梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

会社は誰のもの

2016年06月25日 06時02分05秒 | Weblog
会社は誰のものなのでしょうか。社員のもの、経営者のもの、株主のもの、仕入先や債権者のもの、お客様のもの、地域社会のもの。勿論すべてに関わっているもので、特定のものだけに在るのではありません。

ステークホルダーという言葉がありますが、以上のようないわば利害が関係する、全てのものからの支援がなければ、当該組織が存続し得ないようなグループとの意味のようです。言葉を変えれば、その友好な関係性を維持していくことが企業の使命となります。

わが社の扱う鋼板のメインの仕入先は、名古屋にある電炉メーカーです。その中部鋼鈑株式会社に、毎年この時期に訪問することが私の恒例となっています。わが社はその会社の株を持っていますので、株主総会に7~8年前から出席させてもらっています。

今回の株主総会も順調に進行していきましたが、今年は熱心に株主からの質問が続きました。保有有価証券の投資先、今後の設備投資の有無、製造コストの詳しい内訳、二期先のまで業績予測、海外事業の詳細、更なる分野への拡販の有無、4~50年先までの現有地での工場操業の確認。等など敵対的な質問は殆どなく、むしろ一株主として積極的に関与したい、会社の実態を知りたいとの気持ちが伝わりました。

株主総会が終わってから、会社の過去の業績分析やこれからの中期計画などの説明会がありました。総会の議長もその説明会の発表も社長自らが行い、気がついたら二時間を費やしていました。その後、希望者は工場見学へと向かいました。

何故、敵対的な質問や意見が出ないのかとのことですが、毎年株主総会に来られる方々の多くは中部鋼鈑のOB社員なのです。総会はOBの人達が集まる場所でもあり、自分達が長年働いた会社を見守っていきたいとの、表れではないかと感じます。

中部鋼鈑のわが社としての関わりは、株主でもあり、わが社のメインの仕入先メーカーでもあります。一般の株主からすれば会社が利益を上げる為にすべく方策も、その判断をどうして下さないかは、買わせて頂く私共ユーザーとしては理解出来る点が多々あります。物事を裏からと表から、見る良いチャンスとなっています

仕入先のメーカーが、今後どのようにマーケットに材料を安定供給にされていくのか、このような機会にトップ自ら語られる会社のビジョンは、わが社としても関心があります。

わが社の株は、私経営者の同族がほぼ所有しています。経営者と株主が同一となっていますので、ステークホルダーの観点から見れば、一般の株主の視点が不在です。大企業の株主総会に学ぶところは、そのような視点を大事にするところです。
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プリウスのその後

2016年06月18日 09時24分02秒 | Weblog
2回に亘り“自動車が変る”をテーマに書いてきました。その後、新聞紙上には環境車である電気自動車の最新の話題や、トヨタが今秋に発売するプラグインハイブリット車(PHV)の新型車を都内で公開したなどの記事が載りました。

トヨタのその新型PHVはガソリンを使わず、プラグで充電した電気だけで走れる距離が60キロと現在の2倍に伸ばし、都市部の日常でほぼガソリンを使用しない車だそうです。つまり一台で、電気自動車(EV)とハイブリット車(HV)の切り替え可能なのが魅力です。

私が現在乗っている、エンジンがそろそろ寿命であるプリウスは、その後どうするかの話しです。実は、私の勉強仲間の方で自動車部品のリサイクル業を営んでいる会社があり、同業者が全国ベースで協同組合を作って、中古部品をネット網を駆使して売買しています。今回エンジンを点検してもらった整備工場に、そこを紹介させてもらいました。

その結果、約10万円の6万キロ走った中古エンジンと、約25万円のリビルトエンジンが、見つかったとのこと。リビルトエンジンとは、そもそも中古品ではあるが、手直しをして走行距離を極力伸ばすべく、再生したエンジンだそうです。そして、いずれも載せ替え代は約10万円発生するとのことでした。


では、現在のエンジンを修理するとどうなるか。大よそ50万円はするし、トヨタのディラーに持って行って実際修理をしてみて、更に不具合があって費用が掛かるかどうか分からない。との修理工場の見解で、そしてその責任者からは、次のようなアドバイスを受けました。

一つは、確かにリビルトエンジンに載せ替えれば、これから更なる使用には耐えるけれども、車自体16万キロ走っているので、今度は外装の劣化や内部系統の故障が発生することもあり得ます。とのこと。

次に、手直しをしていない中古エンジンの載せ替えの場合、何キロ走るか予測はつかないし、そのエンジンが故障したらその時はもう新車に買い替えると、割り切るしかないでしょう。とのことでした。

この際新車を購入するのか中古のエンジンにするのかリビルトエンジンにするのか、梶社長の判断です、と責任者から言われました。私にとってみると、愛着がある今の車にもう少し乗り続けるのか、新車を購入してその利便性を享受するのか、車に対する想いをここで決めて下さいと言われているようでした。

いずれにせよ、今回買い換える車の次は、10~15年後でしょうが、その時は自動車の世界はどうなっているのでしょうか。
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自動車が変る(その2)

2016年06月11日 09時16分45秒 | Weblog
アメリカの自動車技術会では、自動運転車をレベル1から4まで設定しています。レベル1から3までは、加減速や操舵や制動など段階的に制御してドライバーは部分的に必要としています。IT企業の先端を行くGoogleは、最初からレベル4の全て自動車任せを目指して開発を進めています。つまりレベル4は、ドライバーは不要です。

自動運転はAI(人工知能)が要です。AIの先端を行くIT企業が先行すれば、従来の自動車メーカーは箱モノだけを提供するような、自動車産業から置き去りにされる可能性もあります。現在の自動車メーカーは系列と呼ばれるピラミッド型産業であり、IT企業はこれには属さずスピード感もまるで異なります。

そのような中、日経新聞6月9日付で、『トヨタAIに託す未来』の記事が載りました。トヨタはGoogleに対抗する為に、AI技術を吸収すべく、アメリカで研究開発会社を新設したとの内容です。「トヨタのAIシフトは、成長の岐路に立つ日本の製造業の象徴だ」と、記事は伝えています。

自動運転が進めば、人間の判断力よりも優れているAIによって事故は激減するはずです。また電気自動車などが普及すれば、エンジン系統の故障も無くなります。そうなればこの潮流が、自動車メーカーやそれに関わる産業の既存秩序を崩壊するかもしれません。

保険業、ガソリンスタンド、整備業や鈑金塗装業、中古車販売業、自動車解体業や中古部品販売業、さらに自動車教習所や運送業。以上私がざっと考えただけですが、様々な産業で大きな変化が押し寄せます。

ウエッジ6月号には、『欧米自動車メーカーが続々参入/なぜいまカーシェアなのか?』の記事も載っています。自動運転と並び、既存の自動車業界を揺さぶっているのがこのカーシェアであり、自動車は「持つ」ものから「使う」ものへと急速に変化を遂げていると、指摘しています。

Googleが一般道で何台もの自動運転車がテストで走行した距離は、総計何百万キロにも及び、これまでに起こした事故はたったの一度(低速でのバスとの接触事故)とのことです。これを見ても自動運転によって、事故はほぼ無くなるもことは明らかです。

私が車に乗る楽しみは運転そのもので、長距離は好きで長時間運転しても疲れません。しかし人間が運転を行なっている限り、人間の判断ミスは起こり、事故は発生します。

事故の危険を察知した時だけにAIが運転に介入する技術も用意すると、トヨタは言っています。AIがパートナーとして介在して、事故を心配せずに、運転する楽しさを求められる私には嬉しいことです。
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自動車が変る

2016年06月04日 10時29分59秒 | Weblog
私が会社から貸与されて乗っている車はトヨタのプリウスです。平成18年4月に新車で購入しましたのでちょうど10年が経ちました。走行距離は16万キロを超えています。そのプリウスが、最近頻繁にオイルの警告ランプが点滅するようになりました。

ここ1年に至っては3~4千キロでオイルを入れなくてはならず、ガソリンスタンドに行けば特に異常などは指摘されずにオイル交換となりますので、この度車検をお願いしている整備工場にしっかり見てもらうことにしました。

その結果は“オイル上がり”と言って、エンジン自体がダメージを受けていて、オイルがシリンダー内に上がってきて燃料と一緒に燃え、短期間でオイルが無くってしまうとのことでした。原因は長い間オイル交換をしなかったことによるもので、エンジンを修理しても高額な費用が発生するとのことでした。

警告ランプが点滅をしないことをよしとして、長くオイル交換をしなかった時期もあったことは事実ですので、弁解の余地はありません。高額な費用を掛けるなら車自体を買い換えた方が良いのではないか、との整備工場の見解でした

現在乗っているプリウスの前に私が乗っていた車は、日産のプレーリーでした。23年前のこと、娘2人の後に長男も誕生したので、7人乗りのミニバン車プレーリーを個人で購入しました。その後プレーリーは通勤でも使うようになったので、会社で買い取ってもらいました。

このプレーリーは、結局13年間乗りました。走行距離は20万キロを超えていたと思いますが、どちらかというと私は一台の車を長く乗るタイプです。このプレーリーの車種は今では生産されていませんが、長男の成長と重なり懐かしい車となりました。

このようにエンジンオイル交換の不備によって車が故障するとか、その人のステイタスとして一台の車を愛用するとか、そのような自動車の概念が全く変る可能性が出て来ました。

新幹線の車内で販売されている雑誌“ウエッジ”の6月号を読みました。『自動車産業が壊れる日/自動運転の“先”にある新秩序』が今回のメイン特集でした。『世界最先端の地、シリコンバレーでは日々Googleの自動車が涼しい顔をして公道を走っている。いま、日本が誇る自動車産業は、その誕生以来最大の危機を迎えている』、タイトルの後にはこのような言葉が続きます。

日本の経済を大いに牽引してきた自動車産業が、自動運転によって、置き去りにされるのか、ものづくり大国に残された最後の砦は守れるのか、大きな転換期を迎えているとの内容です。  ~次回に続く~
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