、ウエストにいたのである。
 マイルス・ディビスの「クールの誕生」の録音に、1949年、1950年と加わり、そのあと、どれくらいあとか分からぬが、ニューヨークからカリフォルニアへと向かったようなのだ。
 そして、ウエストで、チェット・ベイカーに声をかけ、ピアノレス・カルテットでの演奏をやりだしたのだ。


マリガンとベイカー:西風

2021-07-16 | 【断想】音楽

 ジェリー・マリガンとチェット・ベイカー、この二人は、人として相性がいいように感じる。
 そんなに歳は離れていないはずだが、ジェリー・マリガンが兄貴分だ。
 兄は、何か危なっかしい弟を気遣っている感じだ。
 「ジェリー・マリガン・クインテット feuturing チェット・ベイカー」(ファンタジー)と言うアルバムをたまたま見つけた。
 ウエスト・コーストの頃の録音である。
 クインテットの顔ぶれ
 ジェリー・マリガン(bs)
 チェット・ベイカー(tp)
 カーソン・スミス(b)
 チコ・ハミルトン(ds)
 演奏曲は8曲
 1.CARIOCA:カリオカ《ブラジルの踊り》
 2.LINE FOR LYONS:ライン・フォア・リヨン(リヨンへの道)
 3.MOONLIGHT IN VERMONT:ムーンライト・イン・バーモント(バーモントの月光)
 4.BARK FOR BARKSDALE:バーク・フォア・バークスダル(ARKSDALEへの咆哮)
 5.TURNSTILE:ターンスティル(回転扉)
 6.THE LADY IS A TRAMP:ザ・レディ・イズ・ア・トランプ(彷徨えるレディ)
 7.MY FANNY VALENTINE:マイ・ファニー・バレンタイン
 8.LIMELIGHT:ライムライト(石灰光)
 9.GERRY MULLIGAN SIGNING OFF:ジェリー・マリガン・サイニング・オフ
 1,2,4,7が、1952年、サン・フランシスコでの録音。
 3,5,6,8.9が、1953年、ハリウッドでの録音。
 「カリオカ」から聞き始めて、その曲調のせいもあろうが、第一印象は、みんな楽しそうに演ってるなと言うこと。
 「ムーンライト・イン・バーモント」のマリガンのソロ、いかしてる。
 「BARK FOR BARKSDALE」のチコ・ハミルトンのドラム、いい。
 「回転扉」、マリガンとベイカーの息が合っている。
 「その淑女はさすらい者」、近寄りたくもあり、近寄り難くもあり。
 「マイ・ファニー・バレンタイン」、チェット・ベイカーがしっとり奏でる。
 なかなか聞かせるアルバムだ。


「彼奴を殺せ」

2021-07-15 | 【断想】音楽

 エドゥアール・モリナロ監督のサスペンス映画「彼奴を殺せ」サウンドトラック。
 1959年、パリで録音されている。
 バルネ・ウィラン(ts,as,comp)
 ケニー・ドーハム(tp)
 デューク・ジョーダン(p)
 ポール・ロヴェール(b)
 ケニー・クラーク(ds)
 以上の、5名で演奏され、12曲にまとめられている。
 曲という言い方が、いいのかと言うことはあるが。
 作曲はバルネ・ウィラン。
 なんだかワクワクさせられる音楽になっている。
 映画は見ていないが、それぞれのシーンが思い浮かぶかのようである。


ザ・ボサ・スタイル:the bossa style

2021-07-15 | 【断想】音楽

 ボサノバ(ボッサノバ)とは。
 手元のベネッセの辞書に、こうある。
 サンバにモダンジャズのリズムをとり入れた音楽。1960年代にブラジルで生まれた。
 岩浪洋三の「モダン・ジャズ入門」(荒地出版社 1978年)のジャズ用語のページに、「ボサ・ノヴァ」として、もう少し詳しい説明が載っていた。
 同じ荒地出版社の1967年の同名の油井正一の本にも、ジャズ用語集というページがあるが、そこには載っていなかった。
 油井正一の1972年の「ジャズの歴史物語」(スイング・ジャーナル社)には、ほんの少しだが、記述がある。
  そうなんだ。
 僕の子どもの頃には、なかった音楽ジャンルなのだ。
 「ザ・ボサ・スタイル:the bossa style」(マーキュリー 1998年プレス)は、ボサノバの名曲18曲を集めたアルバム。
 タンバ・トリオによる「マシュ・ケ・ナーダ」ではじまる。
 ジョアン・ジルベルトの「3月の水」、いろんな単語を脈絡なくならべたような歌詞。
とてもいい。時に、「ちょっと孤独」なんて入る。
 マルコス・ヴァーリとアウロ・セルジオ・ヴァーリのよく耳にする「サマー・サンバ」、いい気分になれるね。
 ボサノバのいいところ。
 のびのびとすなおな心性がベースにあるところ。
 世のしきたりやこだわりから離れた位置にあること。
 もっともらしさにこだわっていないところ。
 息をつめるような緊張がないところ。
 シルヴィア・テリスのおなじみの「カルナヴァルの朝」、「黒いオルフェ」のテーマ。
 ジャズ感の強いボッサ・トレスの「ボトルス」、タンバ・トリオの「ジャズの影響」。


バラードとブルースの夜

2021-07-11 | 【断想】音楽

 日曜の夕方、外の用事を済ませ、家に帰り、くつろげるかなと思って、久し振りに、マッコイ・タイナー。
 「ナイト・オブ・バラード&ブルース」(インパルス 1963)、ピアノ・トリオでの演奏である。
 遠くで雷の音がして、風が出だしたなと思ったら、雨がパラパラときた。
 でも、窓から見える空は明るい。
 このあたりは、本降りにはならないだろうな。
 「サテン・ドール」から「ウィル・ビィ・トゥゲザー・アゲイン」。
 そして、「ラウンド・ミッドナイト」。
 続いて、「フォー・ヘブンズ・セイク(お願いだから)」、「スター・アイズ」。
 モンクのもの、もう一曲「ブルー・モンク」。
 「グルーブ・ワルツ」、「デイズ・オブ・ワイン・アンド・ローズ(酒とバラの日々)」。
 スタンダードばかり8曲。
 聞きなれた曲というのは、落ち着けるものだ。
 ちょっと、気分転換になったかな。
 まだ、雷の音。
 雨、パラパラでお終いみたいだ。


LET FREEDOM RING

2021-07-10 | 【断想】音楽

 JACKIE McLEAN / LET FREEDOM RING / BLUE NOTE / 1962
 JACKIE McLEAN(alto sax)
 WALTER DAVIS,JR (piano)
 HERBIE LEWIS (Bass)
 BILLY HIGGINS(drums)
 1.MELODY FOR MELONAE
 2.I'LL KEEP LOVING YOU
 3.RENE
 4.OMEGA
 以上が、「レット・フリーダム・リング」のパーソネルと収録曲。
 ELONAE(メロネエ)は、ジャッキー・マクリーンの娘、RENE(ルネ)は、メロネエの兄。
 このアルバム、なんとなく期待していたものと違ってた。


マル:MAL

2021-07-10 | 【断想】音楽

 マル・ウォルドロンのアルバム、知っているものをあげてみた。
 1963年録音の「クワイエット・テンプル」は、聞いたことがない。
 聞いてみたいと思っている。
 ■MAL-1/MAL WALDERON QUINTET/Prestige/1956
  マル・シリーズ4枚のトップ、初リーダー盤。イエスタデイズ他
 ■LEFT ALONE/The Mal Waldron Trio Featuring Jackie McLean/Bethlehem/1960
  ビリー・ホリディの追悼。レフト・アローン他。
 ■QUIET TEMPLES:Les Nuits De La Negritude/Trio/Freedom(power Tree)/1963
  クワイエット・テンプル(オール・アローン)他。
 ■ALL ALONE/solo/G.T.A./1966
  全曲オリジナル、ピアノ・ソロ。オール・アローン(映画「マンハッタンの哀愁」)。
 ■FREE AT LAST/MAL WALDRON TRIO/ECM/1969
  ECMレーベルの第1号盤。
 ■MAL WALDRON QUINTET WITH STEVE LACY/ENJA/1977
  ウィズ・スティーブ・レイシー。
 ECMの「フリー・アット・ラスト」を聞く。
  メンバーは、マル・ウォルドロン(p)、イエス・エッキンガー(b)、ウラレンス・ベクトン(ds)の3人。
 1.ラット・ナウ
 2.バラディナ
 3.1-3-234
 4.ロック・マイ・ソウル
 5.ウィロウ・ウィープ・フォー・ミー
 6.ブー
 「ウィロウ・ウィープ・フォー・ミー:Willow Eeep For Me:柳よ泣いておくれ」は、スタンダード・ナンバー、失恋のバラード。
 マルのピアノは静かに奏でられる。
 「ラット・ナウ」は、速い。
 マル・ウォルドロンの「オール・アロン」を聞いて、もっとと思って、「フリー・アット・ラスト」を聞いた。
 マルの強く、重い音。
 ジャズの魅力は、プレイヤーの心情をも感じるところにある。
 マル・ウォルドロンは、その感を強く抱かせてくれる。


ジャッキーズ・バッグ

2021-07-10 | 【断想】音楽

 ジャッキー・マクリーンの「ジャッキーズ・バッグ:Jackie's Bag」。
 1959,60年の録音、ブルー・ノートからのリーダー盤。
 ジャッキー・マクリーンが、それなりのプレイヤーとして世に認められだした頃のアルバムである。
 演奏メンバーも錚々たる顔ぶれ。
 収録曲は、以下の6曲。
 1.クァドラングル
 2.ブルース・イン
 3.フィデル
 4.アポイントメント・イン・ガーナ
 5.ア・バラッド・フォー・ドール
 6.ジャワ島
 1~3が、1959年の録音、4~6が、翌1960年の録音で、演奏の顔ぶれが違っている。
 みんな、いきいきと演っている感じが気持ちいい。
 ジャッキー・マクリーンのは、哀感ただようものであっても、総じて、いきいきしているのである。
 根に音楽を愛し、人生を大切にしようという姿勢が感じられるのだ。
 「クァドラングル」には、フリー・ジャズかと思わせる部分もある。


“ツァラトゥストラ”

2021-07-08 | 【断想】音楽

 エウミール・デオダードの「ツァラトゥストラはかく語りき」(1972 CTI)。
 フュージョンがひろがり、ジャズ・シーンが変わっていくかつて、注目された盤だ。
 エウミール・デオダードは、ブラジルの生まれ。
 リヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」やクロード・ドビュッシーの管弦楽曲「牧神の午後への前奏曲」のジャズ化で注目された。
 ジャズ化と言うけど、フュージョンと行った方がいいかな。
 エウミール・デオダードの編曲・指揮のもと、演奏には、エレクトリック・ピアノ、ベース、ギター等が使われている。
 パーカッションが、ラテンのムードをつくっていく。
 収録曲
 A面 1.ツァラトゥストラはかく語りき
    2.スピリット・オブ・サマー
    3.カーリー&キャロル
 B面 1.輝く腕輪とビーズ玉
    2.牧神の午後への前奏曲
    3.セプテンバー13
 B面の「輝く腕輪とビーズ玉」は、ただひたすら、聞きやすく楽しい。
 チャカポカ・・・。
 こう言うの毒にも薬にもならない。
 「牧神の午後への前奏曲」聞いているうちに、眠くなる。
 氷上英廣訳の「ツァラトゥストラはこう言った」(岩波文庫)を手に取る。
 ページのはしが折られていたところを開く。
 「いちじくの実が木から落ちる。甘い豊かな実だ。落ちながら、その赤い皮は裂ける。わたしは熟れたいちじくの実を落とす爽かな北風だ。」