仕入れする方が購入する物の値段を叩いてしまうのは、その結果少しでも安くなれば、仕入れ側の利益となるからです。しかし販売する方からすれば、値段を叩かれれば利幅を圧縮されて、販売側の利益を喪失することになります。互いに損得で対峙します。
継続的な商売なのかスポット的なのか、数量や金額の多寡によっても、値引き交渉の真剣さは違ってきます。例えば最初の見積もりの価格にしても、含みがあるのかギリギリの線なのか、そこをどう読むか双方の思惑が絡むこととなります。
当時私が行っていた行為は、先代の値引き交渉が刷り込まれていたのかもしれません。車両や機械設備を購入する都度、先代は相当厳しい値引きを要求していました。その業者が限界かと思うと、更なる値引きに応じている、それを傍らで私は見ていました。
甘い経営をして会社が傾いたら誰も救ってはくれない。会社を守る為に言い値で買ってはいけない。経営者が厳しい交渉をするのは大義名分があります。しかし先代と私が決定的に違っていたのは、キャリアと年齢とそして人格だったかもしれません。
先代の交渉を観察すると、支払い条件とか納期を譲るとか、相手にもメリットを与えていたことを、その後気が付きました。損して得取れではありませんが、先方も商売です。その証拠に、その販売担当がわが社を嫌って、近づかなくなったような人はいませんでした。しかし、わが社が他社のどこよりも安く仕入れていたことは明らかです。
確かにお互いに利益は大事です。しかし言葉を替えれば、後味として残るのは何なのか、なのでしょう。一線を超えて人間の本性まで暴き出そうとした、そこまで追い詰めてしまった、私の冷酷さがあったと思います。同じ事をされたら私も切れていたでしょう。私の方が正しいと思っていた当時でしたが、その考えが変わってきたのは、そのような観点からです。
数年前から、私はこのような値段の交渉を100%行わなくなりました。メインの仕入れ材料にしてもその他の購入品にしても、私は価格交渉の場すら立ち会っていません。最終決済を私が承認する形ではありますが、ナンバー2以下に折衝は任せることにしました。
勿論私は、仕入先の商社や購入先の業者の担当の方とお話しをすることはあり、お会いすれば一般的な話はします。私は一切価格の交渉の話はしないので、相手の会社の担当者とも良い関係が保つことが出来ます。
敢えて言えば、わが社の担当者が悪役となってくれるので、私は善人を装うことが出来ます。トップが我欲をむき出しにすると、会社の雰囲気が悪くなり、会社の品格も失われてしまうと最近考えるようになりました。
反省も大いにありますが、今ではそのような若かった自分を懐かしく思います。長い取引が出来るのは、どちらも上でもなく下でもなく、お互いの立場を理解して信頼し合ってこそだと認識しています。日々此れ学び、となります。
継続的な商売なのかスポット的なのか、数量や金額の多寡によっても、値引き交渉の真剣さは違ってきます。例えば最初の見積もりの価格にしても、含みがあるのかギリギリの線なのか、そこをどう読むか双方の思惑が絡むこととなります。
当時私が行っていた行為は、先代の値引き交渉が刷り込まれていたのかもしれません。車両や機械設備を購入する都度、先代は相当厳しい値引きを要求していました。その業者が限界かと思うと、更なる値引きに応じている、それを傍らで私は見ていました。
甘い経営をして会社が傾いたら誰も救ってはくれない。会社を守る為に言い値で買ってはいけない。経営者が厳しい交渉をするのは大義名分があります。しかし先代と私が決定的に違っていたのは、キャリアと年齢とそして人格だったかもしれません。
先代の交渉を観察すると、支払い条件とか納期を譲るとか、相手にもメリットを与えていたことを、その後気が付きました。損して得取れではありませんが、先方も商売です。その証拠に、その販売担当がわが社を嫌って、近づかなくなったような人はいませんでした。しかし、わが社が他社のどこよりも安く仕入れていたことは明らかです。
確かにお互いに利益は大事です。しかし言葉を替えれば、後味として残るのは何なのか、なのでしょう。一線を超えて人間の本性まで暴き出そうとした、そこまで追い詰めてしまった、私の冷酷さがあったと思います。同じ事をされたら私も切れていたでしょう。私の方が正しいと思っていた当時でしたが、その考えが変わってきたのは、そのような観点からです。
数年前から、私はこのような値段の交渉を100%行わなくなりました。メインの仕入れ材料にしてもその他の購入品にしても、私は価格交渉の場すら立ち会っていません。最終決済を私が承認する形ではありますが、ナンバー2以下に折衝は任せることにしました。
勿論私は、仕入先の商社や購入先の業者の担当の方とお話しをすることはあり、お会いすれば一般的な話はします。私は一切価格の交渉の話はしないので、相手の会社の担当者とも良い関係が保つことが出来ます。
敢えて言えば、わが社の担当者が悪役となってくれるので、私は善人を装うことが出来ます。トップが我欲をむき出しにすると、会社の雰囲気が悪くなり、会社の品格も失われてしまうと最近考えるようになりました。
反省も大いにありますが、今ではそのような若かった自分を懐かしく思います。長い取引が出来るのは、どちらも上でもなく下でもなく、お互いの立場を理解して信頼し合ってこそだと認識しています。日々此れ学び、となります。