山の遭難にまつわる話です。中高年の山のクラブで、17~18人のパーティを組んで、山梨県にある山に登りました。季節は冬で、標高は1000m前後の山々です。特に高山でもなく、登るのに難しい山でもありませんが、尾根には雪が付いていましたので、全員登山靴にはアイゼンを装着していました。そして、尾根を一列縦隊で登って行きます。
リーダー格の男性が、地図を読もうと広げた時です。バランスを崩し、雪で足元をすくわれ、瞬く間に谷底に向かって滑落してしまいました。パーティからは、その男性の行方は確認できません。残された人達は、登山の経験が浅い人も、経験を積んだ人もいましたが、即座にリーダーシップをとる人が現れません。
ようやく一人の男性が、自分が探しに行ってもいいとは言ったものの、見るとアイゼンの紐が緩んでいたり歳も取っていたり、とても任せられない状態です。そこに一人の女性が、自分が救出に行くとのことで、急斜面を降りていきます。二重遭難になる危険もありましたが、他の男性が行動に移さないのを見て咄嗟の判断だったのです。
150m下った処でその男性を発見し、大声で尾根にいる人達に、男性二人が降りてくることを要請しました。降りて来た二人が遭難者を抱えることで、その男性には尾根まで自力で歩いてもらいます。尾根に残ったパーティより既に119番に通報がされていて、救助ヘリが到着し、地元の救急病院に搬送することができました。
結局、その男性は肋骨が三本折れていて、その内の一本が肺に刺さっていましたが、命には別条ありませんでした。大掛かりな手術にならずに、緊急処置をして、しばらく入院して退院の運びとなりました。150m下った処で、木の根元に両足で跨るようになって止まったので、それがなければ更に下へ滑落していたかもしれません。
後日談です。「遭難に遭った男性を、意識があるからといって歩かせて良かったのか」の議論が、登山会の中で持ち上がりました。何も行動を起こさず、傍観していた人からの後付けでの意見です。件の女性はその後、専門家などに意見を聞いて自分の行動の検証をしました。ケースバイケース、難しい選択であると認識はしましたが、相談した誰からも、早い救出が奏功したことを評価されたようです。
この女性は私の姉です。中・高女子校時代から、山のクラブである、ワンダーフォーゲル部に所属していました。大学には進まず、わが家で家事手伝いをしていましたが、社会人の女性だけの山のクラブに入ります。結婚してからも山登りは続け、68歳になる現在も、千葉県の地元の中高年の山のクラブに入り、登山は姉のライフワークになりました。
私が大学でワンダーフォーゲル部に、迷わずに入部したのは、この姉の影響です。その経緯は次回にお話することにします。その私の大学のワンダーフォーゲル部のOB・OGの山登りのプランが、5月19日の土曜日に行われました。
春と夏と秋には日帰りの山行、冬にはスキー合宿と、四季を通じてOB・OG達が親睦を深めてきました。19日に行われたのは、春の日帰り山行です。ファミリー向け、一般向け、健脚向けと、2時間から5時間のコースで、11パーティに分かれました。最後はBC(ベースキャンプ)地に全員が集結、参加者は総勢130人になりました。 ~次回に続く~
BC地にて
リーダー格の男性が、地図を読もうと広げた時です。バランスを崩し、雪で足元をすくわれ、瞬く間に谷底に向かって滑落してしまいました。パーティからは、その男性の行方は確認できません。残された人達は、登山の経験が浅い人も、経験を積んだ人もいましたが、即座にリーダーシップをとる人が現れません。
ようやく一人の男性が、自分が探しに行ってもいいとは言ったものの、見るとアイゼンの紐が緩んでいたり歳も取っていたり、とても任せられない状態です。そこに一人の女性が、自分が救出に行くとのことで、急斜面を降りていきます。二重遭難になる危険もありましたが、他の男性が行動に移さないのを見て咄嗟の判断だったのです。
150m下った処でその男性を発見し、大声で尾根にいる人達に、男性二人が降りてくることを要請しました。降りて来た二人が遭難者を抱えることで、その男性には尾根まで自力で歩いてもらいます。尾根に残ったパーティより既に119番に通報がされていて、救助ヘリが到着し、地元の救急病院に搬送することができました。
結局、その男性は肋骨が三本折れていて、その内の一本が肺に刺さっていましたが、命には別条ありませんでした。大掛かりな手術にならずに、緊急処置をして、しばらく入院して退院の運びとなりました。150m下った処で、木の根元に両足で跨るようになって止まったので、それがなければ更に下へ滑落していたかもしれません。
後日談です。「遭難に遭った男性を、意識があるからといって歩かせて良かったのか」の議論が、登山会の中で持ち上がりました。何も行動を起こさず、傍観していた人からの後付けでの意見です。件の女性はその後、専門家などに意見を聞いて自分の行動の検証をしました。ケースバイケース、難しい選択であると認識はしましたが、相談した誰からも、早い救出が奏功したことを評価されたようです。
この女性は私の姉です。中・高女子校時代から、山のクラブである、ワンダーフォーゲル部に所属していました。大学には進まず、わが家で家事手伝いをしていましたが、社会人の女性だけの山のクラブに入ります。結婚してからも山登りは続け、68歳になる現在も、千葉県の地元の中高年の山のクラブに入り、登山は姉のライフワークになりました。
私が大学でワンダーフォーゲル部に、迷わずに入部したのは、この姉の影響です。その経緯は次回にお話することにします。その私の大学のワンダーフォーゲル部のOB・OGの山登りのプランが、5月19日の土曜日に行われました。
春と夏と秋には日帰りの山行、冬にはスキー合宿と、四季を通じてOB・OG達が親睦を深めてきました。19日に行われたのは、春の日帰り山行です。ファミリー向け、一般向け、健脚向けと、2時間から5時間のコースで、11パーティに分かれました。最後はBC(ベースキャンプ)地に全員が集結、参加者は総勢130人になりました。 ~次回に続く~
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