梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

来年に繋げる

2013年12月28日 09時40分20秒 | Weblog
二日前に、仕入れ先の商社の方が三名わが社に来られました。その中のお一人が年明け早々大阪に転勤とのこともあり、年内の挨拶も兼ねてお越しになりました。応接室に座って、冒頭から、先月行われたわが社の60周年記念行事についての話題となりました。

実はその方達は、60周年式典の第二部では、余興を披露して下さった方々なのです。白塗りの顔に派手な衣装で、マツケンサンバの曲に乗って、派手な踊りを踊って下さいました。普段真面目な人達が、替え歌を交えながらでしたので、会場は爆笑&大受け。

その記事や写真が業界紙にも載って、今や社内外で有名人になっているのだそうです。「最初はためらいも緊張感もありましたが、終わってみて、私達自身が達成感を味わうことができました」、とはその課長の弁。逆に感謝されました。

その方々が帰り際、応接室から出ていって事務所に挨拶に行かれた時に、事務所に居合わせたわが社社員が、全員で立ち上がって拍手を送りました。まるで一緒に戦った戦友のような感覚で、お取引様とも一体となっている、何とも言えない雰囲気でした。

12月に入り、第二週の週末に社内で忘年会を開きました。当然そこで話される話題は60周年絡みとなり、当日車で帰るので酒が入らない社員も多かったのですが、異常な盛り上がりは最後まで続きました。それぞれの社員の潜在意識の中に、何かが入りました。

第三週目までには、当日の式典の様子を撮影した、ダイジェスト版の動画DVDを参加された皆様には送り終えました。この発送を以て、実質的には60周年記念行事が全て終了したこととなります。

私の心の中には、今までの張りつめた気持ちを戻そうとする、心の落ち着きをもどうそうとする、後ろ向きな安堵感が知らず知らずに巣食い始めていたのです。しかしそれが、気の緩みとなっていることに最近気が付きました。

前回と前々回のブログで、やる気について書いている自分が、自分の気の緩みを自覚していないのですから、自分とは本当に厄介な存在です。社員の中に芽生えたやる気を、形を変えながら、社長の私が再度火付け役とならなくてはいけないところです。

会社に宿ったこの芽生えを、アクティブなエネルギーとして、来年以降も繋げていかなくてはなりません。その大事な役割を感じています。
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「やる気」について(その2)

2013年12月21日 06時12分23秒 | Weblog
長年営んできた会社を廃業せざるを得ない理由は、色々と考えられます。ここ数年で、わが社の取引先でも廃業した会社は、決して少なくはありません。また、ごく近い将来廃業を想定して動いている会社も、実のところ存在しています。

経営者の高齢化や健康問題、その中で後継者が不在、将来の仕事について裏付けが無い、機械設備が老朽化している、でも新たな設備投資は避けたい、事業そのものの採算が取れない。その様な理由が、経営者が廃業をするに至った主なものになっています。

この廃業が、破綻や倒産とは決定的に違う点は、廃業は経営者が自らの意志で決めることです。将来債務不履行になる可能性がある、極力他人に被害を及ぼさない前に、自力で商売を止めることです。つまり清算出来る体力がある内にとの判断です。

今までの蓄えがあるから、または不動産の収入があるから、その後のお金の保証が何とかあるから、廃業に踏み切れる。今までの廃業された、60歳を過ぎた経営者が、背景としてその様に語っていたことも事実です。

それは、長年努力を積み重ねた結果によるものです。また廃業をする選択肢は、その方ご自身の老後を考える、生き方や尊厳にかかわる問題です。私が過去接した経営者の方々を見る限り、やる気を失ってしまい廃業に至るとは一概には言い切れません。

しかしながら、当面仕事をしなくてもお金の保証があると言うことは、これから更に苦労をするならば、事業欲を喪失して、無意識にやる気を失ってしまう。そのように、すり替わってしまう落とし穴は在るのかもしれません。

一方で、私が接した廃業する会社の経営者よりもはるかに高齢で、廃業した会社よりも恵まれていない状況の中でも、努力を積み重ねている経営者の方もいらっしゃいます。現在されている仕事に、生き甲斐と使命を感じている方です。

先のお好み焼き屋さんのご主人のように、直接の本当の理由はともかく、廃業する前からやる気を失っている人もいる訳です。開店当時は苦労したでしょうが、結果的には固定客も増えて、閉店するのは残念に思っているお客の、私は一人です。

同じような年齢の自分自身に置き換えて、自分への戒めも含めて、やる気の大事さを再認識しています。
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「やる気」について

2013年12月14日 09時48分25秒 | Weblog
自宅近くにあるお好み焼き屋さんが閉店しました。その場所で、15年位前からでしょうか、60歳前後の夫婦二人でやってきたお店です。わが家ではあることを切っ掛けに、頻繁ではありませんが、そのお店に行くようになりました。

市川市にわが家は在り、最寄りの駅も遠く、昔からこの一帯は閑静な住宅街でした。従って近くには飲食店も少なく、居酒屋程度のお店は若干在るものの、家族揃って行けるような適当なお店は無かったのでした。

ところが30年程前に、地元のチェーン店である焼肉屋さんが、わが家の近くにオープンしました。お客様第一主義を貫き、美味しい肉を安く家族が手軽に食べられるコンセプトで、その店舗も人気店となって、ある時期は2時間や3時間待ちは当たり前となりました。

わが家の子供達が小さかった頃、その焼肉屋さんに食べに行きたいとせがまれるのですが、元来私はそこまでして長時間待つ忍耐力も、人気店に群がる勇気もありませんでした。また人気店になればなるほど、お客様へのサービスの質は落ちてしまうものです。

そこで、その焼肉屋さんから歩いて一分の所に在る、お好み焼き屋さんに入ってみたのです。奥さんの接客サービスは良くて、味はそこそこで、お腹を空かした子供達にとってみると待たずに直ぐ食べられるお店は何より魅力です。

気が付くと、その焼肉屋さんから溢れて来るお客さんが増えていたのです。週末等時間帯によっては、空席待ちの状態にもなりました。人気繁盛店の傍に店を出す商法もあると聞いたこともありますが、その店はいつしか焼肉屋さんの代替え店となっていました。

長年やっていたのですから、それなりの固定客もいた筈です。では何故、お店を閉めるのか。ご主人の健康上の問題なのか、詳しい事情は私達には分かりません。しかし、家内がぽつりと言いました、「だってあそこのご主人、元々やる気がなかったもの」と。

奥さんは明るく愛想が良いのですが、ご主人はどちらかと言うと無愛想です。そのやる気の無さが、確かに伝わってくるのです。部外者から見ると、活発なその奥さんと、近くの混雑店があったからこそ15年も継続してこられたのでは、と思ってしまいます。

我々の鋼材業でも最近廃業するところがあるのですが・・・。 ~次回に続きます~
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わが社の60周年(その5)

2013年12月07日 12時50分40秒 | Weblog

創立60周年を機に、長年倉庫の片隅で保管していたものを、モニュメントとして制作して、わが社屋の前面に設置しました。これは、私の祖父梶次三郎が戦前に墨田区で鉄鋼業を営んでいた時の、剪断機械のフライホイールです。

しかしこのシャーリング業は戦争の激化によって、昭和16年には休業を余儀なくされ、工場ごと同業者に売却します。この際に、剪断機も第三者の手に渡ります。

昭和27年、先代梶哲がスケールで再創業し、その後わが社はスクラップへと事業展開をします。昭和57年にスクラップで買い付けた中に、このフライホイールが、なんと偶然にあったのです。先代はその大きさや数か所の傷を見て、間違いなく「梶シャーリング」のものであると大喜びし、この奇跡に驚愕しました。手放してから約40年が経過して、わが社に戻って来たことになります。

前出の記念誌は業務課長に、このモニュメントは工場長が、それぞれ制作の担当責任者として携わりました。全ての制作を終えた二人は、会社の歴史を改めて知って、より会社が身近になったと、感慨深げに話をしてくれました。

わが社は過去何回か、会社の存亡まで関わる出来事に遭遇しました。11年前、素材販売のトップの取引会社が破綻し、わが社は大きな負債を抱え、苦渋の選択の末、その会社の従業員をわが社の社員に加えて溶断加工事業を継承しました。

どっちが正しいとか間違いとかではなく、しかし二つの会社の異文化の衝突は、暫くは続きました。二つの制作物の責任者は、前の溶断会社の社員でした。それ以前から梶哲にいた社員、その後新たに入った社員も含めて、わが社は今日あります。

そのような混在感が今まで多少は残っていたとしても、全てが払拭された今回の60周年行事でした。色々な事が重なりましたが、思わぬ誤算もあって、全員が「やらされ感ではなく、やりきった気持ち」になれた11月22日でした。

12月に入り、梶哲商店は既に創立61年を迎えております。大きな節目を越えて、新たなスタートラインに立った心境です。皆様の出逢いとご縁を今後とも大切に、社員一丸となって、これからも鉄を通して皆様のお役に立ちたいと存じます。  ~このシリーズは今回を持って終わります~
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