梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

営業をしない営業

2014年10月31日 22時18分38秒 | Weblog
先日、同業者が集まって話しをしていました。営業マンをおいて積極的に外交に回る会社と、営業マンは特におかないで外から来た引合いや見積もりに社内で対応する会社とに、我々は分かれるだろうと。我々規模の溶断加工業者は、圧倒的に後者が多く、その業務に社長が関わっていることも大半です。

煎じ詰めれば、販売先に対する営業姿勢や、同業他社との競合をどう考えるかの問題になります。そして、販売先が直需的なのか所謂仲間商売が主体なのかにも分かれ、自ずとその対応も違ってくるものなのかもしれません。

或る会社が、悪評が立っているとのことです。自分の処で加工が出来なくて、その会社(或る会社)に外注依頼したところ、受注した販売先のトラックをそこに引き取りに行かすと、その会社は直に取引をしないかと、自分達の販売先に話を持ち掛けると言うのです。

営業マンをおけば、営業マンの仕事は、販売先の仕事を確保して売り上げを上げることになります。その行為は、同業他社の販売先に強引に売り込みに行く結果となりかねません。件の会社は外に行かずとも、その行為をしていることになります。

道義上の問題を除けは、商売は本来自由競争ですから、敵を作ることを覚悟すれば、「何んでもあり」です。また取られてしまったお客さんがあったとすれば、その販売先としっかりと信頼関係が出来てなかった証拠だとも、取った側からの解釈は出来ます。

その日集まって話していた会社の社長は、敢えて外に出て行く商売はしないけれど会社に居ながら、抱えている仕事量を判断しつつ、新たな仕事は値段設定等常に考え、仕事が溢れてしまったら懇意にしている外注を駆使して、会社を運営していると言います。

また、以前仲間から貰った仕事で、その先から飛び越して来る引合いなども、断るかどうかを選別していると言うのです。叩きあいを極力避けて、社内で微妙なバランスを取っている、外に出て行く、営業をしない営業と言えるかもしれません。
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他団体のお祝い

2014年10月25日 06時28分14秒 | Weblog
 (前列中央が中村会長 左隣が石原副会長)

埼玉県の川口市は、昔は鋳物で栄えた町であり、大田区のように町工場も今だに多く、鉄鋼では馴染み深い土地であります。わが社も昭和40年代には、川口の鋳物工場には、鋳物の原料である、スクラップを加工した材料をかなり納めていました。

その川口市で、昭和44年8月に鉄鋼業を営んでいる22社が、“川口鐵鋼会”という会を発足させました。今年創立45周年を迎え、19日浅草の料亭「一松」にて記念式典が行われ、会員企業の代表者やその家族を含めて約50名が参集して、節目を祝いました。

川口鐵鋼会は、全国鉄鋼販売業連合会の加盟21団体の中で、埼玉県を代表する団体でもあります。東京鉄鋼販売業連合会の会長宛に来賓としての招待状が届いたのですが、よんどころない事情で欠席となり、その式典に副会長の私が代理とし出席致しました。

普段の会員同士のお付き合いが目に浮かぶ、和気藹々という言葉がピッタリと当てはまる集まりでした。また式典には代表者の奥様の出席が多く、長年会社経営を家庭で支えてこられた、奥ゆかしくも内助の功がにじみ出ているお顔がまぶしく映りました。

新年会や例会を催すと、毎回100%に近い驚異的な出席率とのこと。去年は青年会も発足して、次世代への事業継承も盤石です。発足当時の22社が、現在は25社。全鉄連や東鉄連の傘下の多くの団体が会員数を減らしている中にあっては、稀有な存在です。

荒川を隔てて、東京駅からの距離が15㎞程で埼玉都民と言われるように、東京への通勤・通学の人口が多いのが川口市です。一昔は工業地域として色濃かった川口も、集合住宅を始めとする中高層の建築物が建てられ、都市化の波で町の風景も変容しています。

その意味では私が所属している、江戸川鉄栄会と共通点があり、町中の鉄鋼関係の工場や倉庫も更に東京から離れた地域に追いやられようとしています。しかし、長年頑張ってしっかりと地元の地域に密着して、堅実経営を貫いて来たのも川口鐵鋼会です。

わが社もその中の数社とお取引があり、江戸川鉄栄会と地域環境が似通っているところ、とても親しみが湧く記念式典に参加するチャンスを頂きました。
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創意と工夫は

2014年10月17日 20時55分45秒 | Weblog
創意と工夫は、どのような状況で出て来る発想でしょうか。何事も順風満帆の時、会社で言えば黒字で順調に利益が出ている時なのか。逆境にあって苦戦している時、同じく会社で言えば赤字から脱出出来ずに苦しんでいる時なのか。

創意と工夫をするのは苦しんでいて結果が出ない時であり、逆に言うと労せずして成果が出ている時はこの発想はなかなか出て来ないもの、と私は思います。常に創意と工夫を心掛けることが理想でしょうが、会社が危機に直面して、難局を乗り越える為に皆が知恵を絞るのであれば、良い切っ掛けとなります。

わが社の利益については、月次単位では、私は一喜一憂しないようにしています。年12回の戦いのチャンスがあるからです。少なくとも一年単位で、トータルとしての利益を見たいと心掛けています。従って、当月単月だけの赤字か黒字かでは、営業管理職に対しては特に何も言いません。

会社では自社でコントロール出来ることと出来ないことがあります。例えば、我々が扱っている素材販売は相場が付きまといます。つまり上がり相場もあれば下がり相場もあり、それによって利益も大きく振れますし、この相場を操作することはわが社単独ではどうにもならないことです。

また例えば、設備機械とか人材など将来の為の投資で、足元の固定経費が増えてしまうこともあり、努力しても現状の仕事受注量や利益面でカバーし切れないこともあるかもしれません。勿論、経費は極力ミニマイズしなくてはなりません。

むしろ固定経費が軽くて、一過性の受注量に翻弄され、相場などに救われて、労せずして利益が出る時が一番危ないかもしれません。何故なら、自らの努力を怠り油断をするからです。

相場に左右されるなら、相場に左右されない体質を作ることです。一過性の受注量に翻弄されるなら、将来に繋がる仕事の確保をすることです。会社の赤字も黒字も意味があります。赤字であるなら、赤字を解消する為に皆で創意と工夫を凝らすことです。
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120名と台風

2014年10月11日 09時47分28秒 | Weblog

その日は台風18号が東海及び関東地方を直撃する前の日でした。朝から雨が途切れなく降っていて、時折風も強く吹く。そのような日に、それも120名で“東京スカイツリー”に登ろうとするのですから、天候としては最悪でした。

江戸川鉄栄会の秋恒例の社員・家族の慰安の集いを、三ヶ月前から企画をしました。前もって場所や日時は選べても、10月5日、その日の天候は選べません。果たして当日ツリーに登れるのか、役員幹事としては、台風情報を無視出来ず気を揉んでいました。

5日の午前11時スカイツリーの団体待ち合わせ場所には、一人のドタキャンもなく、参加者全員が集まりました。ツリーが登れない代案として、併設している“すみだ水族館”見学を仮予約して、万一の場合に備えます。

さてツリーの第一展望台に行くエレベーターは、4台の内2台は運休する事態の中、残り2台は安全速度でしたが、やっと登れました。登ってみると、展望台からの景色は雲で覆われていて、真っ白。何となく揺れも感じます。時折突風に雲が押しやられ瞬間眼下に街並みが表れる、そんな程度です。

それでも、350mの天空で繰り広げられた、ゆるキャラの踊りは、参加した25名の子供達を魅了しました。その後、東京スカイツリータウンソラマ31階“ブラッスリーシノワ昴”に移動して、豪華な中華料理を皆で味わい、最後は盛大にビンゴ大会を行い、お開きとなりました。

「雲に覆われた景色を皆さんしっかりとご覧になったと思いますが、この様な風景は滅多に見られません。台風の最中でも登れた。ものは考えようで、皆さんはついています」。食事の前に、会長として皆さんにはそのような挨拶をさせてもらいました。

晴れ渡った日であれば、日曜日は混雑をしていた筈。120名をスムーズに誘導出来なかったかもしれません。スカイツリーの展望は残念なことではありましたが、それだからこそ、店を我々だけで貸し切れたこともあり、食事会は今までになく盛り上がりました。

何事もプラス思考をすることであると、自分にも言い聞かせる一日でした。
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日頃の積み重ね

2014年10月04日 10時40分39秒 | Weblog
わが社の営業を統括している役員から、最近このような報告を受けます。新たに販売を開始する切っ掛けとか、その取引の仕組みも以前とは大分違って来たとの内容です。以前は新規開拓と称して自らお客様に飛び込んでいた、昔のわが社との比較でもあります。

どのように変わって来たのかと言いますと、頻繁ではありませんが、既存のお客様からの紹介を頂いて取引が繋がるケースが増えました。新たにわが社を起用して下さるお客様は大よそ、従来の仕入先に満足をされていないとか、何か問題を抱えている背景があります。また、紹介して下さるお客様にわが社が嫌われていたのなら、この事は起こりません。

従来の新規開拓で繋がるケースは、納期対応や品質精度の他社との比較もありましたが、殆どか価格競争でした。逆に考えれば安い価格でしか他社を蹴落とせないのが実態であり、これを競争相手(同業他社)と繰り返したら、業界の大きな損失となりメリット等決してありません。

またその取引の仕組みの変化とは、複合的な要素で絡み合うケースです。例えば仕入れ先の商社の依頼で、新たな加工先の販路が確保されることがあります。わが社が使う材料は、その商社から継続的に仕入れることになり、その商社はその販売先にわが社以外の鋼材も納入しているケースです。わが社も商社も相互メリットが生じます。

わが社の12年前は厚板素材しか扱っていませんでした。今日自社加工していなければこの取引は成立していません。最近は自社で在庫する鋼材や自社で加工する以外の品種や加工が相当扱えるようになり、過去絶対に無かったような引き合いが増えました。

その役員は、お客様からの注文や新たな引き合いも、極力断ることをしてこなかった結果ではないかと、振り返ります。無理難題を達成出来た時の喜びも、営業や業務に携わっている者からすると、大きなモティベーションであることは間違いありません。

新規開拓ばかりを重視して、既存の販売先をないがしろにする。そのような愚はよくある話しです。小さなことでも他社が出来ないことを積み重ねる、日頃や日常を大切にすることをわが社の信条としなくてはなりません。
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