梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

介護職研修と介護崩壊!?(その6)

2024年04月27日 03時40分00秒 | Weblog
前回の“介護異次元崩壊”との言葉が意図するところは、日本にとって介護問題は避けれない課題になったとのことです。2000年に介護保険制度が施行され、それまで「嫁」が担っていたイメージの介護を脱家族化したことは画期的な改革でした。その改革が、女性の社会進出を後押する一因になったことは明らかです。反面、少子化を促進する要因になったことも事実です。

その後少子高齢化は加速度を増し、去年の総務省の人口推計によると75歳以上の人口は初めて2千万人を超えました(全人口に占める割合16.1%)。また国の研究機関によると、2050年には全世帯に占める一人暮らし(単独世帯)の割合が44.3%に達するとの推計です。つまり高齢者が単独化し、身内で介護する人がいない時代に突入することを示唆し、介護危機はますます現実味を帯びてきました。

しかし与えられた人権の擁護(憲法)の立場から、弱者を支援する福祉の思想からも、介護体制を崩壊させてはならないのです。では崩壊にならない対応策は一体どのようなものが考えられるのか、私なりに世の中の動きを追ってみました。崩壊を食い止められる方策はあるのでしょうか。   

“介護人材確保 福井県で進む/県予算でタイから実習生”このような見出しの記事が、今年3月下旬日経新聞にありました。介護人材は全国で足りていないが、不足の度合いには地域差がある。人手不足の介護施設の割合は半数近い都道府県で7割を超す。一方で55%と最も低い福井県は外国人実習生の受け入れに自ら関わり、週休3日制の導入など介護の担い手が働きやすい環境づくりを進める。との、概要でした。以下その解説です。

福井県は21年、県社会福祉協議会に委託してタイの技能実習生の受け入れ窓口となる監理団体を設けた。現地の財団と連携して同国内で介護や日本語を学んだ若者を迎え、18人が県内で働く。費用を県が負担し、実習生は現地での借金問題を抱えることなく来日できる。23年度の予算は3440万円。国は技能実習に代えて「育成就労※」を創設する。県長寿福祉課の担当は「新制度は転職しやすくなり福井まで外国人が来てくれなくなる恐れもある。一から人材を育てる」と狙いを説明。[※育成就労は後述]

このように人数はまだ僅かですが、独自に介護人材の確保を進めている地方自治体があります。国としても、介護分野の外国人材受け入れを28年度までに13.5万人(現在5万人)にすると表明しました。一昨年日本で介護職が初の離職超過の現象を踏まえるなら、外国人就労者を増やすことが、介護崩壊を防ぐ確実な手段になってきたと私は思います。

政府は3月、従来の外国人技能実習制度を廃止し、新たに外国人材の確保を目的とした「育成就労」制度を創設する案を閣議決定しました。3年間で一定の技能水準に育成し、在留資格「特定技能」への移行を促すことで長期的な就労につなげる狙いがあります。1993年に始まった「技能実習」では、発展途上国に技術を伝える『国際貢献』を建前としていましたが、今回の育成就労では『人材の確保と育成』を両輪に掲げ、人手不足を補う目的を明確化しました。

強調しますが、外国人就労者は日本の人手不足を補うために必要と、国は本音を明確にしたのです。新制度の背景には、国際的な人材獲得競争が激化する中、就労環境を改善し、即戦力となる外国人材を呼び込む狙いがあります。育成期間は3年間で、最長5年働ける「特定技能1号」の水準への育成を目指します。熟練技能が必要な「特定技能2号」を取得すれば、事実上無期限の滞在や家族の帯同も可能となります。永住者への道を開いた制度といえます。

厚労省は外国人材による訪問介護サービスについて、いまは認めていない「特定技能」の人も従事できるように、3月同省の有識者検討会で大筋了承、2025年度の実施を目指します。外国人の介護人材は在留資格によって就労できるサービスが異なっていました。特別養護老人ホームなど複数人で共に働く施設系サービスは資格を問わず就労できました。一方で、訪問系は介護福祉士の資格をもつ経済連携協定(EPA)締結国の出身者と、在留資格「介護」の人だけに従事を認めていました。政府は訪問介護の従事者については、介護の基礎知識や技術を学ぶ「介護職員初任者研修」を修了していることや、介護福祉士の資格を持っていること等を要件としてきました。「特定技能」などに解禁する際も同様の要件とするとのことです。

私は去年の12月から今年の4月まで研修を受け、介護職員初任者研修を修了しました。その中に熱心に受講している外国人(中国・ベトナム)の生徒がいました。介護業界において、外国人材を受け入れる動きが、これから加速することを願うばかりです。    ~次回に続く~
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