梶哲日記

鉄鋼流通業会長の日々

他者と目標管理

2017年02月25日 09時32分44秒 | Weblog
確定申告の時期となりました。3月15日が申告期限となり、私の知っている税理士も多くいらっしゃいますが、先生方は一年で最も忙しい時節を迎えます。私は(母も含め)自分で確定申告をしています。未だ時間があるとギリギリまで先延ばしにしてしまうことが、毎年の悪しき慣わしです。

社会的なルールですので、期限は自分では動かせず、遅れながらも仕事は片付けます。このような強制されるものとは違って、例えば厄介なのは、自己啓発の為に仕事以外で新たな目標にチャレンジするとか、あるいは健康改善に関する目標を遂行する場合です。


“目標かなえる自分に変わる”このようなタイトルの記事を読みました。米スタンフォード大学の女性心理学者、マクゴニガルさんにその方法を聞いた内容です。自分の中での葛藤を乗り越え目標を実現することに関する研究に、主に関わっている方だそうです。

彼女は、自分を変えられる人には特徴があると言います。成長に対する健全な考えを持ち自分は絶対に変われると信じる人。周囲のサポートを躊躇なく求められる人。自分を変えられることは可能だと信じている一方で、一人の力で自分を変えるのは難しいという信念も同時に持っている人だと言います。同じゴールを分かち合える人を求めることだと言います。

年頭に一年の計を立て、一年経って実効が出来なくて、何回か私は挫折したことがあります。振り返り反省してみると、次のことが挙げられます。何の為にそれを行いたいのか、目的を深くまで掘り下げてない。自分だけのものにして、他者に公言していない。

何の為に、どうして、何故そうしたいのか。自問自答して掘り下げていなければ、立ちはだかる欲望や困難に負けてしまうのは自明の理です。ましてや他の人は知らないのであれば、出来なくても何ら恥じることもない。そんな自分の逃げ場も残されています。

この典型的なものは“禁煙”です。健康の為と漠然と思うものの、長年の習慣を簡単に変えられるものではありません。その誓いを他人は知らないのですから、喫煙を再開しても、誰からも叱責は受けません。都合が悪いことは隠す、人間は弱い生き物です。

しかし「あなたは肺癌だ!」と医師に宣告されて、即刻タバコを止めた話は良く耳にします。死の恐ろしさの方か勝ったのです。何の為に行うが、ここまで明確にならないと人は行動に移さないとも言えます。

最近心掛けていることがあります。行き成り大きな目標を遂行しようとしないで、一週間位の目標を設定する。そして他人を巻き込み、互いに契る。細かく確認をしながら、クリアすれば互いに達成感を共有する。

マクゴニガルさんが言っている、同じゴールを分かち合える人を求めることに他なりません。一番効果があるのは、多くの人前でアファーメーションすることではないでしょうか。

小さい目標をクリアしていけば、それが良い習慣となってより大きな目標に挑戦出来る。それには他人を巻き込み、弱い自分を客観的に眺めることも必要に感じます。
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自立支援その後

2017年02月17日 21時50分29秒 | Weblog
“働く目的がない”“苦労したことがない”“打たれ弱い”“何を考えているかよく分からない”この四つは、何を言わんとしているのか。先日参加した、千葉県若人自立支援機構が主催するシンポジウムで、壇上の関係者の方がこのように表現しました。

「多くの企業が大卒者を採用して、落胆してしまう」。家庭環境や学歴は恵まれていても、やる気を感じない。それを言葉に表せば、この四つになると言うのです。若人自立支援機構とは、家庭の諸事情により児童養護施設で共同生活をしながら学校に通っている子供達が、高校を卒業して企業に就職し社会人となる、その支援をしている団体です。

養護施設で育って社会人になった先輩の体験談を聞いたり、社会人になってから何かあった時に相談する支援団体の説明を聞いたり、企業面談を疑似体験したり。そのようなことを行いながら、このシンポジウムは毎年開かれ今回は7回目です。

当日は千葉県内にある数カ所の擁護施設の高校一年生から三年生まで約40名が参加して、養護施設の園長や支援団体の関係者約20名、そして企業側として約10名の人が加わって、熱心にシンポジウムは行われました。企業側として、わが社は参加しました。

ある人を介して若人自立支援機構の方達と知り合って、わが社は去年に続き二回目の参加です。このシンポジウムは、就職を控えた生徒に企業面談を、あくまでも疑似体験させることが一つの目的です。

先ず、企業側は集まった生徒を前に、持分8分間で企業プレゼンテーションを行います。その後、生徒は名刺を10枚持って各企業のコーナーを訪問し、仕事内容を聞いたり逆に自己アピールしたりします。最後は、企業面談者の評価により、ベストアピール賞として、優秀な生徒5名に図書券が授与されます。

わが社は男女8名の生徒と面談をしました。しかし高校三年生で、この段階で就職先が決まっていない生徒もいました。彼等が働く為に実社会に出ようとすると、施設も卒業しますので、職と住宅を同時に確保しなくてはなりません。採用される会社には住宅を提供してもらうことが希望です。そのようなハンディキャップも背負っています。

本来の親を頼れず施設で共同生活をしながら、自分より年下の子供の面倒も見てきて、自然と自立心が芽生えるのでしょう。冒頭に掲げた言葉、そうでない君達がいるのだから、社会は受け入れてくれますよ。そのように、自立支援機構の関係者の方が激励しているのです。

本当にやる気があって自立して行こうとする若人と、自社の尺度で取捨選択しようとしている世間一般企業の採用姿勢との、ギャップをこのシンポジウムに参加して感じました。採用企業は、子供達の大切な人生を預かるという視点を見失ってはいけないと、強く受け止めました。

わが社では若い女性社員を採用する計画があり、今まで色々働きかけはしましたが、結果は出ませんでした。実は今回のシンポジウムで、その切っ掛けが出来ました。また詳しくお話しする機会があると思います。

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息子のこれから(その2)

2017年02月11日 08時27分40秒 | Weblog
息子には教育係りがいます。22年前に入社して、営業一筋でわが社を支えた社員。息子が二年前にわが社に入ると決まった時から、その社員が息子の教育係りとなりました。息子より26歳年上ですので、親のような年回りでもあります。

息子は二年前から、わが社の社内懇親会や研修会などに、出来る範囲で参加するようになりました。その連絡や調整は全て教育係りを通して行い、時に厳しいことも言うのも彼です。このもう一つの関係式があったお陰で、私と息子の関係が険悪にならずに、何とか保たれたのだと思います。

42年前のことです。私は大学を卒業して、直ぐ父の会社に入りました。私の息子と同じように大学の三年になる頃、父の会社に入ることを決めました。何処かに修行に出ることもなく、梶哲商店で社会人のスタートを切りました。そこまでは、私と息子は全く一緒です。

しかし、私の入社後の教育係りは父でした。カリキュラムは全て父が作りました。体格が良く大学では相撲部に入り、自ら海軍に志願して、終戦後ゼロから会社を興し、成功体験のあるワンマンの父に、私は口答えを一切しませんでした。威圧や強制力を感じ、そんな父に逆らえなかったのが本音です。

かといって私は強烈に自分がしたいことがあった訳でもなく、物心付いた頃から家業である鉄屋の仕事を身近に見て来たので、親の会社以外に選択肢がなかったのも事実です。その反面ちょっとした自尊心もある。そのような観点では、息子と私は同じかもしれません。

親は自分の実現出来なかった思いや、叶えられなかった夢まで、子供に押し付けようとする傾向があります。勉強嫌いだった親が、子供に「勉強しなさい」と言うのもその典型です。素直さが少しでもある子供は、それに何とか応えようとするのでしょうが、そこに子供の本心や自立心は隠れてしまいます。

3月一杯までは、息子はバイトとして現場に入ることは決まっています。実の親以外で、親のような存在であるその社員の教育係りも、自分が不得意とする、特に製造現場の仕事は、更に息子に経験を積んでもらいたいとの思いはあるようです。

では4月から、正社員となる息子に実際何をさせるのか。大きな課題もあります。しかし私は、この3月まで含めれば延べ半年以上、楽ではない現場から逃げ出す事もなくやって来たことを、先ず評価したいとそう捉えています。現場の仕事を覚えるとかスキルが身に付いたとかよりも、耐えられるかどうかだけ、私は見て来ました。

例えば4月から営業に同行してお客様を回った時に、改めて現場の経験が必要になったら、息子がそれを自覚して現場でまた学ぶ。それも一つの方法です。現場や営業以外にも、社内ではその他の業務も多くあります。

本人の意志とやる気を引き出せるカリキュラムであれば、教育係りの社員に、全て任せたいと考えています。
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息子のこれから

2017年02月04日 11時08分49秒 | Weblog
「哲郎さん、もう働くの」「少し遊ばないの」。息子は、社員からそのような言葉を投げ掛けられたそうです。息子の哲郎が2月1日から、わが社でバイトとして働き出しました。現場での仕事は過去も経験があり、今回が初めてではありません。

大学四年の息子は卒業を控えています。一週間前に最後の試験も終わり、社会人になる4月までは何をしようがフリーです。2月からバイトでまた働き出した息子に、社員は冒頭の言葉を掛けてくれました。

大学三年の夏休みと春休み、そして大学四年の夏休みを利用して、息子が現場に出たのは通算で五ヶ月位です。しかしその仕事から遠ざかってしまうと、また自由を謳歌出来る学生の生活。本人が2月から出ると決めたのですが、直前まで憂鬱だったようです。

実は息子は、四月から正式に社員として入社します。それは既に決まっていました。大学の三年になった時、息子から「父さんの会社に入ってもいい?」と、勿論私は二つ返事。それなら、大学時代にバイトで仕事を経験してみてはとなりました。

息子が大学を卒業したらどうするのか。親が会社を経営していたら、自分の会社に入るのかどうか、出来れば将来会社を継いでもらいたい。息子を気にかける親心や、息子に託す親の願いは、普通の親なら必ず誰しもがあります。

しかしこのようなことを、私は一切息子に口に出すことをしませんでした。そこには一つの学びがありました。10年来師事した方の教えがあったからです。何よりも親子の人間関係を正常にしておく、それが課題となりました。

親が「勉強しなさい!」と言って、素直に勉強する子供はいません。言い続けて子供が勉強するのなら、これ程簡単なことはありません。子供が勉強するのは、親との関係が良好で成績が良いと褒めてもらえるとか、あるいは学校の先生が好きでその教科だけは熱心に勉強するとか、これが真意です。

親が「勉強しなさい!」と言えば言うほど、子供は勉強が嫌いになります。一つの摂理でしょう。息子からしたら、父親は上から目線で威圧を感じる存在です。こじれた親子関係は、簡単に修復することは出来なくなります。息子に強制するのではなく、親が自分のなすべきことを淡々とする。

子供に迎合するとか甘やかすのではなく、普通の会話ができる環境を常に作っておく。このようなことを学びました。息子に強制しないで何も言わなかったことが、確かなものとなりました。

では息子に厳しいことを言うのは誰か。厳しいことが伝わり、息子とそんな関係が結べたのは、別の関係式もありました。  ~次回に続く~
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