2021年4月プラス・ワンを、独立採算事業とすることを決めました。企業内起業と位置付けする所以です。専任は二人、技術面を担当するM氏と、営業と現場も担当する私の息子です。息子は大学を卒業してわが社に入社して5年が過ぎ、大学生の頃からバイトでわが社の現場は経験していました。
息子はプラス・ワンの専任なるまでは本体の営業をしていました。移籍するにあたり従来の担当先は、他の営業に引き継ぎましたが、完全に引き渡しはできず暫くは兼任していました。M氏も従来の現場サポートや指導から直ぐには離れられず兼務していましたので、プラス・ワンで発生する経費は本体とプラス・ワンとで案分することにしました。
新規が取れてから、徐々ではありますが仕事が増えてきました。本体の取引先でもこの立体加工を利用してもらえる顧客も現れてきましたが、安定収益には及びません。独立採算事業としてから半年後の状況です。ここでプラス・ワンとしても、大きな決断をしなくてはならないことになります。それは新たに購入するロボ機の選定です。A社にいつまでも外注し依存する訳にはいかないからです。
ロボ機選定の課題は、A社と同種のロボ機を選ぶか、わが社でもっと使い勝手がいいロボ機を選ぶかです。使い勝手がいいといっても手本や見本はなく、わが社で受注した仕事をA社に外注した際、A社通いながらA社のロボ機を使わせてもらい、利点や欠点をみつけるしかありません。A社が導入したロボ機は、所謂産業用ロボットでした。
ロボットは大別すると、産業用ロボットと協働ロボットとになります。産業用ロボットとは、特定の場所に固定して使われ、単純なルーティンワークを人の代わりに行うものが主流です。繰り返し行う単純作業は得意ですが他の作業に流用しづらいことから、頻繁なライン変更を行う現場などでの導入は困難な状況といえます。一方協働ロボットとは、協(力を合わせる)働(はたらく)との文字の通り、人と協力しながら一緒に働くロボットのことです。協働ロボットの特徴は、小型・軽量で、人と同じスペースで作業が行えるよう設計されている点で、多品種少量生産のニーズ対応出来ます。
A社のものは小型の産業用ロボットでしたが、協働ロボット的に使用していました。一か所に固定されていて、アームの動く範囲での切断でした。長い素材を切断する場合は、素材の方を移動させなくてはならない欠点がありました。わが社は使わせてもらいながら、ロボ機を自由に移動できないかとの問題意識がわいていました。その場合、ガス溶断に必要な熔材(液体酸素・プロパンガスのボンベ)も同じように移動しなければなりません。
そのような相談を投げかけたのが、わが社で取引があった、ガスやレーザー切断機のソフトウエア開発会社です。A社のロボ機には、そのソフトウエア会社のシステムが組み込まれていました。わが社の相談に応じてくれるかたちでソフトウエア会社は、主に産業用ロボットを組み立て製造している中堅の会社を紹介してくれました。
そのロボットを製造している会社にとってみると、鋼材加工やガス溶断等については、皆目見当もつきません。ゼロからのスタートです。打ち合わせに長い時間を費やしましたが、その会社にとって初の試みとなる、ガス溶断協働ロボットの製造を引き受けてくれることになりました。結局、一つのカーゴ(カゴ台車)にロボットも熔材も一緒にまとめるものでした。家庭用電源100V使用で、固定ではなく移動可能の協働ロボットです。
このロボットは汎用品ではなく全て特注です。プラス・ワン専任の二人は、形が無いものを創っていくので苦労したと思います。しかし少しでもその形が見えてくれば、遣り甲斐があるとも言えます。独立採算制は厳しいかもしれませんが、自らの結果がすぐ出ることになりますので、やらされ感ではなく自主性が原動力となるはずです。
新たなものを創っても世の中の変化と共に陳腐化します。企業においても、新陳代謝は避けては通れません。勿論、必要性がある限り既存のものを守るのも大切です。振り返って創業から、わが社の歴史も変遷の繰り返しでした。しかし社内では、今回は既存勢力(本体)と新興勢力(プラス・ワン)との戦いもありました。プラス・ワンが何をやっているのか、社内周知の大事さも知りました。そして発注したロボ機は、半年後の2022の5月に納入されることになります。 ~次回に続く~
わが社が導入したロボット
息子はプラス・ワンの専任なるまでは本体の営業をしていました。移籍するにあたり従来の担当先は、他の営業に引き継ぎましたが、完全に引き渡しはできず暫くは兼任していました。M氏も従来の現場サポートや指導から直ぐには離れられず兼務していましたので、プラス・ワンで発生する経費は本体とプラス・ワンとで案分することにしました。
新規が取れてから、徐々ではありますが仕事が増えてきました。本体の取引先でもこの立体加工を利用してもらえる顧客も現れてきましたが、安定収益には及びません。独立採算事業としてから半年後の状況です。ここでプラス・ワンとしても、大きな決断をしなくてはならないことになります。それは新たに購入するロボ機の選定です。A社にいつまでも外注し依存する訳にはいかないからです。
ロボ機選定の課題は、A社と同種のロボ機を選ぶか、わが社でもっと使い勝手がいいロボ機を選ぶかです。使い勝手がいいといっても手本や見本はなく、わが社で受注した仕事をA社に外注した際、A社通いながらA社のロボ機を使わせてもらい、利点や欠点をみつけるしかありません。A社が導入したロボ機は、所謂産業用ロボットでした。
ロボットは大別すると、産業用ロボットと協働ロボットとになります。産業用ロボットとは、特定の場所に固定して使われ、単純なルーティンワークを人の代わりに行うものが主流です。繰り返し行う単純作業は得意ですが他の作業に流用しづらいことから、頻繁なライン変更を行う現場などでの導入は困難な状況といえます。一方協働ロボットとは、協(力を合わせる)働(はたらく)との文字の通り、人と協力しながら一緒に働くロボットのことです。協働ロボットの特徴は、小型・軽量で、人と同じスペースで作業が行えるよう設計されている点で、多品種少量生産のニーズ対応出来ます。
A社のものは小型の産業用ロボットでしたが、協働ロボット的に使用していました。一か所に固定されていて、アームの動く範囲での切断でした。長い素材を切断する場合は、素材の方を移動させなくてはならない欠点がありました。わが社は使わせてもらいながら、ロボ機を自由に移動できないかとの問題意識がわいていました。その場合、ガス溶断に必要な熔材(液体酸素・プロパンガスのボンベ)も同じように移動しなければなりません。
そのような相談を投げかけたのが、わが社で取引があった、ガスやレーザー切断機のソフトウエア開発会社です。A社のロボ機には、そのソフトウエア会社のシステムが組み込まれていました。わが社の相談に応じてくれるかたちでソフトウエア会社は、主に産業用ロボットを組み立て製造している中堅の会社を紹介してくれました。
そのロボットを製造している会社にとってみると、鋼材加工やガス溶断等については、皆目見当もつきません。ゼロからのスタートです。打ち合わせに長い時間を費やしましたが、その会社にとって初の試みとなる、ガス溶断協働ロボットの製造を引き受けてくれることになりました。結局、一つのカーゴ(カゴ台車)にロボットも熔材も一緒にまとめるものでした。家庭用電源100V使用で、固定ではなく移動可能の協働ロボットです。
このロボットは汎用品ではなく全て特注です。プラス・ワン専任の二人は、形が無いものを創っていくので苦労したと思います。しかし少しでもその形が見えてくれば、遣り甲斐があるとも言えます。独立採算制は厳しいかもしれませんが、自らの結果がすぐ出ることになりますので、やらされ感ではなく自主性が原動力となるはずです。
新たなものを創っても世の中の変化と共に陳腐化します。企業においても、新陳代謝は避けては通れません。勿論、必要性がある限り既存のものを守るのも大切です。振り返って創業から、わが社の歴史も変遷の繰り返しでした。しかし社内では、今回は既存勢力(本体)と新興勢力(プラス・ワン)との戦いもありました。プラス・ワンが何をやっているのか、社内周知の大事さも知りました。そして発注したロボ機は、半年後の2022の5月に納入されることになります。 ~次回に続く~
わが社が導入したロボット