【接し方と交渉】
取引銀行へ訪問するとしても誰に会えばよいのか。経営者であるなら支店長には絶対会わなくてはなりません。では会う頻度については、支店長が自社へ訪問してくれる場合もありますが、私の場合三カ月に一回位(メイン銀行)は念頭におきました。こちらから訪問する場合は、月次決算書など持参し近況を報告する形が、話し合う糸口となりました。
しかし、融資の稟議書は誰か書くのかを忘れてはなりません。作成するのは銀行の担当者です。銀行の大よそのラインは、支店長、次長ないしは課長、担当者です。わが社には経理部長がいますので、担当者やその上司と緊密な関係を築くことや実際の交渉などは部長に任せ、私と役割分担をしました。特に融資の必要性がない時でも、担当者から借入額の上限を探っておくことも重要でした。
ある文献で、銀行員の特性を次のように記しています。・一般常識を好む。・正論を理解しているものの会社(組織)や上司の方針に従順。・ガバナンスの強い組織なのでルールを重要視する。・出世しなくとも他業界の人より収入が多いので、転職する人が少ない。・仕事柄マジメな人が多いが、ビジネスを離れた場所(酒席やゴルフなど)では気さくにふるまう。
冒頭の項目に「交渉」と掲げましたが「交渉術」のようなものではなく、このような銀行員の特性を踏まえた上で、あくまでも正攻法だと思います。社長の話術より、話しの中身や信憑性であり、当たり前のことを当たり前に行って、小さな約束を守ることの積み重ねです。正攻法とは、結果を出す努力をすることであり、絶対嘘をつかないことです。約束を守らず嘘をつけば、失った信頼は修復がきかなくなります。
行員の方にも当然ノルマがあります。組織や上司の方針に従順であれば、取引先企業に対し無理な申し入れも時としてあります。銀行の決算や中間決算期に手形の割引を極力して欲しいとか、納税や賞与に備え積立金を考えてもらえないか、です。しかし自社に余裕が無いのであれば、はっきりお断りする役者(社長か経理部長かはケースバイケース)も決めておくことが大事ではないでしょか。
【銀行の与信枠・評価】
銀行は取引先に対して与信枠(与信限度額)を設定します。与信とは信用を与える意味であり、与信枠とはいくらまでが融資可能かとの限度額のことです。銀行は取引先を格付けし、この格付けで与信のレベルが決められます。格付けの要素には、つまり評価の項目は、債務の返済能力、収益性、安全性、成長性、規模などがあるようです。銀行が重要視しているのは、短期間の売上や利益ではなく返済能力や安全性です。財務諸表でいえば、損益計算書よりも貸借対照表で、その中の自己資本比率や純資産額がどれ程あるかです。
我々の業界において、商社から材料を仕入れる場合手形決済となります。商社としてはその決済が終わるまで、金融を代行していることにもなりますので、販売先に対して与信枠を設定しています。商社には営業部隊とは別に審査部隊があり厳しく与信管理をしていて、我々が決算書を提出することで、与信枠も変わることを前提としています。
わが社も販売先へは手形決済ですので、与信枠を設定しなくてはなりませんが、過去甘い評価をして何回か不良債権を発生させたことがあります。売りたいがための感情的な判断は禁物です。我々も取引先を評価することで分かりますが、同じように銀行や商社から常に一定の基準で評価されている意識を持たなくてはなりません。銀行からの評価には、当然経営者の要素も大きく含まれます。
【銀行が離れる理由】
・公共性に乏しく、企業規模が小さく、関連企業倒産の事態も起こりそうもない。従って倒産しても社会的影響は少なく、銀行も批判されずにすむ。
・経営再建の見通しは立たないが、担保として押さえている土地や有価証券、設備などが意外に良質である。
・これまであまり深い付き合いもなく、また悪い情報を隠すなど、信頼関係を裏切った行為がある。
・経営者が無能で、労使関係もでたらめ。しかし、銀行支配に対する拒否反応が強くあらゆる手段で、介入を妨害しようとする。
これは銀行管理に陥った数々の企業を取材したジャーナリストの見解です。取材するくらいですので中堅以上の企業でしょうが、我々の規模でも、銀行が離れる理由を(このように判断されないように)しっかりと受け止めなくてはなりません。 ~次回でこのシリーズは最終とします~
取引銀行へ訪問するとしても誰に会えばよいのか。経営者であるなら支店長には絶対会わなくてはなりません。では会う頻度については、支店長が自社へ訪問してくれる場合もありますが、私の場合三カ月に一回位(メイン銀行)は念頭におきました。こちらから訪問する場合は、月次決算書など持参し近況を報告する形が、話し合う糸口となりました。
しかし、融資の稟議書は誰か書くのかを忘れてはなりません。作成するのは銀行の担当者です。銀行の大よそのラインは、支店長、次長ないしは課長、担当者です。わが社には経理部長がいますので、担当者やその上司と緊密な関係を築くことや実際の交渉などは部長に任せ、私と役割分担をしました。特に融資の必要性がない時でも、担当者から借入額の上限を探っておくことも重要でした。
ある文献で、銀行員の特性を次のように記しています。・一般常識を好む。・正論を理解しているものの会社(組織)や上司の方針に従順。・ガバナンスの強い組織なのでルールを重要視する。・出世しなくとも他業界の人より収入が多いので、転職する人が少ない。・仕事柄マジメな人が多いが、ビジネスを離れた場所(酒席やゴルフなど)では気さくにふるまう。
冒頭の項目に「交渉」と掲げましたが「交渉術」のようなものではなく、このような銀行員の特性を踏まえた上で、あくまでも正攻法だと思います。社長の話術より、話しの中身や信憑性であり、当たり前のことを当たり前に行って、小さな約束を守ることの積み重ねです。正攻法とは、結果を出す努力をすることであり、絶対嘘をつかないことです。約束を守らず嘘をつけば、失った信頼は修復がきかなくなります。
行員の方にも当然ノルマがあります。組織や上司の方針に従順であれば、取引先企業に対し無理な申し入れも時としてあります。銀行の決算や中間決算期に手形の割引を極力して欲しいとか、納税や賞与に備え積立金を考えてもらえないか、です。しかし自社に余裕が無いのであれば、はっきりお断りする役者(社長か経理部長かはケースバイケース)も決めておくことが大事ではないでしょか。
【銀行の与信枠・評価】
銀行は取引先に対して与信枠(与信限度額)を設定します。与信とは信用を与える意味であり、与信枠とはいくらまでが融資可能かとの限度額のことです。銀行は取引先を格付けし、この格付けで与信のレベルが決められます。格付けの要素には、つまり評価の項目は、債務の返済能力、収益性、安全性、成長性、規模などがあるようです。銀行が重要視しているのは、短期間の売上や利益ではなく返済能力や安全性です。財務諸表でいえば、損益計算書よりも貸借対照表で、その中の自己資本比率や純資産額がどれ程あるかです。
我々の業界において、商社から材料を仕入れる場合手形決済となります。商社としてはその決済が終わるまで、金融を代行していることにもなりますので、販売先に対して与信枠を設定しています。商社には営業部隊とは別に審査部隊があり厳しく与信管理をしていて、我々が決算書を提出することで、与信枠も変わることを前提としています。
わが社も販売先へは手形決済ですので、与信枠を設定しなくてはなりませんが、過去甘い評価をして何回か不良債権を発生させたことがあります。売りたいがための感情的な判断は禁物です。我々も取引先を評価することで分かりますが、同じように銀行や商社から常に一定の基準で評価されている意識を持たなくてはなりません。銀行からの評価には、当然経営者の要素も大きく含まれます。
【銀行が離れる理由】
・公共性に乏しく、企業規模が小さく、関連企業倒産の事態も起こりそうもない。従って倒産しても社会的影響は少なく、銀行も批判されずにすむ。
・経営再建の見通しは立たないが、担保として押さえている土地や有価証券、設備などが意外に良質である。
・これまであまり深い付き合いもなく、また悪い情報を隠すなど、信頼関係を裏切った行為がある。
・経営者が無能で、労使関係もでたらめ。しかし、銀行支配に対する拒否反応が強くあらゆる手段で、介入を妨害しようとする。
これは銀行管理に陥った数々の企業を取材したジャーナリストの見解です。取材するくらいですので中堅以上の企業でしょうが、我々の規模でも、銀行が離れる理由を(このように判断されないように)しっかりと受け止めなくてはなりません。 ~次回でこのシリーズは最終とします~
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