梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

介護職研修と介護崩壊!?(その4)

2024年04月13日 06時02分07秒 | Weblog
今回から「介護崩壊!?」について書いてみます。唐突ですが、今働いている障害者介護施設(デイサービス)の私の給料はどこから出ているのか、です。私の給料は国のお金から、つまり税金から支払われています。施設が市町村の機関に、行った介護内容を報告・請求して、税金を原資に報酬が払い込まれます。各施設は報酬の橋渡しをしていることになります。

片や高齢者介護の報酬は、我々が40歳から月々払っている介護保険から、その給付を受ける形で、半分は支払われます。あと半分はやはり税金から支払われます。高齢者にしても障害者にしても介護を必要とする場合は、市町村の認定を受けなくてはなりません。所謂特養(特別養護老人ホーム)に入所できる資格は、この認定の要介護3以上です(区分は1~5まで)。

介護崩壊を語るにしても、国の介護保険制度を理解していないとできません。今回の研修会のおさらいも含め、制度を見直してみます。日本の急速な高齢化を背景に、介護を社会全体で支えるしくみとして、介護保険制度が2000年4月に施行されました。これは加入者が保険料を出し合い、介護が必要になった時に、必要な介護サービスが給付される制度です。その後定期的に色々改正が行われてきました。

介護給付に必要な財源は、利用者の自己負担(約1割)を除き、先述したように公費50%保険料50%でまかなわれます。介護給付が年々増加すれば、保険料の見直しがなされ、財政負担も増大していくことになります。後述しますが、制度施行から20年以上経った現在、介護費用は(23年度予算案で)13.8兆円と00年度から4倍に増え、個人負担の保険料や利用料と国の財政負担の兼ね合いで、先送りしつつ課題を残すことになりました。

高齢者介護保険のサービスを提供する事業所または施設は、都道府県知事または市町村長の指定を受ける必要があります。指定を受け公認となれば、その施設は、人件費や諸費用は公費と保険料でまかなえ、利用者の負担もほとんどありません。一方民間でサービスを提供している有料高齢者介護付き施設は、営利も目的であり、費用は利用者の自己負担となり、その選択は利用者の支払える能力で決めることになります。

介護業界において、今年はエポックメイキングとなりました。3年に一度の介護報酬の改定年度(3年間分を決める)でした。また一昨年、介護職が初の「離職超過」となりました。そのような節目で、今年1月から2月の新聞には関連する多くの記事が掲載されました。それらの記事の内容を整理してみますと、介護保険制度に関すること、介護職員に関すること、介護サービスに関すること、などとなります。一つ一つ追ってみます。

保険制度の問題。厚生労働省は2024年度から介護保険サービスの料金体系(介護報酬)を全体で1.59%引き上げる。介護で働く人の待遇改善を最優先に介護報酬は過去2番目の上げ幅としたが、他産業との賃金格差は残ったまま。介護報酬を増やせば保険料や利用料が上がる制度のため、65歳以上の保険料は上がる。

介護報酬を容易に増やせないのは、このように保険料や利用料にはね返り、また財政負担も増すためだ。保険料負担は、制度が始まった00年度では全国平均月2911円だった。その後利用者は増え続け、約3.6兆円だった総費用は20年あまりで約4倍に。これに伴い保険料負担も23年までに当初の約2倍月6014円に増えた。財政改善効果が大きい利用料を2割負担する対象拡大は与党の反対で、結論は次の27年度改定に先送りされた。

介護職員の問題。介護業界の職員は、21年度の215万人に比べ、40年度は70万人近い人手不足が想定されている。人材確保はいまの介護保険制度が抱える最も大きな課題。介護職の月平均賃金は全産業より約7万円低く、2022年は介護職から離職する人が働き始める人を上回る「離職超過」に初めて陥った。人材流出に対しどこまで賃上げできるか、今回介護報酬の改定の焦点となった。25年には800万人の団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、利用者のニーズを増々満たしきれなくなる背景もある。

介護サービスの問題。今回サービス別では、特養など施設系への報酬を手厚くした一方、介護訪問などの基本報酬は引き下げた。国は実態調査(報酬改定に使われたサービスごとの収益差率)を基にしたとの見解だが、経営が厳しい小規模の事業所のデータが繁栄されてないとの指摘も。訪問介護の事業継承は難しくなり、現場からは「在宅介護は崩壊する」との声も上がる。
 
記事から拾った今の日本の介護の問題や課題ですが、介護崩壊の予兆があります。次回は、ある雑誌が特集したテーマ『介護異次元崩壊』について、とり上げたいと思います。   ~次回に続く~

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